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12.悪役令嬢なんて本当はいないんじゃないですか?

 

 いろんな事があった狩りから戻って来て、

アディにお茶会でもしない?と連絡を入れたら、すぐに開催が決定した。



「それで?リリィはせいじゅうさまとけいやくできたのね!すごいわ!」


「すごい…のかな?よくわかんない」


「もう!リリィはほんとうにものをしらないのだから!せいじゅうさまはね、ほんらいはせいじょさまをまもるためにこうりんされる、といわれているのよ?」


「せいじょさま…」



聖女とかは聞いた事ある。

なんか、あれでしょ?

世界を聖なる力で救う的なやつ?

あれ?それだと化け物とか冒険家的な人達も出てくるのかな?

この世界にもいるって事???

異世界スゲー!!



「リリィ?」


「あ、ごめんごめん。せいじょさまとか、あまりききなれなかったから」



えへへと笑って誤魔化した。

アディはまだ3歳だが聡明だ。

頭の回転も早く沢山物を知っている。

アディと仲良くなってから教えて貰っている事も多かった。



「あ、そうだ!コレけしょうすい」


「え?くれるの?」


「うん。とくべつはいごうしたやつ!あさとよる、かおをあらったあとにパシャパシャしてね。たぶんもっとはだがきれいになるよ」


「ありがとう!あれからちゃんとリリィのいったとおりに、やってるのよ!」



アディはあれから私の言う通りに、朝起きたら一杯の水を飲み、水で顔を洗う。

食事やおやつにも気をつけていて、白粉も叩かなくなった。



「おはだのちょうしがね、よくなったの!よるねむれなかったのに、きちんとねむれるようになったし」


「すいみんはだいじだからね!ねれるのはけんこうなしょうこよ!ねぶそくはイライラのげんいんだし」


「そうなのよね、いままでほんとうにみんなにはもうしわけないことを…していたわ…」



本来のアディは心優しく思いやりのあるタイプなのに肌トラブルがストレスだったんだろう。

睡眠障害のような物もあり、イライラを皆にぶつけていたらしい。



「こんやくしゃこうほだっていうのに、あんなにみにくいじぶんがイヤでイヤでしかたなかったの」



第一王子の婚約者候補筆頭という、さらに重いストレスを抱え込んでいたんだ。

可哀想だよ…。

元の世界でもストレスで肌荒れとか髪にコシがなくなるとか、あるもんね。

下手したら病気とかにまで発展するし。


私でいくらでもストレス発散してくれていいよ!って気持ちなのに、アディは私に当たる事は無い。

だから、余計に力になってあげたくなるんだ!



「あ、でもこのけしょうすいのことはあまりひとにはいわないでほしいの」



湖の乙女と約束したもんね。

約束は守るタイプだから、任せて!

アディも絶対に約束守るタイプだと思うし大丈夫だね。



「わかったわ。やくそくする」



ふふっと笑うアディは垂れ目で優しい雰囲気。


「…アディは、なんでアイラインしてたの?」


「え?…えっと、こんやくしゃこうほのなかでね、わたし…いちばんとししただったの。だけど、ひっとうこうほになっていたから。したにみられたくなかった。いまおもうとばかみたいにせのびして、はずかしい」



…やめて正解だよ。

アディは肌も綺麗になってきて、まだ少しソバカスはあるけど自信を取り戻してきて可愛らしさが跳ね上がってきてる。



「わたしね、リリィとおはなししたり、おてがみのやりとりしてるうちに、じぶんがはずかしくなったの」


「え?」


「ひとにあたりちらして、わがままいって。そんなじぶんがばかみたいにおもえて…」


「アディ…」


「リリィみたいにしぜんでいたいって、おもうようになったの。ひとに、しぜんにやさしくしたいって」



私?自然体?かな?


「うーん?よくわからないけど、ふつうがいちばんだよね!」


「ーーー!アハハッ」


アディが目を見開いて驚いてから大きな声で笑った。


「アディ?」


「フフッ。ふつうで…いいのよね?」



って、アディ!泣いちゃった!!

なんか私も泣けてきちゃった…。

アディ、つらかったんだね。



しばらく2人でわんわん大泣きしちゃった。

もうカラカラになって涙が出なくなって、2人で笑った。


お腹が痛くなるくらいに笑って。


落ち着いてお茶を飲んで…。


ふふ、何かね親友になれたって感じなんだよね!


これからも仲良くしてね!





◇◇◇◇



それからしばらく他愛のない事を話していたら、アディが窓の外を見て呟いた。


「あれ?クリスさまとテオさま…?」



ん?お兄様は今日は王宮に行っている筈だが…?



と思っていたらノックが聞こえ、扉が開いた。


「リリィ!ボク達もお茶会に参加してもいい?」



あ、お兄様。

隣には何故かテオがいる。

王子ってそんなに気軽に外を出歩いていい物なのか?



「ーーー!テオさま!」


あら、アディ顔が真っ赤よ?


「おにいさま、テオ、ごきげんよう。おうきゅうでおべんきょうかいではなかったのですか?」


「今日はもう終わりだよ。テオが来たいっていうからね」


「だって、ロウ様にも会いたいし。アディも来てるって聞いたからね…」



ふむ、良い傾向ですね。

テオとアディの婚約は決定では無い物のほぼ確定って感じ。

本当だったらすぐにでも婚約式を!って話だったそうだけど、アディが少し待って欲しいって懇願したんだって。


何で?って聞いたらね、可愛い顔して、

「もう少し自分に自信を持って、テオ様の隣に立てるようになりたい」

って言うのよ!


だからとりあえず5歳の教会での選定式までは仮婚約みたいな感じにするんだって。


テオも、みるみる可愛らしく変わっていくアディに対して満更でも無いみたいで、アディが頑張るなら自分も!と勉強や剣技等、精力的にこなすようになったんだって。


いい事だよね!

お互いに意識し合っちゃって、可愛いったらないわ!



『リリィ』


「あ、ロウ!どこにいってたの?」


スルリとどこから入って来たのかわからないが、ロウが隣にきて頭を擦り付けてきた。



『あぁ、散歩だ』


「せいじゅうさま…。ほんのえとおなじ…」


『む?』


「あ、ロウこちらしんゆうのアディ」


えへ、どさくさに紛れて親友って紹介しちゃった!


「よろしくおねがいいたします。ロウさま」


『あぁ、宜しく頼む。リリィの事もな』


「ふふ。もちろんです」



えー?なになに?

2人してさ、私を問題児みたいな言い方しないでよね!



「アディ、元気か?」


「はい。テオさま。テオさまはおげんきですか?」


はにかむ2人。


なんだよ!初々しいな!

チッ。


アディは、私との方が仲良しなんですからねーっだ!



『リリィ、嫉妬は醜いぞ』



うるせー!このもふもふヤローめ!

こうしてやる!!


もふもふ、わしゃわしゃ、もふもふ


『八つ当たりはやめなさい』



柔らかい毛をくっしゃくしゃにしてやった!

ふんだ!



「リリィ、今度テオと町に行く事になったんだ。セバスとトマスがごえいでついて来てくれる事になったんだけど。リリィも行く?」



あら?なんでまた誘ってくれたのかな?



『リリィがまた暴走するからだろう?』


「ーーー!!」


ワシャワシャワシャ!

ぐっしゃぐしゃにしてやったわ!

フンッ!



「わたしもいいの?アディは?」


「アデライト嬢は、デュボア家が了承したらいいよ」


「アディ!ぜひおうちのひとにきいてみて!いっしょにいこうよ!」


「ええ。きいてみますね」



一緒に行けたらいいな!

楽しみだね!



『リリィ、毛が絡まってしまったのだが…』



知らん!


読んでいただきありがとうございます!

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