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101.新たな登場人物は厄介?


 『今夜来るって』


 さっきのレオからの伝言が頭をクルクル回っています。

 来るって? ここに? 

 

 よく分からなくなってしまった……まだ時間は夕方、時間はまだあるよね? 

 

 だ……誰かに相談……。

 でもまだ皆……帰って来てないか。

 困ったよね……どうしようかな。

 うーん。

 じっとしてるのもモゾモゾするし、うん、訓練ブースに行こう。

 申請は部屋のパネルからでもできるからね!




 ◇◇◇



 

 申請が通ったのでとりあえず色々ぶっ放して頭を空っぽにしよう!!



 魔法訓練ブースの建物に到着し、パネルに魔力を流して中に入ります。

 部屋はCルーム。


 部屋の前に来るとどこかの部屋の扉が開いて中から人が出てくる所なのか話し声が聞こえました。


 

 「流石レオ様ですわ。教え方も上手ですし、わたくし毎日でもレオ様に教えて頂きたいわ」

 「ハハ、それは光栄ですね。いつでも教えますよ」


 

 声のする方へ、ふと視線をやると出て来たのは隣国の王女様とレオそして騎士様でした。


 王女様とレオは微笑み合っていてなんていうのか……。



 「──キャッ」



 扉を出る所で王女様が躓き、レオが咄嗟に腕を出して抱きとめるような形になりました。



 「──大丈夫ですか?」

 「──ええ、ありがとうございます」


 

 頬を染めた王女様とそれを見つめるレオ。

 二人のその姿は一枚の絵のようで、なんだかお似合いの二人に見えてしまった。

 

 ふとレオの視線が上がり、私の方へ向くと驚いたような顔になって何かを言おうと口を開いたが、王女様の「レオ?どうなさったの?」という言葉でレオの視線は王女様の方へと戻ってしまった。




 「───っっ」


 

 心臓が痛い……目の奥が熱くてなんかヘン。

 急いで部屋に入って、ズルリと扉に凭れて座り込んでしまった。


 

 部屋の中は防音で外の音なんて聞こえないのに、耳を塞いで目もギュッと瞑る。


 私は全てをシャットアウトした。


 心臓がバクバクと打っていて痛い。

 苦しいなぁ……なんでだろう。

 レオと王女様の姿……


 

 はぁ───っっと息を吐いて、グッと身体に力を込めて立ち上がる。



 頬をパンと叩いて気合いを入れ直して普段は使わない攻撃魔法の呪文を頭の中で唱え、部屋の先にある的にバンバンぶつけた。



 無心でバンバンぶつけていたら、部屋のアラームが鳴った。



 ハッと意識が自分の中に戻ってきて、アラーム音の原因は的の消失そして壁の損壊だった事に気付いて冷や汗が流れ落ちた。




 ◇◇◇



 「すみませんでした……」

 「耐久性は万全だったはずなんだけどねぇ。もう少し見直しも必要かな……」




 カラリと教員室を出るとお兄様が立っていました。


 「……お兄様」

 「リリィ大丈夫かい?」

 「……ええ」

 「リリィが攻撃魔法をあんな風になるまで使うなんて何かあったの?」

 「─── 」

 「教えて?」

 


 キュッと唇を噛み締めてしまいました。

 手はギュッと握りしめていて痛いくらいです。



 「リリィ? ……あの時間だったら……会っちゃった?」

 

 

 ブワリと髪が逆立ってしまいました。



 「──ッリリィ! 落ち着いて!」

 「──ふぅ。ごめんなさい……」


 

 そういえば出会いたくないから寮に閉じこもっていたんだった……テンパってておかしくなっていたんだな、と今更ながら気付いた。


 

 「魔力が暴発したわけじゃなくて良かったよ。リリィがそうなったら……学園吹き飛ぶんじゃないか?」

 「イヤだ、お兄様オーバーよ」

 「そんな風になる程イヤだったって事だろ?」

 「……少し驚いただけよ」



 そう、驚いたのよ。

 レオの隣で親しくしてる女の人を見たのが身内以外では初めてだったから。

 想像しただけでイヤだなぁって思ってたのに現実で見せつけられて……



 「リリィ?」

 「あ、ごめんねお兄様……私……反省文書かないといけないから……行くね」

 「リリィ……」


 


 お兄様を残して寮へと急いで戻る事にします。

 

 「なんだかなぁ……」

 

 はぁ……と溜息を吐いて学園を出ると外はもう暗くなっていました。

 

 ついでに薬草園を確認してから部屋に戻ろうかな……


 自分の育てている薬草たちは夜でも元気にピンピンしていて荒んだ自分の心が浮上してくるような気がしました。



 「フフッ……」


 

 今日、来るって言ってたけど……あの調子だと来なさそうよね。

 外出許可でも出して師匠の所かヘルの所にでも行こうかな……。



 「おや、こんな所に精霊姫がいる」


 

 座り込んで薬草の様子を確認していて周囲に意識を向けていなかったので、急に後ろから話しかけられてビクッとして振り返ると初めて見る男性がそこに立っていました。



 「可憐な精霊姫……どこから来たのかな?」



 何? この人誰?

 

 

 手を伸ばしてこようとする男性を凝視してしまいその手を避ける事ができず、クイッと顎を持ち上げられてしまった。



 「───っっちょっ!」

 「その手を離せ!!」

 


 声がしたかと思った瞬間によく知った温もりが身体に触れて見知らぬ男性の手から逃れる事ができた。



 「──レオ?」

 「リリィ……」

 「なんだ? この精霊姫はレオの知り合いか?」


 

 男性はレオと呼び捨てにし親しそうに話しをしています。


 知り合い……なのかな?



 「──はい。私の大切な人です」

 「ハハッ! 成る程、この精霊姫が噂の……」



 噂?ていうか誰よ?いきなり触ってきたりして、失礼じゃない?



 「──もう!レオったらいきなり居なくなるなんてビックリするじゃないの!」


 

 また一人やって来たのは王女様……。

 もう……なんか嫌だ。



 「──マリア様、失礼しました」

 「なんだ! マリアまで」

 「お兄様こそこんな所で何を?」

 「いや、ここで精霊姫を見つけたんだよ」

 「精霊姫? あら、貴方……」



 ふと王女様と目が合って、フンッと鼻で笑われました。


 

 「マリア知ってるのか?」

 「クラスが同じですの」

 「へえ、Aクラスか優秀なんだな」

 

 

 人の周りで勝手に話始めて、何故か鼻で笑われて……レオが来てくれたのは嬉しいけど、なんか嫌。


 「あの……すみません、私行かなくちゃいけないので……失礼します」


 

 ペコリと頭を下げてその場を去ろうとすると、グイッと腕を取られ引き止められた。



 「──っな!離して」

 「精霊姫……私はトレファス王国の第一王子ミランだ。君に一目惚れしたようだ」


 「───っっ!!」

 「ミラン殿下!!」


 

 レオが庇うように腕を取り返してくれたが、ミラン殿下の爆弾発言は続いた。



 「君と国に戻りたいと言ったら、どうする? 考えてくれるか?」

 「──っ殿下!!」

 「いいじゃないか、レオとは婚約もしてないんだろう?そうしたらレオはマリアと一緒になったらいい。良い案だと思わないか?」

 「───っっ」

 「あら、お兄様それは名案ね!!」

 「な、精霊姫。私との事を考えてくれないか?」

 「……お断りします」


 

 何なの勝手な事ばっかり言って!

 レオはレオで何も言わないし!!


 「え? 精霊姫、今なんて言ったんだい?」


 「───だから! お断りよ!!」



 皆がポカンとした隙に転移魔法で師匠の所に飛ぶ事にしました。



 フンだ。




 

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[一言] また自信過剰なのが出てきた あるいは王族なら何をしても許されると傲慢なタイプか
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