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1.コレって異世界転生ってヤツですか?



……目が覚めたらそこは、病院だった。


 ……アレ?


 普通そこは異世界だった……


 ……とかじゃないの?


 ……ま、いっか。



 ピッ……ピッ……ピッ……と心拍数を数える機械の音が鳴っている。


 忙しなくシュコーシュコーと空気を送る音。

体を動かそうとしても、うまく動かせない。


 ……感覚が何も無い。



 なんとなく思い出される記憶は近づいてくる車のライトの眩しさと誰かの悲鳴。


 あ、死んだ。と思った。


 あれ?走馬灯って無いんだ、と思った瞬間ブツリと切れた意識。



 周りを確認したくて目を開きたくても開けない。

 無数の音だけが自分が自分であるという事を意識させてくれる。



 ん? やっぱり死んでるのかな?




 ……次に意識が戻った時には前と同じピッ……ピッ……ピッと心拍数を数える機械の音がしていた。



 忙しなくシュコーシュコー鳴っていた音はもう聞こえない。


 感覚は……まだほとんどない



 身体中に何かをたくさん付けられているのがなんとなくわかるぐらい。



 目もまだ開けられない。




 ……あれ? また寝てたのかな?


 相変わらずピッ……ピッ……ピッ……と鳴る心拍数を数える音がしている。


 感覚は……少しあるよ。

 あれ? あるよね?


 身体中に繋がってた物が無数の管だったとやっと気付いた。


 

 目は……まだ開かない。



  

 ……あぁ、また寝てた?


 ピッ……ピッ……ピッ……って音が聞こえるから、まだ生きているんだと思う。


 身体中に繋がってた管はもうほとんど無い。


 感覚は……何かちくっとした!


 ん? 痛い? ってめちゃくちゃ痛いんですけどー!


 目は……開いた!!



 開きましたよ───!!



 誰かーチョー腕痛いんですけど─────っ!!



 「──あっ!! あれ? 目が開いてる!? ライル様呼んできて!! 早く!!」

 「はいっ」


 「分かるかな〜? 声は出るかな〜?」



 ウンウンと目で訴えてみる。

 伝わったかな? さっきの痛かったんだよ──!!



 ………アレ?


 冷静になって考えてみると今目の前にいるのって……看護師……さん?


 アレ?


 看護師さんって、最近はナース服って感じの制服じゃないけど動きやすそうな上下セパレートの、ほら……こんなヒラヒラした布? は(まと)ってない……よね??


 ……幻覚? 錯覚?


 病院とかって……髪の色とかこんなに自由だっけ? ピンクとか水色とか……


 このヒラヒラしてるの着てる人達なんかエフェクトかかってない……? キラキラしてるよ?


 んー?? まだ自分寝てるのかな??


 うーん。目は……開いてる。


 うん。開いてるよね。


 手は……ウゴウゴした感じで動くね。指……はニギニギ動くね。

 

 うん。


 て事は……あれ? やっぱ起きてるよね?


 ん??


 やっぱり……ココって異世界ってやつ??




 ◇◇◇◇◇




 ……バタバタと何人かの足音が聞こえる。



 誰か来たのかな?

 うーん、目は開いてるけど首が動かせない。動くのは手と……足もいける。


 目の前のキラキラしたお姉さん達は……身体をサワサワしてくる。


 腕を上げたり下げたり、足を開いたり閉じたり。

なんだろう? 何か首動かないのと関係してるのかな。



 あ、イケメン!

イケメンが顔覗き込んでる!

やだこの人、すごいイケメンじゃん!


 アレ? 何かじんわり暖かいモノが身体を包んでる感じ。


 あーいいね、落ち着くよー。



 イケメンエフェクトもすごいよ。

 お姉さん達も美人だけどこのイケメン美人だわ。キラキラが倍以上だね。


 はー暖かい。

 お風呂みたい。

 目が蕩けてくるわー。



 ………

 …………………



 ──っっ!!


 今っ!! 寝そうだったのに、なんかブワッて持ち上げられた!! 何??



 ──アレ??


 この人はダレかなー?

さっきのイケメンじゃないね。また違うタイプのイケメン! すっごい金髪だー。瞳も金色だー。


 キラキラエフェクトが更に倍以上だ! なんかちょっとカラフルだし。


 うぉっ! その笑顔はダメです。世の中の女の子みんな一撃でやられます!


 って、何かおかしくない?


 持ち上げ……られてる……?

 ん? 抱っこされてる?


 あれ? サイズ感!!

 このイケメンと自分のサイズ感よ! どうなってんの?


 手を持ち上げられて……


 うぉー!! 手にキスされたぞー!! イケメンに! お姫様みたいに!!──ってサイズ! 手のサイズが!!


 小さくない??


 ん?

 んん?


 目の前のイケメンの金色の瞳の中に映ってる人を

よーく見てみよう。


 ………んーと、あら、かわいい……………天使?

……………………………天使が……いる?



 ん?


 イケメンの瞳の中にいるのは自分な……のでは……?



 え? ……え? ………エ─────ッッッ!!!


 ちょっと一回落ち着こうか。

 深呼吸は……ちょっとできないか。手、手を上げて……


 小さいね。


 ……赤ちゃん……くらいのサイズ……だね。赤ちゃん、ていうか赤ちゃんだわ。


 あら、赤ちゃんになったのね────って、

 どういうこと?????



 パニックなんですけど!!!!



 

 ………。


 色々取り乱したわ。


 気を取り直してちょっと考えてみよう。


 えーと、うん。

 意識あります。

 記憶的な物は……残ってるね。


 ……でも自分の名前は思い出せない。


 両親だった人達の顔も思い出せない……。


 働き始めて……3年? 経ったくらいで何の仕事……してたんだっけ?



 ……ああ、そうだ。


 両親の顔を思い出せないのは小さい頃に死別したからだったっけ。施設で育って手に職をって美容院でバイトしながら資格取って就職したんだった。


 人と話すのは嫌いじゃなかったし、自分がオシャレする余裕がない分人にできるのは楽しかった。

 でも結構拘束時間も長いしキツかったんだ。



 あー何か遠い目になるわー。




 「リリアーヌ……。リリィ、私達の宝……」


 ──っっ!! て、イケメン!!

 頬っぺにチューとか!!


 ご褒美かっ!?

 ご褒美なのかっ!? 鼻血出るわっ!!


 ってか、リリアーヌ? リリィ?

 誰の事?? 私??


 何で……そんな洋風な名前??



 「ミシェル様そろそろお時間です」

 「えー! もう少しリリィと触れ合っていたい!」



 イケメンは頬をスリスリ擦り合わせてくる。



 えー? なに? この人残念イケメンって感じ? 残念イケメンでもイケメンはイケメンなのね!!



 「ミシェル様!! 王からのお呼び出しです! 早く王宮にお戻り下さい!」



 ……おう? 応急……オウキュウ……oh! キュー! ……王宮??


 頭ん中がパニック通り越して爆発しそうなんですけど……



 あー……眠くなってきたな……


 意識が遠のく……いいや……もう少し……




 目を瞑っておこう。





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