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88日間アメリカ1周⭐︎俺の歩き方⭐︎  作者: Mr.ぴん孤ぱりぃーの
アメリカの実力
5/7

こんなはずじゃなかった…。


刑事ドラマやマンガ、映画などでたびたび登場するこの言葉、



「こんなはずじゃなかった…。」



この言葉を聞くたびに、



嘘つけッ!!

お前、途中からこうなるってわかってたでしょ!!



って思う事が多い。




「こんなはずじゃなかった…。」

バトル漫画でこの言葉を使う奴は、たいてい死んでいく。




自分の過ちを認めず、間違っているとわかっているのに自分の弱さから間違った道を進み続け、自分の行動が正しいのか間違っているのかを立ち止って考えもせず、引き返すこともせず、己の欲望に身を任せ、突き進む。そして、主人公に追い詰められて最後には死んでいく。



その死ぬ間際に放つのが、この言葉、

「こんなはずじゃなかった…。」




この

「こんなはずじゃなかった…。」

を実生活で使う人はいるのだろうか?



「こんなはずじゃなかった…。」

なんて言葉、実生活で聞いた事がない。



…いや、まて、、、俺は一度だけ聞いた事がある。




そう、一度だけ、その言葉を聞いた事がある。




あれは、ロサンゼルスの空港からRandyランディー'sDonutsドーナッツという、ドーナッツ屋さんに向って歩いている時のことだ。




アメリカ一周の旅の最初の目的地は、ポリスメン達の定番アイテム、ドーナッツが売っている Randyランディー'sDonutsドーナッツだった。



事前に調べ、Randyランディー'sDonutsドーナッツはロサンゼルスで1番有名なドーナッツ屋さんである事がわかっていた。そして、空港からRandyランディー'sDonutsドーナッツまでの道は、治安があまり良くないらしく、歩くのは危険だという事も分かっていた。




しかし、俺は歩いた。




危険と書いてあったが、俺は歩いた。




きっと、君はなぜそんな危険な道を歩くのだろう。と疑問に思うだろう。




その疑問の答えは、登山家になぜ山を登るのかと聞いた時の答えとよく似てる。




登山家になぜ山を登るのかと聞けば、そこに山があるからと答えるだろう。




宇宙飛行機士になぜ宇宙にいくのかと聞けば、やはりそこに宇宙があるからと答えるだろう。




では、なぜ俺がRandyランディー'sDonutsドーナッツまでの道が危険だとわかっているのに歩くのかと聞かれれば、やはり、そこにRandyランディー'sDonutsドーナッツまで歩ける道があるからだと言わざるを得ない!!

(むしろ歩きでしか行けない。アメリカのバスの乗り方わからない。)




、、、そして、タクシーにのるお金がなかったからだとも言わざるを得ない!!

(金欠)




だから俺は歩いた。




ひたすらに。




しかし、安全面に配慮は怠らない。




ある時は、向かい側から歩いてくるアメリカ人に全神経を集中し、何かされそうになってもすぐ走って逃れるように、逃げ道を確認しながらすれ違い、





またある時は、それ失礼だろ!ってくらいめちゃめちゃ距離をとって、アメリカ人を避けながらすれ違う。




そして、ある時でもない時でも、すれ違ってもすれ違わなくても、後ろから襲われない様に後ろをチラチラ見ながら、警戒心丸出しバカ丸出しで、俺は歩いた。




選ぶ道は、車がいっぱい通る道をえらんだ。

襲われそうな暗い道、交通量の少なそうな道は避けた。




安全な道、安全な道と俺は選んでいった。




まっすぐ行けばRandyランディー'sDonutsドーナッツに着く。




順調にRandyランディー'sDonutsドーナッツへ向う道を歩いているはずだった。




俺が歩いていたのは安全な道、交通量の多い道、、、




の、はずだった。。。




この安全な道は一本道になったが、進めば進むほど様子がおかしい。




ふと思う。この道は安全なのだろうか?





けど、地図では、この道をまっすぐ行けば、Randyランディー'sDonutsドーナッツに着く。



今さら引き返すことなどできない。

まぁ、もう少し進めば他にも安全な道が出てくるだろう。

そう、自分に言い聞かせて歩いた。




しかし、歩けば歩くほど不安はどんどん膨らんでいく。




本当は、この道を進むのは間違っている。



わかってる。もうわかってる。



けど、もう小一時間もこの道を歩いている。同じ時間かけて戻るなんて、俺にはどうしてもできなかった。



早くドーナッツをたべたい。



そんな思いが俺の判断を鈍らせていた。



もう少し、もう少し進もう。




そして、案の定、安全な道はなくなった。




安全な道がなくなったというか、細くなった。




そう、なぜか俺は、




高速道路の脇道を歩いていていた。




気づいた時には、自分の肩幅より狭く、もはや歩道と呼べないほど細い道となっていた。すぐそこは断崖絶壁だった。

一歩でも踏み外したら滑り台くらい傾いている傾斜面を滑り落ち、車が行き交う高速道路に落ちてしまう。

一歩踏み外したら、滑って落っこちて転落死する。もし落ちた衝撃に耐えることができて、死ななかったとしても、高速道路をひっきりなしに走っている車にひかれて事故死。どっちにしても死ぬ。





すぐに道は広くなるだろうと甘く考えていた俺のミス。



そう、この道は命を失う可能性があるほど危険な道だった。



心の叫びがピンボールのように脳内で暴れ回る。



やばいッ、やばいッ、やばいッ。



歩くの危険。ってわかってたけど。こういうこと??

これちょっと違くない??



確かに怪しい道だったし、引き返して違う道に行けばよかったけど、なんなの?この道。

俺はいつから、高速道路の脇道を歩いてたの??

最初、歩道だっただろ!!



なんでや!!




俺は、自分の過ちを認めず、間違っているとわかっているのにドーナッツ欲しさから間違った道を進み続け、自分の行動が正しいのか、間違っているのかを立ち止って考えもせず、引き返すこともせず、己の欲望に身を任せ、突き進んだ結果がこのありさまだ。



思考回路が停止し、無意識に俺はつぶやいた。



自然と俺の口から出た言葉は、俺の耳へと入って俺の鼓膜を震わせた。



そんな言葉が、



ーこんなはずじゃなかった…。



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