浪漫飛行
小さい頃から自分はそこら辺にいる奴らとは違うんだと思って生きてきた。。。
自分は特別で優れた存在だと信じて疑わなかった。。。
映画に出てくる主人公に自分を重ねて、英雄とか神とか自分は、何かそういった、みんなから崇拝される特別な存在に決まっている!!
と勘違いしながら生きてきた。
勘違いさせる要因はいくつかあった。
例えば、俺の耳だ。人智を超える力を発揮しそうな耳を俺は持っている。
そうだ。福耳だ。
学生時代、福耳を触られ
「お前、まじ大仏じゃん」
と友達に言われた時、俺はただうなずくだけだった。
「うんうん。」
だよね。と。
俺が面白いことを言った後に返ってくる
「お前、マジ神!!」
と言う友達の言葉にもやっぱり俺は、うなずくだけだった。
「うんうん。」
そうだよね。と。
俺という存在は、やはり人間よりも一つも、二つも上の存在だよね。と。
しかし、歳を重ねれば重ねるほど気付いていく。自分はそんな大それた存在ではないという事に。
人智を超えた存在を模した大仏と一緒の耳を持っていたって金は貯まらないし、
「お前マジ神!!」って言う奴は、他の奴にもわりとすぐ「お前マジ神!!」って言う。
(えっ、あいつも神なの!?)
(ちょ、そいつも神なの?)
(お、こいつも神なのね。)
と、結局クラスに13人も神が居ると知った時には、傷ついたものだ。
要するに俺は、凡人だった。
いや就活に失敗し金のない俺は、凡人以下なのだろう。
社会人が羨む学生という職業は、大学卒業と共に消え去り、俺の職業はカースト最下位のニートとなった。
この頃、俺は、現実から逃れるように一日中家でダラダラと過ごす日が自然と多くなった。
昼間はベットの上でiPhoneをいじり、夜になるとパソコンをマクドナルドに持ち込んで、ポテトをつまみながら見るという1日のテンプレが出来上がっていた。
海外に興味のある俺は、世界一周したっていう人の日記やヨーロッパを周ってきたっていう人のブログ、失敗談や危険な目に合った人など、海外ヘと旅立った人達の体験談など見る機会が多かった。
知らない世界を活字で見れば見るほど好奇心は、くすぐられる。美しい写真が有れば尚更。なんとも言えない高揚感に満たされる。俺にとって、手に入る海外の情報全てが魅力的だった。
しかし、調べていると疑問に思う事も多々あった。
例えば、世界一周したと言っている人のブログ。
大抵世界一周と言いつつ、全ての国を周っていない。酷い人は10カ国くらいしか訪れていないのに世界一周してきたとか抜かしてるやつもいた。
少しの違和感、、、。
そして思う。
世界一周って、本当にすごい事なのだろうか?
この世にある国は全部で196カ国。その196カ国あるうちのたった10カ国ほど足を踏み入れただけで、世界を回って来たと言えるのだろうか?何カ国から世界一周と言えるのだろうか?
それもその国のほんの一部の都市だけを見ただけで、世界を見てきたと堂々と言えるのだろうか?
事実だけでいいならスペイン、アメリカ、2カ国だけ経由して日本に帰ってくる旅行も世界一周と言えるのか??
いいや言えない!!
じゃ、世界一周って一体なんなんだ??
そんな事を思いながら、一本のポテトを食べようとして、俺の手が止まった。頭の中で何かが閃いた。そして、ポテトから目が離せなくなった。
「これか、、、。」
俺は、全て理解した。
世界一周よりも魅力的な事があるという事を。
俺がこれからやるべき事がなんなのかを。
それは、、、アメリカ一周だ!!
今、持っているポテトこれは、からの輸入品だ。
ポテトもコーラもばっくつーざふゅーちゃーも、全部アメリカの物だ!!
ユニバーサルスタジオもディズニーもばっくつーざふゅちゃー2、これらも全部アメリカの物。
ハーゲンダッツもケンタッキーもばっくつーざふゅちゃー3もそう、全部アメリカの物だ!!!
俺の好きな物は、全部全部アメリカという国にある!!
アメリカにこそ答えがある!!
いや、何の答えか分からんが、、、
とにかく、アメリカに何かあるのだ!!
調べてみるとアメリカ横断や縦断したって人はいっぱいいた。しかし、50州全て回ったという人はいくら調べても出てこない。
ならば俺が、日本人初のアメリカ一周を達成してやろう!!
アメリカには、全土にまたがる長距離バス「グレイハウンドバス」というものがあるらしい。
それを使えば50州全て行くことができる。50州全て見てきてやろう!!
気持ちが高まり、そうだ京都に行こうのcmでお馴染みの曲が頭に流れた。
気持ちを上げたくてcmに流れる曲を調べたら
この曲「my favorite things」と言うらしい。
my favorite things、、、
なんだよ、、、
この曲もアメリカじゃねーか!!!!
後半へ続く。。。