プロローグ
ーーーーいつもの朝。
いつもの朝?そんなことはない。いつもの朝なら僕はこんなところにいない。暖かい毛布も布団もなく、決まって朝7時に頬を舐めにくる愛犬のタロウだっていないしましてやここは僕の部屋ではない。
「おはよう。」なんて呟いでもだれが返事を返すわけでもない。ここはどこだとかそんなことを考えれるほど頭は鮮明ではなく、どこかモヤがかかったようで浮ついており、それでいて夢と言うには現実的で刺激的だ。
白いーーー。ただ白いこの部屋で目の前には扉がある。この扉を開くべきだろうか、それとも待つべきなのだろうか。だがここにはなにもない。
しかし一人、たった一人でここにずっといるのは僕には耐えれそうにはなく、意を決して扉を開け出る。
そこに広がっていたのは平原だった。時代錯誤な広大さで、見渡す限り平原で、山も見える。扉から意識を外した後、扉は消えていた。ここもまた人の気配もない。
歩こう。食糧も水も、携帯もない。今のままこんな場所にいては死んでしまう。
歩けど歩けども平原が広がっていくばかりでなにもない。日差しはそこまで鋭くはないが歩いていると喉は乾く。少しヒリつく喉を唾液で誤魔化しながら歩く。
遠くからだろうか?音が聞こえる。何十、何百、いやそれ以上の足音だ。かなり先に見えるが、少し見えてきた。軍隊だろうか?
しかしこの速さ、僕のことなど気付いていないだろう。横に走ればもしかしたらあの群れから逸れることができるかもしれない。
走る。走る。足音は近くが見ている暇はない、がむしゃらに前に走る。息も絶え絶えで頭がクラクラしてくる。僕はどうして走っているんだろう。ぼくはーーーぼくーー。
足音は後ろに聞こえるようになった。
ようやく立ち止まり振り返ると激しい砂埃と駆け抜ける馬らしき生き物たち。その上には人と呼ぶにはおぞましく、獣と呼ぶには賢しい生き物がいた。皮膚は緑で鼻は尖っている。人ではないが人のように統率が取れ騎乗も可能なところを見るに、知性があるのだろう
。
だがなんとなくだがあれは僕の味方にはなってくれないしきっと人の味方ではないのだろう。そんな気がする。
人はいないのだろうか。
もしかするとここは緑の皮膚の生き物が支配する惑星なのだろうか。おぞましい想像をし身震いをしてしまったが首を振る。きっとここにも人がいるはずだ。空気もあるし草もある、ここはきっと地球ではないが地球のような惑星ではあるのだし、人だっているのだろう。
荒ぶる息を整える頃には緑色の生き物の軍隊は通り過ぎていた。まずは探そう。食糧と水を、そして人を。
先ほど向かっていた道は危険な気がするので今走った道のまま真っ直ぐ進むことにした。その方角には建物のようなものも遠くに何かが見える。もしかしたら誰かがいるかもしれない。言葉は通じないかもしれないけれど助けてくれるかもしれない。
とにかく進もう。まずはそれからだ。
はじめまして。
次は気が向いたら載せるかもしれないし載せないかもしれません。