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第49話:魂の再会

 王を見つけた瞬間、本能があれを生から解放させよと叫んだ。

 剣を持ち斬りかかろうとして、自分の身体が自由に動かせぬ事に違和感を感じた。

 全身を幾重にも包む防御壁。

 手足を動かしている感覚はないのに流れる景色。

 感じる他者の体温。


 一瞬の激情が去り、正しく自分の状況を思い出す。

 今は嫁に抱えられ戦場を駆け抜けている最中だった。


 片腕しか使えぬ上、もう片腕には自分より体格の良い男を抱えて戦うのは冷静になればありえない。

 しかも防御は全て男に回している。


 そんな状況においてレイアは数え切れぬ人数を屠り、返り血一つ浴びていなかった。

 返り血は攻撃ではないからギルバートについてしまう何となくそれが許せず、屠った相手の血が噴き出すより早く動くことで血塗れを回避していた。


 馬上にある不自然に生気のない男を見つけ、勘があれが総大将だと告げる。

 同時に脳裏に声が響いた。


『殺してもいいけど血を流させるな』

「りょーかい!!!」

 

 守ろうと前に出た相手を斬ると同時に踏み台にして飛び上がった。


 切れば血が流れる。

 殴っても駄目だろう。


 ならば――


「ギル、一瞬だけ耐えろよ!!!」


 防御に回っていた力が一瞬にして攻撃に変換される。

 振り下ろした斧を受け止めようと王が剣を構え、周囲の人間も王を守ろうと動いた。


「光の精霊!!!!」


 刹那


 万の軍を屠り去る力を一点集中させた攻撃が王の身を襲った。


 力の奔流に飲み込まれる寸前、人間の王と魔物の王の目線が合う。


 脳裏に過ぎたのはベッドに横たわる初代の王と、彼を見舞う魔物の英雄の姿。




――すまない友よ、君とこんなに早く別れる日が来るとは。

――気にする事はない我が一族は長命、また会える。

――そうか、また、会えるか。

――ああ、だから友よ、もう休め。

――ありがとう



 

 そうか


 ああそうだったんだね


 長い長い輪廻を超えて


 我らは


 私達は


 再び出会った

 

 次は


 次こそは


 違える事無くまた友に



 一瞬の再会


 人間の王は光の中へ消えた。

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