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第48話:神は降臨した

 先祖が残した文献に残された契約の欠片。


 曰く王と英雄は互いの血を持って神を呼び、神を介して一つの契約を交わしたらしい。


 遠き未来、どちらかの子孫が契約を破る日が訪れし時は裁きを神に委ねる。

 王の末裔による裏切り時、神はすでにおらず裁きは下らなかった。

 よって裏切りの血は長く続き、英雄の血は一人を残して消えてしまった。


 時は流れ神は降臨した。

 人間にとって最悪の形で。


 降臨した神には主として跪く相手があり、主はよりによって英雄の末裔と縁があったうえに助けられた事を恩に着て、友人と呼ぶほど心を許した。

 神の主は最初から魔物側。

 つまり人間の敵だった。


 偶然か運命か、文献を手に取り読む機会があった主により、王と英雄が交わした契約の存在が明らかになった。

 普通ならば履行する神がおらず、出来る事など何もありはしない。

 しかし――彼には運命を動かす力があり、役割を果たせる神がいた。

 その時全ての運命の行方は定められた。


 人間は王が恐れていた通り英雄の血を裏切った。

 ならば初代の王が望んだ神の裁きを与えてあげよう。

 

 運命は再び流れ始める。


 祝福を受けた一人の乙女。

 伴侶とともに神の加護を与えられ、神籍と永劫の繁栄を押し付けられし者。




 審判を下す神の降臨。

 神の采配で約束された一族の繁栄。

 夫婦神として与えられた役割。

 神の主から贈られた祝福。

 魔物の勝利を後押しする神託。

 全ての魔物を統率し動かすのは王ではなく伴侶となった戦乙女。

 神の加護を得た今、翁達の秘策が無効という現実。

 



 人間の王を裏で動かす者達にとって最大の誤算は一体どれであっただろうか。

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