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第43話:好感度爆上がり

「あ、そうだ。村の中で娘が一人死んでるからさー、その子も生き返らせてー」

「あいよ」


 軽く返事を返して指をぱちり。

 あとはその場から動く気配もない。


「ああ、うん。春日とか言ったっけ、アンタ刀鬼の身内だろ」


 軽いところがそっくりだ。そう続けようとした。


「え? わっかるぅ?」


 だらけた雰囲気が一転、でれぇっと相好を崩しちょっと引く。

 どうにもレイアに周りには中身が残念な美形しか集まらないらしい。


「どうしよう刀鬼~、身内だって一目で見抜かれちゃったよぉ~、照れるなぁもう。俺の事信仰してよ、加護でもなんでもあげちゃうからさー、ちょっと名前言ってみて『ウィーギル』」

「う、うぃーぎる」

「もう一回」

「ウィーギル」


 ギルを蘇らせた時と同じ光が一瞬レイアを包んだ。


「うふふ、身内、うふ、ふふふふ」

「戦いの前に祝詞唱えたでしょ、あの『戦の神』の部分を『蘇生の神ウィーギル』に変えればいいだけだから、名前だけでも十分だけど恩恵は大きい方がいいだろうし。あとは何かある? ……かすがー?」

「えへ? あ? ああ、回復魔法とか使えるよ。呪文なんて『痛いの痛いのとんでけー』とかでも何でも好きにして」

「他人への行使は?」

「好きにしていいよ、魔力の限界値底上げしといたし、視界に入る範囲なら一気に回復出来ると思う」


 もの凄い事を簡単に言ってくれる。

 この世には回復魔法何て存在しない、精々が水の精霊の力を借りて傷口を浄化し、薬草で回復を早める程度。

 レイアが手に入れた力はまさに奇跡の力と言えよう。


「魔力?」

「普通は魔法とか術とか行使するのに必要な力があってね、それが魔力。人によって限界値があるんだけど刀鬼には関係ないかな?」


 ふーんと返す刀鬼はどこか幼い。

 身内がいる事によって気が緩んでいるせいだろう。


「凄いねレイア、君はこれで名実ともに聖女名乗れるよ」

「いらねー」


 これ以上妙な肩書増えてたまるかと聖女の二つ名は拒否した。


「私だけの聖女……ふふふふ」


 背後でギルバートが何が呟いているが気にしたら負けだ。


 ふと視線を背後へやってみると、ギルバートの頬が紅く腫れたままだった。

 治れ。と念じれば一瞬で腫れが消えた。


「――――っレイア!!!!」


 忍耐とか理性とかもろもろが吹っ飛んだギルバートが再びレイアを押し倒そうとし、再び地に沈められたのは言うまでもない。


 ただし今回は加護のおかげか死ななかった。


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