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第17話:お嫁さん候補

 領主が人ごみを掻き分け、ようやく教会に辿り着いた時見たものは教会を取り囲む大量の灰――それは魔物の成れの果て。

 どんな高熱で燃やしたのか、形を留めるものは一つもなく、容赦なく燃やし尽くされている。

 教会の中に聖女の姿はなく、破壊された壁に大穴だけが開いていた。






 領主が教会前で惨事を前にしている頃、『御使い』である金色の騎士と、少女二人は領主の庇護下にある修道院の前に立っていた。

 周囲に立ち込める霧の中からは魔物の気配がするものの、こちらに近付いてくる気配はない。

 人の気配を察知し、修道院の中から人が出て来る。


「……!」


 騎士を見るなり顔色を変えた修道士達に笑顔で手を振る。


「やぁどうも」


 投げかけられた挨拶に応える事無く修道士達はマントを脱ぎ捨てた。

 口は裂け、眼は金色に燃え、全身を漆黒の毛皮が包む。

 咆哮が空を裂く。

 マントを脱ぎ捨て、四肢を地につけ唸り声をあげる姿はまさしく狼。


「おいアンタ、話し合いどころか滅茶苦茶警戒されてるじゃねぇか!」

「まぁ“この姿”では初めてだからね」

「なんでそんな呑気なんだよ」

「話し合えば分かる」

「話し合える雰囲気じゃねぇだろ! 私と妹を巻き込むな!!」

「あはははははは“お座り”」


 ぐしゃと、ちょっと嫌な音がしたが女はそれを敢えて無視した。

 いまだ牙を剥いたままだがとりあえず狼らは静かになった。


「話し合いの場を設けました」

「やべぇ、私、アンタとこれ以上関わりたくねぇわ」


 こいつの従者は相当苦労しているだろうなと、会った事も見た事もない相手に女は一人同情した。


「それぐらいで許して下され」


 しわがれた声に「ね」と言って騎士がウィンクを寄越したが、様になっていて何かイラっとした。

 老女は人間だろう、曲がった背中が魔女のようだが魔力も何も感じない。


「ここに何用ですかな」

「この姉妹を保護して欲しくて、ギルバートのお嫁さん候補だよ~」

「………………は?」


 哀れな老婆は顎が外れそうなほど口を開けて動きを止めた。

リリアが空気

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