9/10
イジメ その1
転校生の宿命なのかも知れないが、正義は人生で初めて他人からイジメを受けた。
キッカケはリーダー格のジョージとの些細なやり取りから始まった。
学校の仲間同士でソフトボールの試合があった時、ジョージが悠々セーフの正義にタッチしてきたことに対して、正義が「このタイミングでタッチしたってしょうがないんじゃない?」と言ったことにジョージがカチンと来たのだ。
その日は何事もなく終わったのだが、翌日から仲の良かった友達たちの態度が少しずつ変わっていった。
挨拶してもどことなくよそよそしい。
「ん?何かおかしい・・・」
昔から姉のイジメで敏感になっていたので、人の表情や言葉の微妙な変化にも気づいてしまう正義は嫌な予感がした。
「もしかして俺、これからイジメられるのかな?」
悪い予感は的中した。
正義のイジメとの戦いの人生が始まった瞬間でもある。