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父の決断
誠一郎はある日の夕食後
「議員を辞めて引っ越すことにした」
それを聞いた妻史子と姉二人は大騒ぎとなった。
正義だけは事の重大さを理解出来ずにいた。
女性陣は猛反対。
「生活はどうするの?」
「友達と別れたくない」
数々の反対意見が飛び出した。
それでも誠一郎は引き下がることはない。
むしろ興奮気味にこう言った。
「このまま議員を続けていては自分が自分でいられなくなる」
その言葉に家族は反論の言葉を失った。
こうして父誠一郎は二期八年続けた議員の職を辞することにし、家族は新天地へと旅立つことになった。