表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死者の手 設定資料集  作者: 直さらだ
第一章 試験 資料集
3/16

用語解説

一章で登場した用語の解説です。

・城塞都市国家ロズメリア

フロウェール大陸に存在する小国。周囲を山と海に囲まれた国で、高地に位置するため年間を通じて最高気温はやや低め。鳥料理がメジャーで、フリカッセは広く食されている。

城塞都市の名前を冠する通り、領地を囲むようにして巨大な壁が建設されている(高さ60メートル程)。これは、周辺に生息する魔獣の被害を避けるための対策であり、フロウェール大陸に存在する他の国も同様のことをしている。

領地は、王族と古い貴族が生活する上層、一般人と貴族(その大半は新興貴族)が生活する中層、スラム街のようになった下層、そして開拓地の四つに分けられている。各エリア毎に城壁が築かれており、これは国の発展の歴史でもある。上層から始まり、規模を拡大して中層、下層を作り、更に外側の開拓地では、現在新たな城壁を山を超えた場所に建築している。

中層と下層は地続きになっているが、上層に上がるためにはエレベーターを使って昇る必要がある。

中層と下層は東西南北の四区画に細分化されており、各区は産業などによって特徴が違う。各区の広さは数十キロ以上。一つの区は扇形になっており、四つの区が合わさって大きな円を描いている。


・中層

ロズメリアの中層は一般人と新興貴族が住んでいるエリア。各区によって特色が別れるが、全体としては綺麗に区画整理がされており、市民は労働や商売をして生計を立てていることは共通する。下層に近い外縁部の辺りは少し治安が悪い。夜でもガス灯などが通りを照らしているし、電気の使用も許可されているので明るい。上下水も整備されており、トイレも水洗である。


・下層

ロズメリアの下層は、中層から追い出された一般市民や、その子孫が暮らすエリア。無計画に拡大を続けているため、非常に入り組んでいる。入り組んだ地形に重ねて、日中でも建物の影になる所が多く、煙も合わさって薄暗い。

犯罪者が隠れ蓑として根城にしていたりする、一種のスラム街。憲兵や『死者の手』も下層までは滅多に近づかないため、完全に無法地帯となっている。下層では上下水は一部の家にしか整備されていないため、川の水を汲んだりして生活している人が大半。電気も通っていない。


・上層

王族と一部の古い貴族が住む場所。中層一区画よりも小さい。『死者の手』の本部と養成学校のアルバサイド学院はここにある。

人の気配が薄く、一年を通して静か。年末年始に行う新年祭の時でも、『死者の手』以外はシーンとしている。

上層の中心部に王城がある。


・不死

百年程前から始まった謎の現象。不死人は一切老化しないが、怪我や病気になっても即時治らないし、腹は減る。ゾンビのようなものではなく、平時はただの老けない人間。ただし、死ぬと『健常な状態』まで巻き戻る。この特性を生かして、骨折や病気をしたら死んで健康な状態に巻き戻す、ということがロズメリアではメジャーになっている。なお、怪我が治ると、そこで健常な状態が上書きされるので、例えば指を欠損して、適切な治療をして切断面が塞がると、以降その人が死んで巻き戻しても、指は欠損したままになる。迅速に死ねばいつまでも健康な身体でいられる。

第一世代の不死は、不死の現象が始まった時点の年齢で固定されているので、中年や老人の不死も存在する(当時子供だった人間は、第二世代以降と区別がつかない)。第二世代以降は、生まれた瞬間から不死で、肉体のピークである十八歳頃で成長が止まり、以後老化することはない。

極稀に不死じゃない人間が生まれることがあり、見分けるには瞳の虹彩を確認する。不死人は例外なく、虹彩の中に十字模様があるが、非不死人はこれがない。


・気狂い

自我を失ってしまった不死の俗称。死ねないことに絶望した不死の人間で、自殺を繰り返す内に気が狂ってしまった。

食事も摂っていないのでやせ細った身体をしており、大抵服も着ていない。僅かに自我が残っているのか、それとも無意識なのかはわからないが、人が近づくと助けを求めるようにすがりつく者も多い。

走らないゾンビみたいなもの。


・時の女神フェノム

フロウェール大陸全土で広く信仰されている宗教の神。

ロズメリアでは宗教の強制はしていないが、ほぼ全国民がこれを信仰している。食事の前や行事の前などに、腕を組んで祈りを捧げる慣習がある。

左手を握り胸の上に置き、右手でそれを包む。胸の中心に置いた左手は魂を意味しており、それを包み込む右手は女神フェノムの加護を意味している。


・屋根渡り

ロズメリア下層の住民の多くが身につける移動技能のこと。

※ぶっちゃけパルクールです。パルクールがわからない人はググってみよう。


・トラム

ロズメリア中層を走る電車の総称。各区の中央からシャフトを真っ直ぐに繋ぐ、高架橋を利用したトラムと、各区を円状に繋ぐトラムの二種類が存在している(一般人は利用出来ないが、開拓地からの物資輸送のために、下層に設置された高架橋を走るトラムもある)。

市民は職場や各区への移動などにトラムを利用しているが、近年自動車の発展が著しく、少しずつシェアが下がっている。


・自動車

ガソリンを使った自動車。速度的には馬車よりも若干早いくらいだが、手軽さなどが評価されシェアを伸ばしている。

馬車:車:トラムの利用比率は、概ね2:3:5、というところ。

軍用の車には特殊な加工が施されており、一般向けのものより早く走れるらしい。


・死者の手

王政府が作った警察組織の俗称。正式名称は『特殊犯罪及び凶悪犯罪対策選抜部隊』、略して特選隊。一般人には『死者の手』がメジャー。

警察組織ではあるが、主たる任務は犯罪者の殺害である。不死により人口が減ることの無くなったロズメリアでは、人口増加と食料、土地の問題が非常に深刻化している。王政府は少しでも人口を減らすために法律を改正、どんな小さな犯罪でもほぼ一発で死刑になるようになってしまった。

不死を殺す魔術《死への誘いリーサルタッチ》を宿した狩人の登場で死ぬはずのなかった国民が処刑されるようになり、畏怖を込めて『死者の手』と呼ばれるようになった。名前の由来は、隊員が犯罪者を殺す際に、何かを抜き取るような動作を毎回するため。

一部の隊員が髑髏を模した仮面を被っているところを目撃されているが、理由は一般には明かされていない(『死者の手』の隊員は不死を失っているので、それを悟られないために一部の高齢隊員は顔を隠している)。


・王立特選部隊養成機関アルバサイド学院

『死者の手』に入隊するための専門教育機関。この学校を卒業しないと『死者の手』には入れないため、実質的入隊試験の代わりになる。生まれてから十五年の男女全てに受験資格が与えられていて、毎年入学試験を行っているが、大多数の受験生は不合格を言い渡され帰ってくる。在学期間は十五歳から通常二十二歳までの七年間。最初の三年間は上層に設立された校舎に併設された寮に住みながら授業と訓練を受け、残りの四年間で、中層にある『死者の手』の支部に移動し実務を行うことが一般的。各生徒の成績や個性、技能を考慮するので、この限りではない。


・魔法

ロズメリアを古くから支えてきた技術だが、機械の発展とともに廃れていき、今では専門の教育機関などに行かないと学ぶこともできない。一般人の大半が、存在は知っていても実際に見たことはない。

あらゆる万物に宿る魔素マナを操作して、様々な現象を引き起こす。マナの操作にはある程度成約があり、基本的には使用者以外のものが持っているマナは操作できない。例えば、他人や物の持つマナには直接干渉できない。空気中に漂うマナには「纏まり」がないので、魔法の扱いに長けたものなら操作も可能。

※魔法の種類と効果については「魔法一覧表」を見て下さい。


・フロウェール語

フロウェール大陸全土で使われている統一言語。各地方や国で多少の差異はあるが、概ねどこの国でも通じる。

※アルファベットによく似た文字です。ぶっちゃけ英語。


・魔獣

フロウェール大陸で猛威を奮う獰猛な生き物。大陸の国々はこれと闘いを繰り広げており、ロズメリアも例外ではない。

ロズメリア人は不死になったことを利用して特攻を繰り返し、近年一気に領土を広げた。その甲斐あって物品の輸出入も頻繁に行われるようになったらしい。


・仕込みナイフ

カッケー武器。


・通貨

ロズメリアで使用されている通過は四つの名称がある。それぞれ価値が高いものから順に、エタル、アード、イード、ブリオ。一エタルは百アードで、一アードは十イード、一イードは十ブリオとなる。

エタル、アード、イードは紙幣で、ブリオは硬貨。中層以上になるとブリオはほとんど流通してない。下層ではブリオ硬貨も使用されているが、鋳造の質も悪い。新規で作る、ということもないため、徐々にイード以上の取引が増えてきている。

※メタい話ですが、一エタルは日本で言う十万円くらいだと思って下さい。アードが千円、イードが百円、ブリオが十円、くらいの感覚です。


・不死否定派

不死を否定し、寿命を迎えて死ぬことを望む人間の総称。なにか困ったらとりあえず巻き戻る、が横行している現状に対して、このような存在は最早人間ではない、という主張を行っている。

アスターシャムという古い家が不死否定派の筆頭。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ