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ありがとうを、君へ。  作者: 水上圭那
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春、祝進級。

―――春。

桜が満開になり、暖かな日差しが差し、新たな旅立ちを祝福するかのような晴れ晴れとした青い空。


池上孝也(いけがみたかや)は無事に高校2年へと、進級することができた。

孝也が通う白水高校(愛称として、白高と呼ばれている)は少し特殊で、高校ながら大学と同じく、単位制となっている。

もちろん、他の高校にも単位は存在するが、白高は全授業で決められた単位を取れることを条件に、自らカリキュラムを組むことができる。

また、出席日数に対しても、欠席人数が少なくとも単位が取れるのならばあまり成績には大きな影響は与えない仕組みになっている。

だが、大体の生徒はちゃんと出席し、しっかりと授業を受けている。

白高は、その自由性などから人気があるが、その分偏差値が高い。自然としっかりと進学を見据えた生徒が多く入学してくるためである。


しかし、孝也は違った。

孝也はある程度勉強ができたおかげで白高に入学はできたが、孝也にとって進学など頭にはなかった。

単位さえ取れれば出席日数はあまり気にしない―――そんな校風に惹かれ入学したのだから。


(あぁ、早く家に帰りたい…。帰って早くギターに触りたい…。)

孝也はギターが好きだ。

ギターを弾くことも。聞くことも。

個人的に「弾いてみた」という動画も、サイトへとアップしているほどだ。

しかし、バンドなどはやろうという気はサラサラなかった。


人が苦手なのだ。

1人で趣味に打ち込む時間が多かったせいで、他人とのコミュニケーションをとることもせず、ただ、1人だったのだ。

ネット上では多くの友人を持つが、現実では―――いわゆる「根暗」と呼ばれる感じになっていた。

話すことは最小限。必要以上のことはやらない。

週2ほどのペース(土日は含まない)で欠席しているのだから、友人など出来るわけないのだが。


もちろん、そんなペースで欠席していたのだ。

1年時の進級目の前にして、単位が足りていないことに気づき

春休みに補修を受ける羽目になった。

幸い、足りていなかったのは2教科で、それも足りていないのも少しだけだったので、4日間の補修で進級を許された。


2年ではこんな醜態は晒すまい。

そう、反省した孝也だったが始業式の今日。

早速、もう学校に行く気が失せてしまっていた。


こんなとこで勉強するより、家でネットに張り付いていたいなぁ…


半ニート的な思考を持ちながらも、ちゃんと学校には登校しているのだからまだいいだろう。

クラス替えもあるので、クラス確認をするため…ということもあるが。


孝也にとって、このクラス替えはどうでもよかった。

1年の時、真面目に学校に行ってなかったものだから、友人などいやしない。

クラスに対する思い入れもない。


今年もどうせ同じだ。何も変わらない。


そう思っていた。

いや、そうなるはずだったんだ。


良くも悪くも、ネット上の孝也のことを知っている

いや、正しくは、孝也のファンの1人である、草壁若菜(くさかべわかな)と同じクラスになるなんてことがなければ。

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