興味、津々。
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―――ふっ。
あの時のことを思い出すとつい笑いが込み上げてくる。
放課後、机に突っぷして眠っていたら椅子からずり落ちてしまったらしい。
ぶっちゃけて言うと、その瞬間のことは全然覚えてない。俺の寝相の悪さはうちの家族全員のお墨付きだ。
まぁ、あの靴の色から察するに3年生であろう先輩が教室に入った時はうっすらと意識があった気がする。ずり落ちたのはおそらくそれより前だろうか。
目を開けなくてもわかるリアクション。
とてもわかりやすい人なんだろうな、と思った。
嘘もつけないような。
あの人が俺の近くまで来るとは思わなかったけど、
それ以上に想定外だったのは、頭を撫でられたということだ。
この歳になって…頭を撫でられるなんてなぁ…
なんだか複雑な気分だ。
しかし、それと同時にあの先輩への興味がふつふつと湧いてくるのが感じられた。
最近、面白いこともやりたいこともなかったし…
あの先輩にお近づきになりたい、かな。
そんなことを考えながら、帰る支度をする。
…あの先輩といると、変われるかもしれない。
自分の中の、何かが。
そんな期待を心の奥底でしながら響は家に帰った。