衝撃の展開
山岡と切野は、驚きのあまり声を上げた。
「彼は今、一階のロビーにいます。取調室に呼びましょうか?」
高木は真面目な表情で、二人に問いかけた。
「お願い。」
高木はそう言うと、その人物を呼び出した。
「こんにちは。」
ほっそりとした体格で、髪がなく、スーツを着た男性が挨拶をした。
その声を聞いた瞬間、切野ははっとした。
ーこの声、前にも聞いたような…。何だったっけ?まあ、いいか。ー
「こんにちは。お名前は何ですか?」
切野は冷静に尋ねた。
「名前? ああ、ニノ花 玉男だ。四井墨共銀行の行員だ。よろしく。」
彼は一瞬間を置いてから答えた。
ーニノ花?
そんな名字、あるのか?
しかも口調が銀行員っぽくない…。ー
切野は一瞬疑問に思ったが、あまりにも疲れていたため、深く考えなかった。
「あなた、先ほど自分がこの事件の犯人だと言いましたね。それは本当ですか?」
切野は変わらぬ口調で聞いた。
「そうだ。俺が犯人だ。その証拠に、これを見せてやろう。ほら。」
ニノ花はそう言うと、横浜市役所と企業連合の通帳のコピー、十ページほどを自慢げに差し出した。
それを見た瞬間、二人は息をのんだ。
すべての口座情報が、そこに詳細に記されていたからだ。
「これを全部、お前が銀行から盗み出して、この事件を起こしたんだな。」
山岡は厳しい口調で問い詰めた。
「そうだ。」
ニノ花はニヤニヤと笑いながら答えた。
「では、お前を現行犯逮捕する。」
山岡はそう言って、手錠をかけようとした。
すると驚くべきことに、ニノ花は自ら両手を差し出した。
山岡は一瞬戸惑ったものの、ニノ花を逮捕し、パトカーに乗せた。
しかしニノ花は、車内でも終始ニヤニヤと笑い続けていた。
さすがの山岡も、不気味さを覚えずにはいられなかった。
「…何だか、あまりにも簡単に解決しすぎていませんか?」
切野は不安そうに、山岡に尋ねた。
「確かに…。
だが、横浜市役所と企業連合の通帳情報を持っていた以上、彼以外は考えにくい。」
山岡は戸惑いながらも、そう答えた。
そして翌朝、ニノ花の家宅捜索が行われた。
しかし、彼の自宅からは、事件に関係すると思われるものは何一つ見つからなかった。
「はあ!?
どういうことだよ!!ニノ花のパソコンは、ちゃんと調べたのか!!?」
山岡は珍しく声を荒げ、部下に詰め寄った。
「それが…ニノ花のパソコンにも、事件に関係性があるものは一切見つかりませんでした!」




