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ストラテジーゲーム  作者: Dr.Kei
ヘルメス結成編

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3/27

彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず

すると、細川のほほ笑みはすぐさま消えて、スピルバーグを険しい表情で見た。

カフェにいた人々は皆スピルバーグの方をじろじろと見ていた。

「スピルバーグ、やめろ。」

細川は、静かに、しかしいかにも怖そうに言った。

その瞬間、スピルバーグは、強力すぎる威圧と奥深い恐怖を覚えた。

そして、スピルバーグは、すぐさまやめた。

細川は思いやりと、冷酷さを持ち合わせている、まさに悪のカリスマだ。

「彼女は自分から公安だと言ってくれたから、敵ではないはずに決まっているだろう。

本当に裏切り者だったら、自分からは言わずにお取り調査をするだけだ。

それとスピルバーグ、お前はすぐに人を先入観で決めつけてはいけない。

いいか、人間には、表と裏がある。

例えば、表ではいい性格を振る舞っても、裏では犯罪を犯している芸能人はいる。

逆に、表では世間の人々に嫌われていても、裏では慈善活動を行っている政治家もいる。

だから、人を疑うのはいいことだが、よく観察してから決めなさい。」

細川は優しく言った。

「ごめん、分かった。

もう二度としない。」

スピルバーグはしっかりと反省した顔で謝ったので、細川は満足そうに優しく笑った。

「すまん、続きをお願い。」

細川はさきほどの女性に申し訳なさそうに言った。

彼女は胸ぐらを掴まれてもなお、作り笑いをして、感情を抑えていた。

「私は、警察の情報をあなたたちに伝えて、偽名はピノキオというキャラクターが好きなので、ピノキオとして協力します。」

彼女は微笑んで言った。

「なるほど、二重スパイという訳か・・・。」

細川は、少し悩んで言った。

「よい、よろしくな。」

細川は喜んで言った。

「ありがとうございます!」

すると、彼女は自分が理解されたように思い、満面の笑みで言った。

しかしその後、彼女は一瞬で真顔になった。

「あのー、細川さんはどういう偽名を使いますか?」

ピノキオは不思議そうに言った。

「そうだな、気になるな。」

スピルバーグが面白そうに言った。

「僕は・・・歴史上最も有名な詐欺師の、チャールズ・ポンジから取って、ポンジでいこう。

で、チーム名はヘルメスだ。」

細川は満足気に言った。

「ヘルメス、嘘の神か、いいね。」

スピルバーグは面白そうに言った。

「他の人もその名前でいいか?」

ポンジは聞いた。

「いいよ。」

「いいですよ。」

「オーケー。」

クロネコと、ニコラ、ジョブズは同意した。

「じゃあ、それは決まりということにして、次にみんなにファミリーの印として、ヘルメス登録書に君たちの情報を記入してくれ。」

ポンジはそう言って、みんなに契約書を配り、みんなはそれに記入した。

「終わったか?」

ポンジはみんなに聞いた。

「はい。」

「はい。」

「はーい。」

みんなは返事した。

そしてポンジは、彼らから契約書を回収した。

「次に、みんなにファミリーの印として、ロラックスの時計を配ります。」

ポンジは言った。

「時計?

しかもロラックス!?

最高じゃない!!」

ピノキオは嬉しさのあまり、大声をあげた。

「そう、ロラックスの時計だ。

しかし、これは普通の時計ではない。

この時計の中には、GPSと、音声通信、そして麻酔銃が、入っている。

それにより、君達の状況を把握することができるし、もし仮に君達が危険な状態になった場合、助けることもできる。」

ポンジは誇らしく説明した。

「そんなもの、どうやって手に入れたんですか?」

ジョブズが細川に不思議そうに聞いた。

「メルカラで中古で買って、自分で改良した。」

細川がまた誇らしく言った。

「へえー、すごーい!」

みんなは感心した。

「最後に、みんなで役割分担を決めよう。役割はみんなをまとめるリーダー、資金を集め、詐欺実行後に、マネー・ロンダリングを担当する資金屋、法律を調査し、抜け道を探す法律屋、ターゲットに関する情報を調査する情報屋、実行役を指揮するキャスティング、偽造書類を作成する細工屋がある。」

ポンジは言った。

「じゃあ僕は資金屋にします。」

ニコラは言った。

「私は、元弁護士だから法律屋で。」

クロネコが言った。

「私は、情報屋になります。」

ピノキオが言った。

「俺、映画監督志望だったからキャスティングやる。」

スピルバーグが言った。

「じゃあ僕、細工屋。」

ジョブズが言った。

そして、ポンジはメモをし、そしてこう言った。

「そして、僕がリーダーになるから、みんなよろしくな。

みんな、これからは全員仲間、いやファミリーだ。

この狂った世の中を変えるために、みんなで頑張ろう!!」

「そうですね。」

「当たり前だわ。」

「そうですね!」

「そうだな!」

「そうですね。」

彼らは希望を持つように言った。

そして、ポンジは言った。

「じゃあこれから拠点に行こう。」

すると、みんなは驚いた。

「もう建物は購入しているんですか?」

ピノキオは不思議そうに聞いた。

「そうだ。

もう昔から使わずに持っている。」

ポンジは自慢気に言った。

そしてヘルメスのメンバーたちは、都営東京線を使って新宿駅で降り、歌舞伎町一番街へ向かった。

それから外れたところへしばらく歩くと、ポンジは指を指してこう言った。

「ここが新たな拠点だ。」

そこには、コンクリートが剥き出しになっているボロボロな廃ビルがあった。

中に入ると、コンクリートの壁に囲まれた、薄暗いエントランスがあった。

「何か不気味ですね・・・。」

ピノキオが怯えて言った。

「はあ?

何言ってるの?

これくらいで不気味なんか言ってたら、詐欺師失格よ。」

クロネコはクールに言った。

「そうなんですか、あはははは・・・。」

ピノキオは苦笑いをして言った。

そしてその先にある階段を登って二階に上がると、広くて、2つのふかふかのソファと、しっかりとした黒い木製の長テーブルがある部屋があった。

「ここはオシャレでいいですね。」

ピノキオは少し微笑んで言った。

「そうですね、しっかりしたオフィス用のデスクもありますし。」

ニコラはニヤリとして言った。

そして三階に上がると、ちょうど6つの部屋があり、中は埃っぽいが、豪華な内装だった。

「懐かしいですね。

私が裕福だった頃を思い出します。」

ピノキオは懐かしそうに言った。

それからその上の階へ上がると、そこは屋上だった。

「わあ、景色がいいですね。」

彼女は嬉しそうに言った。

「そうだな、夜ここでビールを飲んだら最高だな。」

スピルバーグも嬉しそうに言った。

そして彼らはテーブルに集合して、作戦会議を始めた。

「じゃあまず作戦を立てよう。

何をターゲットにしようか?」

ポンジはみんなに聞いた。

するとニコラが冷静に言った。

「典型的な方法としては、オレオレ詐欺・・・。」

「そんな規模の小さいことをしても意味がないよ。」

ポンジはニコラの話を遮って言った。

「もっと大きくて面白いものをやろうじゃないか。」

ポンジはそう言ったが、みんなはあまり納得していなかった。

「でも、それはハイリスクに・・・。」

ニコラは冷静に言った。

「ハイリスク?

何を言っているんだ?

そもそも詐欺師という職業自体いつも危険と隣り合わせじゃないか。」

ポンジは言った。

「いいか、ナポレオンが残した言葉の中に、私の辞書に不可能という文字はないという有名な言葉がある。

これは要するに、何事も失敗を恐れずに、挑戦してみよう、ということだ。

仮にそれで失敗しても、必ず次の成功のもとになる。

だから、みんな、もっと夢は大きくしよう!」

ポンジは希望を持って言った。

「分かりました。」

ニコラはそう言って、みんなは納得したようだった。

「じゃあ私に一つ、提案があります。」

ピノキオは突然嬉しそうに言った。

「4年後に、IR事業という横浜港で、カジノリゾートを建設するという計画が予定されています。

恐らくこの計画は、金山銀行が融資をするでしょう。」

ピノキオは詳しく説明した。

「なぜそれが分かるのか?」

「まず、金山銀行の公式ホームページには、ほら、このように。」

ピノキオはみんなにパソコンの画面を見せた。

ー我々、金山銀行社員一同は、IR事業を支援しています。ー

「と、書かれています。

なので私たちは金山銀行に入社し、取り引きの過程で、手数料や、保証金という名目で、大金を私たちの口座に入金させるという方法はどうでしょうか?」

ピノキオはポンジに聞いた。

「いやそれはちょっと・・・。」

「素晴らしい、それでいこう。」

「え?」

ニコラの話を遮って、ポンジが決定したので、みんなは戸惑った。

「そのような施設は、主にお金に余裕がある、要は富裕層向けだから、この計画のターゲットにピッタリだ。

それにこの計画が成功したら、お金を独占している億万長者に対して、恐怖を覚えさせられる。

何よりこの計画は一見とても困難に見えるが、意外と簡単だ。

なぜなら、歴史的に見ても、横浜市が発展したのは金山財閥のおかけだと言ってもいいくらいこの財閥から恩恵を受けている。

だから横浜市役所は、完全に金山銀行を信用している。

だから、この計画に決定しようと思う。」

ポンジは詳しく言った。

「でもこれは、国家までもが絡んだ一大プロジェクトですよ。

もしも失敗したら、大変なことに・・・。」

ニコラはポンジに反論し続けた。

「じゃあこんなに経済不況でたくさんの人々が生活に苦しんでいるのは、誰のせいなのか?」

ポンジは優しくニコラに質問した。

「国家と、・・富裕層・・・。」

ニコラは一点を見つめて言った。

「じゃあどんな危険を犯してでも、そいつらを変えるべきじゃないか。

ニコラ、いっしょに頑張ってこの世界を変えよう!

みんなが幸せになれる世界を!」

ポンジは希望が溢れるように言った。

その瞬間、ニコラはその様子に感銘を受けた。

「そうですね。

そこまで言うなら、僕も全力で協力するとしましょう。」

ニコラは、少し笑って言った。

彼は納得したようだった。

「その代わりに・・・。」

ニコラはみんなが三階の部屋に戻った時に、ポンジに話しかけた。

「何だい、ニコラ?」

ポンジは彼に聞いたので、ニコラはポンジと話し合った。

次の日の朝、みんなは起きて二階に降り、ポンジが作ったパンと、トースト、コーヒーを食べて、飲み、テーブルに集合し、作戦会議を始めた。

「じゃあ今日は1ヶ月後の入社試験の準備を行う。

ポンジはピノキオに頼んだ。

「まずは役割分担だ。

まず、資金屋のニコラ。

この作戦にかかる費用は事前に10万円あるから、この費用をうまくやりくりして、入社試験に必要な本、そしてスーツを用意してくれ。

そして、君は才能もあるので、実行役の一人でもある。

だから、キャスティングのスピルバーグの脚本通り、練習してくれ。

分かったか?」

ポンジはニコラに優しく頼んだ。

「はい、こんなの朝飯前です。」

ニコラは冷静に言った。

「頼もしいな、頑張れ。

次に法律屋のクロネコと、情報屋のピノキオ。

君は入社試験に関する調査をして、資料をつくってくれ。」

ポンジはクロネコに優しく頼んだ。

「はい、分かりました。」

「余裕だわ。」

彼女たちは言った。

「そして細工屋のジョブズ。

君は入社試験に必要な偽造書類を作ってくれ。」

ポンジはジョブズに優しく頼んだ。

「分かりました、作っときます。」

ジョブズは小声で頭を下げて言った。

「大丈夫か、ジョブズ。」

ポンジは心配してジョブズに聞いた。

「大丈夫、彼は恥ずかしがり屋のだけだから。」

クロネコは笑いながら説明した。

「そうか、じゃあ良かった。

最後にキャスティングのスピルバーグ。

君はクロネコと、夜にここ周辺で、トー横キッズを見つけて実行役にしなさい。」

「え!?

何でだよ?」

スピルバーグは言った。

「歌舞伎町にいる若者は、この世の中の抑圧のせいで、精神的に追い込まれ、オーバー・ドーズや、麻薬、未成年の飲酒、喫煙、売春などの法律のグレー・ゾーンもしくは違反することをしている人が多い。

そしてそのうちにこの人達は警察に逮捕されるだけだ。

でも、僕は思った。

果たして本当にそれは正義か?

警察は本当に正しいことをやっているのか!?

この人たちはこの世の中の抑圧に負けたため、他人に迷惑をかけずに、精神的苦痛を忘れるために、やっているだけだ。

でもそれは彼らにとって良くないことだ。

だから、僕は彼らを逮捕するのではなく、救済すべきだと思う。

僕は彼らを実行役に抜擢し、多額な報酬をあげて彼らの生活を良くし、彼らを警察から守ることを補償する上で、この計画を秘密にしてもらうようにしたい。」

ポンジは熱意を持って言った。

「だから頼む、スピルバーグ。

一緒に頑張ろう。」

ポンジはそう言った途端、スピルバーグは目を大きく開けた。

それから彼は笑顔になってこう言った。

「そうだな!みんなで頑張って、この世の中をもっと温かくしよう!」

そしてついに仕事が始まった。

ニコラはパーカーとマスクを着て、本とスーツを買いに出かけた。

まず、彼は、新宿駅前の洋服の青川に行き、スーツを5人分買った。

そして彼は、新宿3丁目まで歩いて行き、本の国屋本店の中に入って、その中のビジネスコーナーで、彼は本を探した。

すると、入社試験に関する本の棚を見つけた。

そして彼は少しニヤリと笑った。

するとニコラが気づかない内に背後に人がいた。

「ねえ。」

その声を聞いた途端、彼は驚いて後ろを振り返った。

「君・・・回田君だよね。」

するとそこには・・・。

かつてニコラのライバルだった、切野賢人がいた。

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