ファミリーとの出会い
彼はそれから来る日も来る日も図書館に行き、一生懸命詐欺に関する本を漁って、読んだ。
そして、家に帰ると、彼はすぐにテレビで、詐欺師のドラマを夢中になって見ていた。
そんな日々を過ごしているうちに一ヶ月が経ち、彼もだいぶ詐欺の知識を身に付けていった。
それから、彼は仲間集めをしようと思ったが、どういう仲間がいいか、検討も付かなかったため、とりあえず、ホームレスがうろついているお台場海浜公園に行ってみることにした。
しかし、かれは深夜、公園に着いたとたん、息を呑んだ。
なぜなら、この公園はあまりにも、ひどい状況だったからだ。
だが、彼は勇気を振り絞って、中に入った。
そして、彼は一人一人ホームレスに声をかけたが、ほとんどの人は反応すらしなかった。
しかし、10人目で、やっと返事をしてくれるホームレスを見つけた。
彼は若く、シャツを着ていたが、ホームレスのように床に寝そべっていた。
「大丈夫か。」
細川は、ホームレスに心配して聞いた。
「僕の今の状態が大丈夫だと思いますか?」
ホームレスはため息をついて言った。
「大丈夫そうでは無さそうだね、あなたの人生で何があったかお話してもらってもいいか?」
細川は心配して言った。
「ハア、いいですよ。」
ホームレスはため息を吐き、言った。
「どうぞ。」
「僕は昔から頭の回転が早く、中学までは普通の公立でしたが、高校は東京でも有数の名門校、東京都立響谷高等学校に入学し、大学は、イギリスに留学し、オックスフォード大学経済学部に入学しました。
その後、僕は、アメリカに移住し、大手銀行会社ルーマン銀行に入社しました。」
ホームレスは冷静に説明した。
「じゃあ一生安泰じゃないか。なぜそんなことに・・・。」
「そう思いますよね?僕もそう思いましたよ。
もうこれから二度と苦労なんてしないと。
でも、違った。
それから、急に、急にだ!
ルーマンショックていう不況が起きたんですよ。
そのせいで、ルーマンブラザーズは倒産し、僕は仕事を失い、一旦日本に帰って、雇ってくれる企業を探したんですけど、どの会社も僕を受け入れてくれなくて、それで、今、僕はホームレスなんですよ。」
ホームレスは、半泣きで言った。
すると、細川は、目を大きく開けて言った。
「僕と・・・、同じだ・・・。」
細川は自分と同じ状況の人の話を聞いて、初めて安心し、心の底から感動した。
「僕、すごい計画を立てていて、詐欺集団を結成し、様々な悪徳企業を騙して大金を取り、僕たちがいい暮らしをした後に、貧しい人々をどんどんファミリーに入れて、お金をあげ、彼らの生活を良くして、世界を救う計画なんだけど・・・。」
「いいじゃないですか!!やりましょうよ二人で!」
ホームレスは即答で、引き受けた。
すると、4人のホームレスが来て言った。
「私も。」
「俺も!」
「私も。」
「僕も。」
4人は希望を持って言った。
「いいよ!みんなでやろうよ!!」
細川は初めて心の底からニッコリ笑った。
それから6人は、柵に寄りかかって、東京湾のビル群を眺めた。
そして、細川はこう言った。
「あのビル群の光を全部盗んで、みんなに平等に分け与えよう、いつか。」