退屈な毎日
この世界にいる全ての生きづらい人々へ
僕は少しでも勇気を与え、世界がより良くなることを祈って、この作品をあなたに捧げます
カタカタカタカタという音が鳴り響く日本ユーセフ協会の職場で、いろんな職員がパソコンを真面目そうに打っていた。
しかしその中の一人、40代で天然パーマの長髪の男性、細川 流はパソコンをつまらなさそうな表情で、ひじをついて、仕事をしていた。
すると、厳岩人事部長がそのだらしない様子を見て、注意した。
「細川!何だその態度は!?やる気あんのか!?」
「はい、すみません。以後、気をつけます。」
細川は棒読みで言った。
「はあ?お前それ本気で言っているのか?次そんな態度だったら、副部長降職させるからな!?」
厳岩は大声を出して激怒した。
「はい、本当に申し訳ございませんでした。」
細川はまた棒読みして言った。
そして、厳岩は首をわざとらしく傾げて去っていった。
その夜、彼は一人で、両国駅前をとぼとぼ歩いていた。
そして、いつも行きつけの鍋屋に行った。
彼はガラガラガラと扉を開けた。
「いらっしゃいませ。」
店員さんがニコニコで言った。
中は誰も人がいなく、シーンとしていた。
そして彼は日本酒とちゃんこ鍋を注文し、しばらくすると料理が来た。
そして、それを食べながら、テレビを見始めた。
「次のニュースです。
最近、知らない電話番号からの電話で、知人を装い、お金を要求するいわゆるオレオレ詐欺が多発しています。・・・」
すると、細川はふと疑問に思ったので、店員に聞いた。
「最近、詐欺に引っかかる人って、多いんですかね?」
「そうね、結構そんな話を聞きましたねえ。
最近私の友達も、偽のヨガ教室を申し込んで、不当に高額な会員費を請求されて、慌ててキャンセルしたんだけど、キャンセル料まで請求されて、結局警察に通報して、解決したらしいけど。ぞっとするわよねえ。」
店員は怯えるように言った。
「はあ、確かに・・・。」
細川は口ではそう言っていたが、何か憧れるような目をしていた。
次の週の月曜日、彼はいつものように、山手線に乗り、ユーセフハウスに出勤した。
しかし、職場に着いた途端、中からギャー、ワーといういろんな人の悲鳴が聞こえた。
彼はゆっくり歩いて、奥の方へ行った。
すると、彼は異様な光景を見た。
普段は静かな職場も、今日は騒然としていたし、職員は皆泣きわめていた。
「どうしたんですか?」
細川は深刻そうな顔である男性の職員に心配して聞いた。
「会社が・・・。」
「会社が?」
「つぶれた・・・。」
その瞬間、彼は全てが終了したような顔になった。
外は土砂降りのような雨が降っていたが、彼は傘を差さずに、とぼとぼ歩いてマンションに帰った。
そして家に帰った瞬間、彼はひとりで暴れた。
「うわあああああああああああああ!!!!」
そして彼は部屋をめちゃくちゃにした。
すると、壊れたテーブルに隠れて出てきた新聞紙を彼は見た。
そこにはこう書かれていた。
ー詐欺師、誕生ー
その瞬間、くしゃくしゃになった髪に隠れた彼の顔は急に不自然に笑った。