秒で違和感
「ただいまー♪」
勢いよく玄関のドアを開けた。
私の家のリビングは2階にある。
あれれ、、、階段を登っても登ってもリビングに着かない。
うちの階段は10数段くらいしかないはずなのに、、、いつもはものの数秒で一気に上がり切れるのだ。
「ハァッハァッお母さん!」
私は少し不安になりリビングにいるであろう母を呼んだ。
シーン、、、。
母からの返事は無かった。
良い天気だし洗濯物でベランダへ行って気付いていないのかもしれない。
それにしても後何段あるんだこの階段は、、。
私は少し休憩してから次はリビングまで一気に行こうと決意していた。
(ガチャッ)玄関のドアの開く音がした。
母がかえってきた?!どこか行っていたのか、、。
(パンパン!)「お邪魔します!」
あ!お客さんだ!
私は「はーい!今行きます!ちょっと待って下さいね。」と言ったがそのお客さんは勢いよく階段を登ってきたのだ。
そして私の所まで辿り着きぶつかると思い体を最大限に小さくしていたら、そのお客さんが、
「お帰りですか?」と私に行ってきたのだ。
「え?どちら様ですか?」
「私はここに来るのは初めて何ですけど、、じゃあお先に!」
見知らぬお客はそう言うと私を置き去りにして階段を駆け上がって行った。
母の友達?
(ガチャッ)また誰かがやって来た。
今度は何十人と言うガタイの良い男子学生たちが階段を登って来た。
私はまたしても最大限体を小さくしてその集団が通過するまでじっとしていた。
そして少しするとまた上からその集団が降りて来て、
何回もそれを繰り返していた。
私はあまりの事に腰を抜かし1人の学生さんにお願いして上までおぶって上がってもらう事にした。
「はい!着きましたよ!」「ありがとう。え!?」
そこには2階のリビングではなく、屋上みたいな場所に鳥居があってまるで神社のような場所だったのだ。
どゆこと?!
この鳥居は何?!
しかもうちは2階建てやのにこれ明らか4階くらいある高さやん!!
「お母さん!どこー!」
「お帰りー?」
「お母さん、これどゆこと?!いろんな人が家に出入りしてるし、私なんかここまで学生さんにおぶって来てもらったんやで!しかも何この鳥居は?!」
「あんたが合宿に行っている間に少しばかりリフォームしてもらったんよ。あんたが部活で大活躍してこの間も優勝したやん、、それを近所の人がすごいすごい!って言うてくれてな。その時は本間嬉しかったわー!!ほんでこの間お母さん宝くじこーてんけど、、、なんと!!1億円当たりましたー!!」
「えー!!!すごいやん!!!」
「そやろ!近所の人に言うたらもうすごいすごい!って言われて、ここパワースポットなんちゃうん?!
てめっちゃ盛り上がってもうてなー。ほやったらもうココを神社にしたろーおもてな!!」
「流石にやり過ぎやろ?!お父さん反対しんかったん?」
お父さんの話をすると急にお母さんのテンションが一気に急降下した。
「あの男、若い女と私の一億円持ち逃げしやがったんよ!」
「嘘やろー!!ここのリフォーム代払えへんやん!どうすんのよ!」
「それやねん。。もう借金まみれやわ。近所の人にはよー言えん。やからもうあんただけやねん!ここのパワースポットはあんた頼みやねん!今度も優勝してな!そしたらもっと人が来てくれる、、、。」
「もう辞めたって!学校も部活も!友達のとこフラフラ泊まりに歩いてただけやし。」
「辞めたって、、何で相談もなしに!理由は?!」
「この女に彼氏取られてん。これ!!私の方がかわいいよな?」
「この女!!お父さんと逃げた女や!!一億円も!
娘の彼氏まで!!本間許さん!行くで!!」
私と母は優勝トロフィーを2つ手にしてあの女を探すべくあてもなくそこら中探し回ったのだった。