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しんせかい  作者: 日陰四隅
第二章 リンネ
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旅路

 なだらかに続く平原を俺、ケージと仲間達は荷馬車に揺られていた。理由は件の外国巡り。その記念すべき一国に向けての道中であった、クソッタレ。


 穏やかに流れる景色が眠気を誘う。荷台の中をさっと見ればアオエが肩に刀を立て掛け目をつむり、カズヤが馬車の外を見ながら退屈そうにあくびをしていた。


 目的地は"マギア"。ガーデンに存在している魔法使いのそのほとんどが移住している国家であり、文字通り魔法が当たり前のように存在している世界だ。


 "マギア"はこの平坦な草原の先にある。過去にさかのぼればもともとはホーマーズが住んでいた国の跡地になる。一見侵略行為に等しいが、アザーズが営む国家のその前形は皆過去の大戦で壊滅していた。彼らはその跡地を間借りして移り住んでいた。


 当然の如く、その行為に反感を持つホーマーズも少なくはない。その最たる連中が件のアンチ・アザーズだ。我らの先祖の土地を取り戻そう、なんて標語を掲げている連中もいるが、俺から言わせれば自業自得と厚顔無恥以外に言葉が見つからない。そもそも、この状況を招いたのは一体誰なのか、それをもう一度考え直したらいいのではないだろうか。


 さらにいえば今目指している"マギア"に関しては歴史保存の名目で大戦以前のガーデンの歴史、特に"マギア"の前形である"フォーチュン"について調査、保存、編集を執り行っている。その力の入れようはこちらもどうかと思うほどで、リンネから歴史学者まで招致し、文化保護区まで設定している程だ。


 彼らの何がそこまでさせるのかは理解できないが、少なからずこのガーデンに対して彼らが敬意を払っていてくれている事には違いなかった。


 そのような経緯もあり、ガーデンにおいてマギアはリンネともっとも親しい関係を持つアザーズの国家であった。その方針を打ち出しているのは建国から今だ現役であるマギア代表、ロード・ユーリウスその人であった。


 曰く、ガーデンでもっとも偉大な魔術師と称される存在であり、威厳と荘厳を兼ね備えた統率者として相応しい人物である、という評価を受けていた。それを聞く限りでは茶目っ気とユーモア溢れるうちの国のトップとは大違いなのだが、所詮人から聞いた話なんぞその程度である。


 路上の石か何かを踏んだのか荷馬車が跳ねた。短く立てに揺れ、手首に巻かれた編み物の腕輪が肌を擦った。そのこそばゆい感覚に思わず視線を落とした。


 それは俺達がマギアへと出発する少し前の日、荷物をまとめて部署異動を行っている時の話の事だった。

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