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第9話 新たなる出会い

 初登校当日、お母さんとお父さんに見守られながら、玄関で靴を履いた。


「マーくん。忘れ物ない? 体調は大丈夫?」

「マコト。同級生にいじめられたり、なにかされたら、すぐに遠慮なく言うんだぞ!」


 ここまで過保護だと、こっちも甘えたくなる。


「昨日、準備したから大丈夫!! 体調も大丈夫だよ!」

「同級生と波長が合わなければ、すぐに言うね! 心配してくれてありがとう。」


 二人とも、泣きそうになりながら、見守っている。


「アオイ姉ちゃんは先行ったの?」

「アオイちゃんなら、今日は日直当番だからって早めに、行ったわよ」

「そうなんだ。バス一緒だから、一緒に行こうと思ったんだけどな……」


 行きしなに、小学校について聞こうと思っていたが、また今度にしよう。


「ごめんな。ランドセル、アオイのお古で」


 お父さんが、申し訳なさそうに言った。

 色々な手続きや準備物で、お金がなくなり、ランドセルだけアオイのお古になった。


「そんなことないよ!! ランドセル以外に関しては、全部新しいし、俺、赤好きだからこのランドセルがよかった!!」


 俺の返答を聞いて、お父さんは号泣した。


「色々とありがとうね!! じゃあ、遅刻しちゃうかもだから、行ってきます!!!」


 そういって、見守る両親にバイバイと手を振って、家を後にした。





 バス停に着いた。

 バスの定期券がポケットに入っていることを確認した。


(用意周到。新生活早々、しくじったら、後に引くからね)


 そうやって、自信満々にバス停を待っていると、真横に誰かが来た。


(こんな田舎の朝に、バスを待つなんて、俺以外にもいるんだな)


 チラッと横の人物を確認してみると、女子高生だった。セーラー服の女子高生。アオイと同じ制服である。


 もしかすると、この女子高生。アオイといつも高校に通っている『アカネ』という子ではないだろうか。以前、お父さんの会話で聞いた名だ。今日は、アオイは日直で早めに学校に行っているらしいが、日直がなければ、この時間帯だろう。


 そう思考を巡らせていると、横からとてつもない視線を感じた。

 多分、横の女子高生に、見られている。


 もう一度、チラッと見た。目が合った。

 その女子高生は、ニコッと笑い、頷いた。


「おはようございます。いつも、このバスに乗るんですか?」


 さすがに、何も喋らないのは、気まずいと思い、話しかけてみた。


「おはよう。大当たり! 君に7ポイントを授けよう」


 あぁ、この人には、話しかけないほうがよかったと、後悔した。


「君、見かけない顔だね」

「まぁ、最近引っ越してきたばかりなので。このバス停を使うのも初めてなんです」


 不気味な笑みを浮かべながら、こちらをジロジロと見てくる。


「ふぅ~ん。道理で見ない顔だ。それよかさ、なんでそんなにランドセルボロいの?」


 謎の少女は問い詰めるように聞いてきた。


「姉からのお古なんで」


 俺は、けだるく答える。

 なぜだか、この謎の少女には、あまり触れなうほうがいいと感じた。ただ、田舎のバス停。来るバスも、なかなか、来ない。


「お姉ちゃんって何歳?」

「えっ……。 お姉さんと同い年くらいじゃないですかね」


とはぐらかす。

ただ、よくよく考えてみると、アオイの年齢はあやふやだった。高校生ということは認知しているが、何年生で何歳だったかまでは、わからない。


すると、その少女はクスッと笑って、小バカにするように質問してくる。


「同い年くらいって、自分のお姉ちゃんなんでしょ」


 小バカにされたので、少しムキになって、答える。


「信じてもらえないと思うんですけど、俺、一か月前に拾われたんですよ。なので、家族の細かいプロフィールまでは、把握してません」


 そう言い放ってやった。やった? いやいや、見ずしらずの人間に何話してるんだ……。

 

「へぇ~。それは奇遇だね。実は私も、おとといこの街に、住み始めたんだよ」

「えっ……。 本当ですか?」

「本当!本当!! 実は私たち、ご同輩ってやつ?」


 俺は思わずツッコんでしまった。


「同輩って、仕事仲間でもないですし。だったら、自分のほうが一か月前なんで、上ですね」

「君、言うね~」


 なんか雰囲気が良い。

 こんな絵になるようなことが起きていいのだろうか。快晴の朝に、セーラー服の女子高生とバス停で駄弁だべるなんて。生きててよかった。

 まぁ、俺がランドセルを背負った小学生だから、からかう為に、話しかけたのだろう。


 そんなことをあれやこれやと想像していると、少女はこちら側に体を向けた。


「ねぇ、君。」

「実はお姉さんって、人間じゃないんだけど、気づいてた?」



 その少女から出た問いかけに、唖然とした。



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