第5話 第一次家族会議・勃発
「第1回、マコトくんについての家族会議を始めます!!皆さん、ご着席ください!」
そういって、この家の主であるアオイパパが、仕切り始める。
リビングの長机に、椅子が丁度4つあった為、みんなで腰掛けた。
そんなこんなで、津曲家 総出で、俺について、今後どうしていくかの家族会議がとり行われた。
まずは、自分の身の上話をざっと、アオイのご両親に伝えた。
「さて、おさらいするとだ。マコトくんは、カワシマ公園のブランコで遊んでいたとこまでは記憶があるが、それ以前の記憶が全くもってないということだね」
「はい……。その後、途方に暮れて、田んぼ道を歩いていると、ベンチに座っている娘さんにお会いし、今にあたります」
俺とアオイパパとで、目を合わせながら、今までのおさらいをした。
「とりあえずは、アオイが提案したように、記憶が戻るまで、家族として家にいなさい。」
「アオイがいう限りでは、警察には関与したくないということだけど、学校や公共施設を使う以上、戸籍がはっきりしていないとダメだろうから、その手続きなんかは、協力してもらうけどいいね?」
最初は、ゆるい感じで始まった家族会議だが、だんだんとみんな、真剣な表情になっていく。
「はい!! 自分にできることがあれば、何でもします!」
子供らしく、明るく元気よく返事をし、協力する旨を伝えた。
「よし! それなら話は早い!! 明日からその手続きをして、マコトくんの保護者が見つからず、何も手掛かりがなければ、ウチの家族として、一緒に生活するということにしよう」
満場一致であった。
家族会議は早々に終了し、明日に備えることになった。
家族会議後、アオイが作ってくれた津曲家特性ピラフを頬張りながら、アオイと雑談した。
「美味しそうに食べてくれて、うれしい」
「物凄くおいしいです!! ぜひ、レシピを聞きたいです!」
「お世辞がうまいねぇ~。」
たわいもない会話をしてホッとする。温かい家族に受け入れてもらい、さらには、おいしいピラフまで頂けるなんて……。
「ホント、ませてるってレベルじゃないよね。本当は大人なんじゃない?」
滝のように汗が出た。自分の正体がわからない以上、本当に大人の可能性もあるし、否定もできない。
「冗談だよ!! そこまで焦るとホントみたいじゃん」
アオイは笑いながら、言った。
「でももしかすると、子供の体にタイムスリップしてきた未来人だったりして。」
アオイは、にやにやと笑みをこぼしながら、詰め寄ってきた。
「怖くなってきました……。」
「ごめん、ごめん。ガキんちょ相手に、マジになりすぎた」
全く反省の色がない目だ。俺のことをにやにやした顔で見てくる。
しかし、アオイが言うように、タイムスリップしてきた説は、可能性としてある。タイムスリップする際に事故で、記憶だけが……みたいな。
それ以外にも、脳だけ移植されて子供として生きる被検体になったとか、変な薬で縮んだとか……。
最後のは、聞いたことがあるような……。
可能性が膨大すぎて、考えるのをやめた。
「そうそう! マコトくんのお部屋ないから、アオイちゃんと一緒に寝てね!!」
アオイママが洗濯物を畳みながら言った。
「わかった!! 狭いけど、我慢してね」
と煎餅をかじりながら、アオイは返事をした。
(一緒に寝る!?!?)
これは波乱の予感がすると、心の奥で覚悟を決めた――