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後五日

今回暴力表現があります。

後五日


「はよ〜、ひーまりー」

「おはよう、理子」

「あと五日かぁ」

ドキッ

「え…な、何が?」

「え?何って、そりゃぁ」

心臓がうるさい。

もしかしたら、あの日理子に話聞かれてた?いや、周りをちゃんと確認した…はず……

「遊ぶ日!」

「は…?」

「だーかーらー、遊ぶ日‼︎」

「あ、なーんだ。そういうこと」

「そんなことって…あ、ねぇ陽茉利も来なよ。ちゃんと人付き合いに慣れないと、ね。可愛い子ちゃーん!」

「可愛くないし、人付き合いに慣れなくてもいい」

「もうー、引きこもりめ!」

「はいはい、引きこもりでーす」

「全く」

「よぉ」

「…?」

「えっ…あの菅井が………」

「菅井君……?」

珍しい。菅井君が自分から声をかけるなんて

「あー……何だ?その、まぁたまにはこういうのも悪くないかなって……」

「ほぇー、あの菅井が……」

「うるせぇ」

「いいんじゃない?ようやくホモ・サピエンスになったってことで」

「は?どういうことだよ」

「分からん」

「せめて理子は分かってよ」

「と、言われましても」

「酷ーい」

「おーい!授業始めるぞー」

「あれ、早くない?」

「何かあったのかな」

「せんせー、授業早くないっすかー?」

このクラスで一番チャラい正田が聞く。

「あー、今日台風直撃するらしいからな。授業を早めて早く帰らせるためだ」

「え⁉︎マジ⁉︎よっしゃー‼︎台風サマありがてー!」

うるさ……

「おいおいはしゃぐな。授業始めるぞ」

「ウィーッス」


「いよっしゃー、終わったー帰ろー」

「理子、台風来るんだよ?ちゃんと準備しなきゃ」

「えー?台風って言っても大雨とかそれくらいっしょ?」

「こういうのは大袈裟なくらいがいいの」

「そんなに?」

「うん。………人はいつ死ぬかわかんないし」

「ん?なんか言った?」

「な、何でもない」

「……」

「理子…?」

「陽茉利は……ずるいよね」

「理子?どうしたの」

急に立ちどまって…

「いっつもあたしがいないところで、あたしが知らないことを、あたしじゃない人に話す…」

「理子、ほんとにどうしたの」

「どうしたの、じゃないわよ‼︎あたしたち親友でしょ⁉︎何であたしに話してくれないの⁉︎前だって、話したばっかりの菅井と

コソコソやってたじゃない‼︎」

「それは…」

余命のことを話してて……

にしても、理子がこんなに怒るなんて知らなかった。

「ほら!またそうやって隠す‼︎どうして話してくれないの⁉︎そんなにあたしにいうのが嫌なの⁉︎」

「違う!そうじゃ…ない」

嫌だよ。言いたくないよ。だって、親友だもん。心配かけたくない。

「ほら!言いたくないんでしょ⁉︎嫌なんでしょ⁉︎」

「っ……それ、は」

「本当に、陽茉利はずるいよ。いっつも、あたしが何か言わないと、一日何も話してくれないし」

「……」

自覚は、あった。だけど、何もってわけじゃない。

「それを、言うならっ、理子だって…いっつも私たち巻き込んで、人の顔見ずに話進めちゃって、結局私が気を使うことになる。ずるいのはそっちじゃんか!」

「だったら一言言えばいいじゃない!」

「無理だよ‼︎」

「–––––っ」

「一言言う。なんて、簡単にできっこないじゃん。それに比べて、思ったことは何でも言っちゃう理子はいいよね。何にも考えずに一言言えるもんね」

「っ私だって、言いたくて言ってるんじゃない‼︎」

「じゃあ何⁉︎勝手に口が喋っちゃうの⁉︎病気じゃないんだし、そんなことありえないでしょ‼︎」

久しぶりに声を荒げた。喉が痛い。でも、そんなのいい。

「…私、帰る。せいぜい勝手に動いちゃう口でも飼い慣らしておきなよ」

「っ陽茉利!」

理子が腕を掴んできた。

「…なに。帰りたいんだけど」

バシン‼︎

叩かれた。と、脳が認識した。頬が熱くて、痛い。

「……理子。叩くなんて、思ってなかった」

「…あ…あ……」

表情を見ればわかる。勝手に体が動いたんだ。

「勝手に動いちゃうのは、体だったんだね。もういいよ。」

「待っ……」

後ろで、理子が啜り泣く声が聞こえる。

でも、関係ない。理子なんて、知らない。

急用のため早めの投稿です

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