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後六日

投稿するのが少し遅れました。

余命まで後六日


文化祭?」

「そうそう。もうすぐらしーよー」

「文化祭かぁ…」

「なになに「、どした?急に黄昏ちゃって」

「別にー、出し物嫌だなぁーって思って」

「確かにー、何になっても準備とかダルいしねー」

「ねー」

「あっ、でも劇とか楽しそうだなぁ、ロミジュリとか!」

「でもさぁ、小道具とか衣装とか大変じゃん」

「それさえ楽しい!」

「えー?」

「でもでも、お化け屋敷とかも楽しそう!」

「そっちの方が嫌だなぁ」

「えー?なんでー?」

「絶対どっかと被ったり、教室狭いからすぐ終わっちゃうし」

「多いなー」

「そう?」

「あー、でもその前に小テスかぁ」

「そうだった…」

「おおーい、授業始めるぞー」

「うわっ、山先じゃん。てことは理科かぁー」

「笹山ー、聞こえてるぞー」

「げっ」

全く、思ったことはすぐ言っちゃう。

長所なのか短所なのか…

「じゃあ今日は結構進めたいから、挨拶は無しで」

…どこまで進める気なんだろう。

私、文系だから理科ってあんまり好きじゃないんだよね。

「〜〜で、ここで元素記号を––––––」

「ふぁ〜」

「おいおい。笹山、あくびをするなら声を出すな」

「え〜?無理です〜」

「ったく、進めるぞ」

いい天気。

雲ひとつない、晴天。

みんな、つまんなそう。寝ちゃってる人もいるし。

山原先生も呆れながら授業を進めている。

ここは窓側の席だから、ポカポカというより暑いくらい。

キーンコーンカーンコーン

「それじゃあ、今日はここまで。予習しとくように」

ガラガラ

「…終わった〜」

「終わったねえ」

「帰ろう〜」

「うん」

予習しとけって言ってたけど、いっか。

めんどくさいし。

「あれ、理科の教科書持ってかないの?」

バレた。

「あー…うん。いいかなって」

「はぁ〜、これだから天才は」

「天才じゃないよ。地頭がいいだけ」

「それを天才っていうのー」

「そうなの?じゃあ理子も天才だ。天才同士仲良くしようぜ」

「陽茉利ってよくキャラわかんない(笑)」

「そうかなぁ」

「佐野木」

「あ、菅井君」

「おっ、なになにー?もしかして付き合ってるのー?」

「もしかしなくても、付き合ってません」

「て言って、付き合ってるんでしょー」

「理子……?」

「陽茉利ってほんと怖い…」

「…はぁ」

「りぃ、今日遊ばない?」

「美湖!いいよ」

りぃって理子のあだ名かな。

「じゃあお先に」

「あっ、うん!また明日!」


「それで?阻止してくれる方法思いついた?」

「ああ」

「!なになに?」

「延命治療」

ドクン

「……」

「あ?」

「何でもない。延命治療かぁ」

「?」

「もっとない?」

「えぇ、うーん…分からん。調べてない」

「おや、いけませんねぇ。いくつか方法を思い付いてないと」

「って言われましても」

「えぇ…」

「しょうがないだろ」

「まぁ、あと六日もあるし」

「いや、六日しかないの間違いだろ」

「時間って意外と長いんだよ?」

「その逆の、時間って意外と短いんだぞ?」

「全く反対の意見です」

「同じく」

「てことで次はもっと調べてくること!」

「上から目線かよ」

「そう?」

別にそういったつもりはないんだけど…

「あ、そうだ。ちょっとファミマ寄ってかない?」

「え?まぁ別にいいけど…」

ウィーン

「いらっしゃいませー」

「二人です」

「お二人ですね。こちらへどうぞ」

人が少ないな。もっといっぱいいると思ったんだけど…

「で?何で来たんだよ」

「知りたくないの?余命のこと」

「ああ、そういうこと?まぁ、知りたくはあるけど」

「でしょ?何でも聞いてよね!」

「じゃあ、癌ってどういう癌?」

「それは答えられない」

「なぜ」

「プライバシーに関することなので…」

「余命のこともプライバシーに入るんじゃねえの?」

「それはそれ、これはこれ」

「的当だな」

「他にはないの?」

「うーん…じゃあ、遺書とかって書くの?」

「うん?書くよ。当たり前でしょ」

「当たり前なんだ」

「もちろん。理子とかには言ってないしね」

「そっか。そうだったな」

「それで、他には?」

「何でそんな知って欲しいんだよ」

「だって、その方が阻止しやすいでしょ?」

「それはそうだが…」

「で?」

「じゃあ……死ぬ時は…その、一人なのか?」

「…うん。どこで死ぬかは決まってないけど」

「じゃあさ、せっかく秘密を共有したわけだし、前自分で『私の最期が見れる』って言ってたし、死に際にいてやってもいいけど」

「えっ、まじ?」

「こんな重い冗談ないだろ」

「それはそうだね」

「で、死ぬところ決まってないって言ってたけど、もう無難に自分の部屋で良くね?」

「そんなこと言って私の部屋見たいんでしょ」

「なわけあるか。じゃあ何だ?九月の寒い日に、夜に余命じゃなくて凍死で死ぬのか?」

「……」

「だろ?」

「もういいや。私の部屋いつも綺麗だし」

「自己肯定感高」

「なんか言った?」

「なにも」

「んじゃ、帰りますか」

「そうだな」

ガタッ

「私払うよ」

「あ、まじ?」

「うん。どうせ死ぬし」

「それもそうだな」

「ごちそうさまでした」

「またお越しくださいませ」

ウィーン

「結構暗くなっちゃったね」

「もう、秋かぁ」

「どした?」

「いや、時間って過ぎるの早いよなって」

「うーん…そうだね」

「あれ、さっきは長いって言ってたのに」

「いやぁ、余命が三ヶ月だったのが、もう一週間になっちゃったんだなぁって」

「正式には六日な」

「細かいことは気にしない」

「細かいか?」

「じゃ、私こっちだから」

「おぅ、余命前に死ぬなよ。阻止できないからな」

「はいはい。じゃ、また明日」

「明日」

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