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六
あと三話くらいで終わります(多分)
「涙は枯れた?菅井君」
涙でびしょびしょの顔になった菅井君に問いかける。
「ああ、すまんな。こんな泣きじゃくって。今更ながら恥ずいな」
服の袖で涙を拭いている菅井君にティッシュを箱ごと渡す。
「いいよいいよ。私としてもあのクールな菅井君の泣き顔が見れたってことだし」
「言うな。恥ずかしい」
「まぁでも。コミュ障は直してね」
菅井君が微かに震えた。
「ただ、無理にとは言わない。蟻みたいな小さな一歩でもいい。ほんの少しだけでもいいから、踏み出して見ない?小さな一歩だとしても、今見てる景色が変わるかもよ」
「…意味がない。お前がいなきゃ意味がない」
「見てる」
「え…」
「空に生まれ変わって、菅井君のことを見ててあげる。ほら、意味ができたでしょ」
「…ああ、そうだな。ありがとう。意味ができた」
「だから私がいなくなったとしても、ずっと私が見てるって思いながら過ごしてね」
「うん」
菅井君が顔を上げ、すっきりとした笑顔を見せる。
「さ、トランプもう一回やろ。今度も私が勝つよ」
「そうはさせない。次は俺が勝つ」