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一. 余命一週間の私

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「一限目英語とかサイアクー」

「わかるー」

「ずっと日本にいるし、外国に行かないし英語学ぶ意味なくねー?」

「それなー」

世界共通語が英語ならアメリカは英語、というか外国語という授業をやらないのだろうか。

それはずるい。私たちはやりたくもない外国語を学んでいるのに、当のアメリカはそもそも[英語の授業]という概念すらないのだろうか。

「宿題やってきたー?」

「やってきたやってきた」

「偉〜い。さすが学年トップの陽茉利サマ」

「大袈裟だよ。理子だって二位だったじゃん」

理子はこう見えて頭がいい。ちょっと失礼な言い方だけど、これしか言い方がない。

キーンコーンカーンコーン

「うわーサイアクな時間が始まったー」

「まぁまぁ、頑張って」

「陽茉利に言われてもあんまり説得力ないなー」

「ひどー」

やっぱ親友って大事だな。いるだけで楽しい。気まずくならない

「はい、席についてください」

あれ?国語の先生…?

ザワザワザワザワ

「ああ、言ってませんでしたね。今日英語の先生が体調不良なので代わりに国語をやることになりました」

そうなんだ。良かった。国語の方が好きだから英語より数倍マシだ。

「委員長さん、挨拶お願い」

「はい」

委員長って誰だっけ、えーっと……あ、沙有里ちゃんだ。あんまり喋ったことないから声忘れちゃった。

「立ちましょう。気をつけ、礼」

早いなぁ。追いつけない。隕石が落ちてくるわけでもないし、そう急がなくても。

「ありがとう。では教科書六十三ページの……」

そういえばこのクラスって人数少ないよなぁ。何人だっけ、二十五……?いや、三十いくつか?

「ではここの文章を佐野木さん」

ここの文章…これか。

ガタッ

「貴方は言った。私は何者でもない。と、だが私はその意味がわからなかった」

「ありがとう。ではその続きを–––––––––」

私は何者でもない。確かに意味がわからない。

何者でもない。つまり、人間でも魚でもないということ。

じゃあこの人物いったい何なのだろう。主人公にとても共感する。

この意味を知るためには読み進めることだ。

[それはどういうことですか?

私は何者でもない。すなわち、私は私にしかなれない。何者でもない。何者にもなれない

……当たり前のことだ。

でも、少し考えてくれ。何者でもないということは、まだ何者かになれる可能性があるということ。

さっき何者にでもなれないと…

何もしなかったら、何者にもなれないのは当然だ。

つまり貴方は何もしていないのですか?

今は、ね。

今…

そう、今何かすれば、何かになれるかもということだ。大事なのは今だ。

今が…大事…?

そう、今だ。]

キーンコーンカーンコーン

おっと危ない。そろそろ人物たちに感情移入してしまうところだった。こうなると、何も聞こえなくなるから。

「ではここで終わります」

これの題名って何だっけ。近くの公共図書館で借りられるかな。

「おーい、陽茉利ー陽茉利サーンー!」

「…ん?なぁに?」

「また夢中になってたの?ほんっと国語の文章となると感情移入しちゃうよね」

「今日はギリならなかったよ?」

「それはそう」

やっぱりよくわかってるなぁ。何でも知ってそう。私のこと。まぁでも、親友同士って意外と秘密なことも多いんだよね。

「ねぇねぇ次って何だっけ」

「何だっけ、忘れちゃった」

「数学だっけ?社会だっけ?」

「うーん…」

「あ、ねぇねぇ菅井、次って何だっけ」

かわいそうに、菅井君。私達の会話に巻き込まれちゃって。しかも理子に……理子に絡まれたら私まで話さなきゃだし、菅井君こういうの苦手そうっていうか、近づくなオーラを出してるから、近づく人いなくてあんまり喋らなそう。ていうか喋りたくなさそう。

「…社会」

「どーも」

「…」

「あ、そうだ。ねぇねぇ、まだいつかは決まってないんだけどさ、友達と遊ぶんだけど、数合わせで来てくれない?」

「えぇ……」

明らかに嫌そう。

でも、理子ってこうと決めたら絶対に引かないし、イエスというまで強引だから断れない。断ったらちょっと面倒くさいことになる。理子の欠点。

ご愁傷様。頑張って。

心の中で手を振る。

でも、やっぱりかわいそう。助けてあげようかな。

理子って、私のこと大好きって知ってるし、助けてあげることはできなくもないんだけど。う〜ん。

いいことをしたら必ず帰ってくる。

これはいいことなのか。まぁ、助けるって言った時点でいいことか。

「いいじゃ〜ん」

「……」

「理子理子」

「ん?なぁに」

「菅井君、イエスって言わないから代わりに私が行こうか?」

「え⁉︎いいの⁉︎」

「いいよ」

「やったー‼︎陽茉利最近忙しそうだったから誘いにくかったけど、陽茉利から言ってくれるなんて!陽茉利だーい好き‼︎」

いきなり抱きつくのはダメだよ…びっくりする…

でも、嬉しい。

「私も大好き」

あくまで親友として、だけど。

「相思相愛ダネ!結婚しよう!」

「冗談きついー」

「あっはは!バレた?でも、そのくらい好き。陽茉利と親友でよかったー」

「私も」

あと三分。

「あっ、何で腕を解こうとするの!」

「あと三分、教科書出さななきゃ」

「ほんとだ!気がきくね。陽茉利チャン」

「どーも」

そういえば、いつのまにか菅井君がいなくなってる。流石にありがとうくらいは言って欲しかったな。

まぁ、人前でそういうこと言う人じゃないことはこの三週間で分かりきってることだし。

それより、社会の教科書を出さなきゃ。どこだっけ。

あ、ロッカーか。

「ん?どこ行くん」

「教科書ロッカーだったから、ね」

「そゆこと」

えーっと…ああ、あった。

「おかえりー」

「ただいま?」

おかえりというほど距離はないし、それほど時間経ってないけど…

キーンコーンカーンコーン

「社会は結構好きなんだよねー」

さっきの英語とは打って変わって顔色が違う。

ほんと、分かりやすいお顔だこと。

「おーい。席につけー」

「林せんせー…」

「…」

社会が好きというより、林先生が好きなんじゃない?

「じゃあ、今日は誰に挨拶してもらおうかなー」

「はいはーい!あたしがやりまーす!」

「お前はもう何回もやっただろ」

ごもっとも。

「えー」

「じゃあ木野、よろしく」

「はい。起立」

木野って下の名前なんだっけ。

「礼」

ああ、そうだ。康太だ。

「着席」

私って人の名前覚えるの苦手なのかな。

「じゃあ、今日は新しい単元をやる。五十四ページの––––––––」

新しい単元……あ、クレオパトラとか?

「じゃあ、復習としてギリシャ文明で有名な物を三つか四つ。誰かに答えてもらおうかな」

絶対手、挙げるな。理子

「うーん…」

あれ?意外。予習範囲外だった?ていうか後ろから見る限り、耳が赤い気が…

うーん、でも結構簡単なところだと思うんだけど…ああそっか。

理子って好きな物を見ると、前に覚えた物を忘れちゃうんだ。

ちょっと焦ってるの、可愛いかも。こういう顔って珍しいから。

「じゃあここを–––––ニヤけてる佐野木さん」

「えっ」

「あー!」

「笹山ー、大きい声出すなー」

「あっ…」

嫉妬したら声出すタイプか。

「…演劇、建築、物語や神話など」

「正解。さすが佐野木!」

「あ、はい…」

人前で褒められると、周りの目が気になる…


「次会えるのは水曜かー」

理子が残念そうに頬杖をつく

「理子は林先生が数学の先生だったら数学が好きになるでしょ」

「えっ……あー…まぁね」

「図星ですか」

「……あっ」

「ん?」

「後ろ」

後ろ?

「っ……菅井、君」

「驚いた時の反応それー⁉︎おもろー!」

「…笑うなー」

「あっはははは」

「それで、何かよう?」

「いや、ちょっと来て」

「おお!愛の告白⁉︎」

「…」

「理子?ちょっとは言葉に気をつけよっか」

「笑顔で怒るタイプ……」

「さ、行こっか」

「おぅ…」


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