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三題噺もどき3

準備―雨

作者: 狐彪

三題噺もどき―よんひゃくはちじゅうに。

 


 しとしとと雨が降っている。


 毎日毎日雨が降っている。

 おかげで毎日頭が痛い。

 これが激痛なら薬でも飲むのに、そうでもないからそういうわけにもいかずに下手に耐えてしまって気分が悪い。

「……」

 まぁ、そんなことは置いておいて。

 自分の体調管理がへたくそなのは今に始まったことじゃないので、どうこうできるものでもないのだから、あとで良い。

 今日は雨降りだが、外に出なくてはならない。

「……」

 いや、明日でも言いにはいいんだけど。

 どうせまだ雨が降り続く日々だろうと考えると、昨日よりはマシな今日のうちにことを済ませておいた方がいいような気もする。

 それに、最近あまり読書に手がつかないのは、下手にいつもと違うジャンルを読んでいるからではないかと思ったので。

「……」

 昨日。

 そういえばと思いだしたのだ。

 図書館で借りていた本の返却期限はいつだったかなと。

 思いだしてほんとによかった。明日までだったから。

 昨日思いださなかったら最悪期限を過ぎてしまうところだった。

「……」

 読み終わってすぐに返しに行こうと思っていたんだけど。

 借りて、次の日に読み終えて、次の日に返しに行こうと思っていたら、幼なじみと合うことになって。そこからすっかり本のことは抜けていた。

 ……ほんと、よく昨日思いだしたな。

「……」

 読み終わった本を鞄の中に入れっぱなしにしていたのもよくなかったな。

 だって、次の日には返しに行こうと思っていたもんだから……。

 あの日はほんと、急遽って感じだったから、バタバタしていたんだ。

 いつもなら、忘れないように目に付くところに置いておくのだけど。

「……」

 まぁ、だから。

 言い訳は後でいい。

 さっさと、雨が弱い今のうちに出てしまおう。

 帰りに雨が本降りになっても困る。

「……」

 とりあえず、本が濡れては困るので。

 そこらへんにあったスーパーのビニール袋に入れる。

 不安なので、二重に。ここまでしなくてもいいかもしれないけど。

「……」

 確か、どこかに防水のバックがあったはずだ。

 防水というか、あれだ。ビニールの……水泳バックみたいな素材のやつ。

 あれの正式名称何なのだ……ビニールバックで良いのか。

「……」

 ん、あった。

 これは中身が濡れないように、巾着みたいな蓋?がついている。

 これがなかなかに便利なので、たまに使ったりする。

 だから取り出しやすい場所に置いてあったんだろう。いつもならもっと探すからな。

「……」

 その鞄の中に、財布と携帯。

 なんとなくエコバックと必要最低限のものしか入っていないポーチ。

 ビニールに入れた本をさらに念押しで、タオルでくるむ。

 ほんと、本が濡れるのだけは避けたいので。念には念を、だ。

 過去に本を濡らして、嫌な思いをしたことがあるのだ。ほぼトラウマレベルになっている。あれはほんとに、もう二度と経験したくない。

「……」

 鞄の中身を再度確認し。

 本が濡れないようにと、中の位置を調整して。

 紐を限界まで絞めて、余った紐はリボン結びをしておく。

 長さがばらついたが、仕方ない。不器用は丁寧に結べないのだ。

「……」

 窓の鍵や使っていないコンセントが抜かれていることを軽く確認する。

 つけていた部屋の電気を消して、準備は終了。

「……」

 玄関に脱ぎ散らかされていたものの中から。

 靴のようなデザインの長靴を足元に持ってくる。

 最近はこういうものがあってありがたい。

 長靴は履くには少々……な、という時に重宝している。

 普通に靴を履くとどうしても濡れるので、ホントにありがたい。これ考えた人天才ではないだろうか。

「……」

 玄関扉にマグネットで固定された傘立ての中から。

 使い慣れた水色の傘を取り出す。

 この傘もそろそろ変え時だろうか……何年も使っているからなぁ。傘ってどれぐらいが寿命なんだろう。以前は壊れたらで良いかという感じだったが、壊れることなんてそうそうないよな傘って。

「……」

 玄関を押し開くと、昨日よりは緩やかに降っている雨が地面を叩いていた。

 昨夜はかなりひどかったが、まぁだいぶ落ち着いたようだ。

 それでも頭痛は変わらずするんだから、勘弁してほしい。

「……」

 さて。

 さっさと図書館に行って。

 本降りになる前に帰ろう。






 お題:図書館・昨日・緩やかに

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