深夜の叫び声
静寂の中、突然マンション中を女性の悲痛な叫び声が響き渡った。
その声はあまりにも大きなかったため、住人たちは一斉に目を覚ました。
話を5分前に戻そう。
斉藤サクヤは都会のマンションの一室で深夜まで何かの作業に没頭していた。
彼の部屋には多数の音響機器やヘッドホンが置かれ、何か音に関する作業をしている様子だった。
ドアから入ってきた小さな影。
彼の最近のパートナー、ネコのしろが部屋に遊びに来たのだ。
好奇心旺盛なしろは部屋の中を探検し始めたが、テーブルの上にあるヘッドホンのコードに足を引っ掛けてしまったのだ。
翌朝、斉藤はマンションの管理人から呼び出され
「昨夜の大音響は何だったんだ?」と問われる。
彼は緊急アラームの研究員で、音声分析のためにいろいろな音のテストをしていたこと、そして飼い猫のしろが足をひっかけてコードが外れてしまったことを説明した。
管理人はしばらく考えた後、にっこりと笑って言った。
「ネコちゃんの仕業なら、仕方ないね。ただ次からは気をつけてね」
斉藤はホッとした。
このマンションはネコ大好きマンションで、管理人含め住民全員ネコにはとても寛大だった。