7/13
窓の外の浮遊する顔
山野ゆりこは、国内最先端の断熱フィルムの研究所に所属する研究員だった。
彼女は自分の研究に絶対の自信を持ち、新しい断熱フィルムの開発に情熱を注いでいた。
ある日、最新の試作品を試験チームに送った後、数日してから試験官からクレームの電話が入った。
ゆりこは初め、自分の研究に何の問題もないと信じていたので、その電話の内容に驚きを隠せなかった。
「ゆりこさん、このフィルム、暗くなると顔が浮かんでくるんですが…」
最初は信じられないと思ったゆりこだったが、詳しく調べると、その顔はなんと彼女自身のものだった。
彼女は、前回の徹夜の際、疲れてフィルムの上でうたた寝をしてしまい、その際に魚拓のように顔がフィルムに映り込んでしまったのだ。
ゆりこは恥ずかしさで真っ赤になりながらも、このミスを修正するために即座に行動を起こした。
しかし、この事件は研究所内で知れ渡り、ゆりこはしばらく笑いのネタとなった。
それでも、彼女の研究への情熱は変わらず、次回の試作品は完璧なものとなり、彼女の名前はさらに高く評価されることとなった。




