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鏡の中の死者の目
ビル管理会社に勤める松井ゆきは、ある日、15階の賃借人から特別な依頼を受けた。
エレベーターホールに掛かるある絵の位置を少し変えてほしい、というものだった。
詳しい理由は述べられず、松井は気になりつつもその依頼を受け入れた。
深夜の巡回中、松井はエレベーターホールで異変に気づく。
向かいのビルの窓が夜の光で鏡のように反射し、その光がエレベーターホールの絵の一部にピッタリと合致している。
その光景は、まるで死者の目がこちらをじっと見ているようで、背筋が寒くなった。
松井はその絵を近づいて確認した。
そこには「モナリザ」の絵画があり、こちらをみているようだった。
松井は腰に常時つけているガムテープをモナリザの目の部分に張った。
・・・
松井は、仕事に対してなんも思い入れはない。
仕事仲間からは、やっつけ仕事のゆきちゃんと呼ばれている。




