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プロローグ
霧が立ち込める闇夜。
古びた城の一室で、一人の男が本を向き合う。
本を取る手には震えがあった。
この部屋と、その本に纏わる数々の噂。
男が今、目を通そうとしているのは「ほっこりホラー」という一連の物語。
男の名前はアルバート・カンバークロフト(Albert Cumbercroft)
彼は勇敢な歴史家で、この古びた城には、ある目的のためにやってきていた。
歴史家ヘロドトスの言葉を借りると、歴史は人類の教科書であり、過去の出来事から学ぶべき教訓が詰まっていると言われていた。
アルバートは、その言葉を信じて疑わなかった。
しかし、彼がこの古びた城で目にする物語は、ヘロドトスの言葉には含まれていない何かを彼に教えてくれるだろう。それは恐ろしいだけの力を持っていると噂されていたが、本当にそうだろうか?
アルバートは深呼吸をして、ページをめくった。