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宰相、リーゼ・ファミニスは優秀な宰相だ。銀色の長い髪と紫の瞳が特徴的な美形のエルフである。幼い頃から魔王に使える。魔王の命令ならばなんでも、実行していた。宰相は魔王を尊敬すらしていたのだ。だが、ここ最近の魔王はおかしかった。謎の薬師が来てからというもの、人間に取り入るような動きを見せていた。さすがに魔族としてそれは感化できない。魔王は乱心なのだと思った。
「魔王様!宰相リーゼここに参りました。」
「何かあったか?」
「何故なのです!何故魔族に不利になる事をされるのですか!?人間は我らが支配すべきもの!その味方など………」
「故に人間を救っている。人間を支配するには人間に取り入る必要がある。そう我は学んだのだ。」
「それもこれもあの女のっ」
そこで魔王は宰相を睨んだ。
「申し訳ありません。言葉が過ぎました。」
「よい。下がれ。」
あの女さえいなければっ!
宰相は煮え湯を飲む思いだった。
☆☆☆
エメが中庭で新しいポーションの材料になりそうなものを探していた時だった。
「お嬢さん。こんなところで1人歩きとは不用心なのでは?」
そう言ってきたのは宰相リーゼである。
「え、あ、いえ、ポーションの材料を探していて。」
リーゼはエメを見た瞬間恋に落ちた。高鳴る鼓動を止められなかった。なんて、美しい娘だ。
「…………お嬢さん、ポーションの材料なら私がいくらでも用意します。」
そう言って跪き手にキスをする。宰相はさっきまでの憎い感情をすっかり失い。エメに夢中になってしまった。
「お嬢さん、何か困った事があれば私が力になりましょう。さあ、なんなりと……」
エメは地図をおずおずと差し出す。
「あ、じゃあ、この街なんですけど……」
「ここがどうかされましたか?」
「魔族が力で人間を支配して奴隷にしているようなんです。」
「ええ、そうするように指示しました。」
「でも、それじゃ……」
エメの悲しげな顔が宰相に刺さった。
「優しいのですね。」
「へ?」
「わかりました。私におまかせを、では。」
エメは呆然と立ち尽くすのだった。
数日後、エメが言っていた街はすっかり人間と共同で生きていくスタイルに変わっていた。街の住人は喜びに浸っていた。
「宰相が来てからすっかりいい暮らしが出来るようになったぜ!」
「こんなんなら国王より魔王の方がいいな!」
「魔王様ばんざーい!」
皆が魔王を称えた。
「そうか、これこそ、魔王様が求めていた人間からの信頼。彼女は間違ってなかったようだな。」
宰相は納得して魔王城へと帰る。だが、それに不満のあるものもいた。
「俺たち魔族は人間より上なのになんで人間と一緒に暮らさないといけないんだ?!」
「全くだぜ、魔王様だけじゃなく、宰相様まで……」
「こうなったら反乱を起こすしかない!」
魔族達の不満が出始めた。不満のはけ口が見いだせなくなった魔族達は憤った。




