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タイトル未定  作者: 駿
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始業式

時は流れ、芽依は7歳となり地元でも有名な小中一貫校に通う事になった。そこには昨年知り合った澪も一緒だ。あの日以来、仲良しとなった芽依と澪は今日の始業式を終え教室でお喋りをしていた。


「芽依、今日学校が終わったらお花見に行こうよ!」


「いいわね、行こっ、行こっ!」


「最近、地震が多いよな。昨日もかなり揺れたから俺の部屋が滅茶苦茶だよ。」


「あぁ、そうだな。俺の母ちゃんはあわてて机の下に頭を抱えて隠れてたんだけどデブだからお尻がはみ出していたぜ。」


「笑っちゃ悪いけどそれうける!」


クラスの男子達が大声で馬鹿騒ぎをしていたがそこへ担任が教室に入ってきた。


「静かに!今日から貴方達の担任となる桜井あやかです。一年間よろしくね。」


黒髪で細身の大人の色気を纏うあやかに生徒達もとい男子生徒の多くがざわめきはじめた。


「うわぁ、すっげぇ美人!俺の姉ちゃんとトレードしてくんないかな。」


「先生、僕と結婚を前提に付き合ってください!」


「僕専属の家庭教師になってください。」


「ふふふ、ありがとう。でもね、貴方達はまだ7歳よ。結婚できる歳まで待っていたら先生適齢期を過ぎてしまうわ。それに先生、婚約してるから他の男性と結婚はできないのよ。だからごめんね。」


「初めての初恋だったのに秒で失恋してしまった・・・」


「がーーーん・・・」


「あやかロス勃発・・・」


男子達の多くが大きくため息をつき肩を落とし慣れない演技をしているようにも見えた。


「ガタガタガタッ」


突然教室の窓が揺れ始めた。数人の女子生徒は大声で泣いている。


「みんな、落ち着いて!まずは机の下に隠れて落下物に備えてください。それから頭に両手をのせて守ってください。」


10分程揺れが続いたが徐々に収まっていった。


「ねぇ、あれを見て!」


1人の生徒が教室の窓の外の方を指さし叫んだ。先ほどの地震で街のあちこちが陥没し電柱が倒れ火事になっている家も数件みられた。何よりも驚くべき事は先ほどまで晴天だった空を覆い尽くすほどの曇天を龍が悠々と泳いでいるかのように雷が(ほとばし)っていた。


「お母さん、どこ?」


「早くお家に帰りたいよー。」


「かあちゃーん!」


生徒達があまりの恐怖にパニックとなっていた。


「みんな落ち着いて!学校の中にいれば安全だから大丈夫よ!」


正直に言えば雷が苦手なあやかは今にも声をあげて叫びたかったのだが大人である事と怖がる生徒を目の前にして自分が怖がっていたら、余計に恐怖心を(あお)ると考え気丈に振る舞っていた。だが無情にも街のあちこちでサイレンが鳴り響く。


「住民の皆様、すぐに3階以上の建物の中へ避難してください。突如進路を変えたため、あと3時間程で今世紀最大の台風がこの街を通過します。繰り返します。直ちに3階以上の建物の中へ避難してください。」


「ガタッ、ガタッ、ガタッ」


暴風で揺れる教室の窓ガラスが鳴り響く中で生徒達はブルブルと体を震わせていた。

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