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タイトル未定  作者: 駿
3/5

信託

白雪は芽依と最初にあった壁もとい祠へと案内をした。


「ご主人様、この祠の奥に入り鍛錬を致しましょう。私が先に行きますので後から着いてきてください。」


芽依はおそるおそる白雪の後をついていく。祠の中に入ると一本の道が奥に見える光へと繋がっていて周囲は漆黒の闇が広がっていた。


「ご主人様、くれぐれも道を踏み外さないでくださいね。もしも道を踏み外すと2度と現実世界には戻れませんから・・・」


白雪は真剣な眼差しでそう告げた。いやいやそんな真顔で怖いこと言わないでよと芽依は心の中で思う。


「ねぇ、まえからきになっていたんだけど、そのごしゅじんさまっていうのやめない?わたしは、しらゆきとともだちになりたいの。ともだちはごしゅじんさまなんていわないのよ。」


「そうですね・・・ご主人様がそうおっしゃられるのなら芽依様と及び致します。」


「しらゆき、さまづけもいやだしけいごもきんし!めいでいいよ。」


「わかりました・・・わかった。、芽依、もうすぐここを抜けるよ!心の準備はいい?」


「そう、やればできるじゃない!」


この道の先には何があるのだろうか?芽依は不安と期待が入り交じっていた。漆黒の闇を抜けるとそこには今まで見た写真にも図鑑にも掲載されていない、もちろん現実世界でも見たことがない景色が広がっていた。下には真っ白な雲が一面に広がり羽の生えた魚が飛び跳ねていた。また水がまるで生きているかのように空中を無数の水玉が自由に動いている。芽依は今、現実ではありえない光景を目の当たりしていた。


「しらゆき、ここはどこなの?」


「ここは幻海。芽依達の世界でいう死後の世界だよ。ここには現実世界で死んだ動物たちが長い時間をかけて輪廻転生し再び現実世界で生を受けるための場所よ。ただ一部の神から寵愛を受けた者だけが神獣となり暮らしているの。」


白雪は信じられない事を真顔で言った。


「じゃ、わたしはしんでしまったってこと?」


「違うわ。正確に言うと今の芽依は言わば肉体が仮死状態で精神体のみの状態よ。こっちの状態の方が鍛錬するには効率がいいの。ここでは現実世界の1秒が約100年なの。肉体を離れ仮死状態でいられるのに個人差はあるけど、成人でも現実世界で5分が限界。芽依はまだ体が未熟だから3分くらいが限界だと思う。そのあと精神と体を定着させるのに約1ヶ月必要よ。もしも限界を超えてしまうと精神が体に定着できなくなって脳死状態になるの。所謂(いわゆる)植物状態となるわけ。理解できたかな?」


「ひとのいっしょうが100ねんだとして1びょうで1かいのじんせいをおくるってことだよね?わたし、たんれんをそんなにしたらおばかさんになっちゃうよ・・・」


「実は前にここへ案内した人は現実世界の2秒で体に戻ったんだけど、それ以来、いくらここへ誘っても拒絶し突然泣き出し発狂してしまい2度とここへは足を踏み入ろうとしなかったわ・・・」


「・・・」


芽依は不安で一時、思考が停止してしまった。


「ここは霊感が非常に強くて幻海が見える人だけが幻住民の導きで来れる場所です。実は現実世界の今から1年前に創造神様からの信託があったの。それによると“今から約10年後、この幻海とは別の世界が滅びの危機を迎えることとなるだろう。そなた達は異界より勇者となる者をここへ導き世界の危機を回避せよ"と信託があったわ。どんな危機なのかまでは分からないけど長い刻を待ち続けてようやく芽依を見つけたの。芽依には貴方の世界を救うため、ここで鍛錬をして来たるべき日に備えて欲しい。」


「じぶんたちのすむせかいのことはじぶんたちでかいけつしなくちゃだよね!」


芽依は9年後に訪れるだろう危機に備えるためできるだけ強くなろうと心に誓った。

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