表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイトル未定  作者: 駿
2/5

真名

「こら~まちなさい!」


逃げ惑う狼の子供を風呂場に連れて行き苦労して汚れを落とすと全身が真っ白でふさふさ、もふもふな姿を現した。額の(あざ)は不思議な形をした紋章で目映く光っている。しばらく一緒にいて気付いたのだがどうやら感情が高ぶると光るようだ。あの日以来、芽依の側を片時も離れず、食事や睡眠、入浴、トイレに行くときなど常に一緒だった。ただ不思議な事に頭や肩を駆け回っても全然重さを感じなかった。芽依が母親に狼の子供を怪我が治るまでの間だけでもいいから飼ってもいいか聞こうとした時だった。腕の中にいた狼の子供が突然食卓の上を走り回ったのだ。


「こら、芽依。食卓の上に乗っちゃだめでしょ!」


あの時は狼の子供を慌てて捕まえようとしている芽依を見ていた両親に強く叱られてしまった。ただ芽依以外の人には見えないらしく母親の目には芽依が食卓ではしゃいでいるようにしか見えていなかったのだ。それに食事を必要としないため餌代が一切かからず排泄もしない見えない動物を飼ってもいいか聞いても信じては貰えず説明が難しいと考えてしばらく秘密にしておくことにした。


「ここにいるあいだだけ、かりのおなまえをつけようとおもうんだけどいいかな?」


狼の子供はきょとんとした顔で芽依を見ている。


「わふっ!」


理解してくれたようで真っ白な尾を横に小刻みにゆさゆさと振っていた。どうやら名付けを待っているようだった。


「まっしろでゆきのようなからだをしているから白雪(しらゆき)なんてどうかな?」


「わふっ!」


どうやら気に入ってくれたみたいだ。


「じゃあらめてじこしょうかい!私はしろさきめい。よろしくね。」


「わふっ!わふふ、わっふー。」


すると頭の中で白雪の鳴き声が言葉として変換される。


「素敵な真名をありがとう。こちらこそ貴方に出会えて本当に感謝しているのよ。ご主人様。」


「だ、だれ?」


「私は白雪。真名を付けてくれたご主人様と私がコネクトされて頭の中で会話ができるようになりました。ちなみにコネクトというのは深い結びつきのことでどんなに遠くに離れていても会話ができる盟友となった者同士が使える基本能力です。今後、絆を深めていけば新たなのうりょくをご主人様が使えるようになるでしょう。こちらこそよろしくお願い致します。」


芽依は少し動揺していた。


「あ、あなたはおおかみよね?ママがにんげんのことばをはなすどうぶつはとってもすくないっていってたけどわたしたちのことばをはなせるおおかみってことでいいのかな?それにみみからじゃなくてあたまのなかでおはなし???それにのうりょくって??」


「正確にはご主人様や他の人達の言葉を聞いて覚えました。頭の中で話をするのは私に実体がなく声帯がないため声を発する事ができないからです。だからコネクトされているご主人様以外の方との会話はできません。ちなみに私の能力は今のところは1つのみで自己治癒力を高め怪我を通常よりも早く治癒することができます。今後更なる経験を積むことで新たな能力が使えるようになると思います。」


「うんどうがにがてなわたしでもあなたののうりょくがつかえるかな?」


「はい、必ず使えるようになります。ただし霊体では1/10の消費が実体では1ですので多用はできません。今の小さな体では大きな負担となりますので、まずは鍛錬が必要となりますがやりますか?」


「めい、ちょうのうりょくとかまんがのしゅじんこうがつかえるとくしゅのうりょくとかにすごくあこがれていたの。つかえるようになりたい!だからたんれんがんばる!!」


こうして芽依は白雪の元で修行をする事となった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ