表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

2、旅の目的

「ソーラ様達は何故、旅をしているんですか?」

 ルネがソーラに訊ねると、ジョイスがため息交じりに言った。

「おいおい、お嬢ちゃん。そんなことも知らずに一緒に旅をするなんて言ったのかい?」

「うるさいわね、貴方には聞いていないわ」

 ルネはジョイスにそう言うとそっぽを向いた。


「まあまあ、二人とも。そうですね……私たちは有名な悪女が魔王を目覚めさせるのを阻止するために旅をしているんですよ」

 ソーラは微笑んでルネに言った。

 ルネは嫌な予感がして呟いた。

「その悪女の名前って……もしかして……」


「……ルネと言うそうです。……あら? 貴方と同じ名前ですわね、ルネさん」

「わ、私、そんなことしないわ!?」

 ルネが慌てて否定すると、ソーラは笑ってルネの頭を撫でた。

 ルネはその手から逃げ出すと、ソーラに言った。

「悪女ルネはその罪の大きさから処刑されました……年も私の倍はあったはずです」


「よく知っているわね、ルネ」

 微笑むソーラのわきでは、ジョイスが何か言いたげな表情をしてルネを見ている。

「……同じ名前だから気になっただけです!」

 ルネはそう言った後、手を前憎んだまま、とぼとぼと二人の後を歩いた。

「とりあえず、悪女ルネの被害にあった村や町を回りながら、北の大地を目指しています」

「そうなんですね」

 

 ルネが黙ると、ジョイスが言った。

「なあ、ルネ。お前の名前なんだが他の呼び方を考えた方がいいんじゃないか?」

「え?」

 ルネが戸惑っていると、ソーラも言った。

「そうですね……処刑されたとはいえ、ルネと聞けば人々は辛いことを思い出すかも知れません……」

「……」


 ルネが黙っていると、ソーラは明るい声で言った。

「ルーちゃん、というのはどうでしょう?」

「ルーちゃん……ですか?」

「良いですね。さすがソーラ様。じゃ、これからはルーと呼ぶからな。分かったな、ルー」

「……わかりました」


 ルネは釈然としない思いを抱えたまま、その呼び名を了承した。

「さあ、ジョイス、ルーちゃん。次の町はなぞの流行病でこまっているそうです」

 ソーラは道の先の方を見つめた。

「助けに行きましょう」

 ソーラの言葉を聞いて、反射的にルネは『そんなの、放っておけば良いじゃない』と言いそうになった。


「ええ、ソーラ様。急ぎましょう」

 ジョイスの言葉で我に返ったルネは思った。

(やだ、私、悪女はやめたはずなのに……)

 ルネは自分の頬を軽く両手で叩いて、大きく息を吸った。

「ソーラ様、私も頑張ります!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ