第十六話 新しい大陸に行くんですっ!!
「お嬢様っ。船の準備は整いましたよ~っ」
「はーいっ!」
【紫の月】との一戦から一ヶ月が経過しました。
その一か月の間に試練の書の中の試練を更に細かく区分化して、合間にアレク様に会いに行って一緒にカイヤ様を説得。
カイヤ様は、説得に応じてくれたんだけど、応じるまでの間ずーっと。
『どうして私がやらねばならないのです?兄様達がいらっしゃるではありませんか』
と、ど正論をかまされまくりました。何も否定出来なかった。
ただ、アレク様の、
『…オニキス兄さんとボルダー兄さんに任せてどうにかなるとでも?』
と、半ば脅迫のような言葉がカイヤ様を説得させるに至った。
私は知らなかったけどカイヤ様の祝福は【成長しない】と言う祝福で。要するにどんなに年をとっても姿は子供のまま。見た目ずっと五歳時のままな祝福らしい。
確かにそれは表にあんまり出られないよね。でも知識は年相応でしかも趣味が本を読む事だとしたら、常にグダグダしているオニキス殿下や走り回って頭お花畑なボルダー殿下よりは余程役に立つでしょう。
見た目敵には労働基準法に引っかかりそうだけど、実際はシトリンとほぼ同い年だから問題は無い。
立派な椅子にちょこんっと子供が座ってるのが正直可愛かったけどね。同じ状況に昔は私もあったはずなのに顔がこれだからホラーって言葉が先に出て来た、ほっとけ。
そんなこんなでカイヤ様が説得を受け入れてくれたので、私は早速船を用意して他国へ渡る準備をした。
家で出発の準備をしていると、当然のようにリアンとマリンが付いて行くと言って聞かなかったので、一緒に準備をして今はやっと港に来た所でござーい。
準備が整ったと言われたので、私は船を停めてある場所まで走った。
「所で、お嬢様」
「ん?どうしたの?」
「この船は…誰が操縦なさるんでしょう?」
「私が現魔法で出したんだから、当然私が操縦するわっ」
どやっと胸を張ると、二人はあっさりとそうなんですねと納得してしまった。
え?最近二人共納得早くない?
なんて突っ込みを入れさせてもくれず二人はさっさと船に乗り込んでしまった。
私が作りだした船はサロンクルーザーと言われてるもので中にベットとかもある。
ちなみに私前世で一級小型船舶免許を取得しておりますっ!酪農家だったのではと突っ込みを入れることなかれ。
私前世で高校で酪農科を選択してたんだけど、私の通ってた学校って特殊で水産科とか漁業に関する専門学科もありまして。
船の免許取ってみたいなと興味本位で先生に聞いたらあっさりオッケー貰ったので取った次第でございます。
前世ではマイ船を買う前に死んでしまったから乗れなかったけれど、今役立ったので結果オーライっ。
船に必要なものを積み込んで、出発の準備は整った。
さぁ、いざ出発ですっ!
途中から自動操縦にするけど今港を出てある程度進むまでは私が操縦します。
リアンとマリンも何故か横にいる。海に出てしまえば護衛の必要ないと思うんだけどな。
ザバァと船が水を掻き分ける音を聞きながら進む。
「そう言えば、お嬢様。殿下とは何処で合流なさるのですか?」
「あ、それはこれから向かう大陸とオーマ大陸の間に小さな島があるの。そこで合流する事になってるわ」
「って事は、殿下はもう先に向かってるって事ですか?」
「色々処理があるんですって。っとに、あの陛下はアレク様を顎で使いやがって。…やっぱり建国してやろうかしら」
しゅっしゅっと拳を振っているとリアンにその拳をペシッと叩かれた。危ないんだって。それはごめん。
「海そんなに荒れてないし、動力も私の精霊力で事足りるし、多分二日…かかるかなぁ?ってくらいだし。直ぐに追い付くよ」
「……へー」
「むっ。リアン、最近全然感動してくれないっ」
「そりゃそうですって。お嬢様の作りだすものに一々驚いてたら心臓が持たないって気付いたんで。なぁ、マリン」
「お嬢様…。お嬢様の船なら私船酔いしませんっ!」
「無視かーい」
「あら?そう?でもしんどかったら言ってね。薬持って来たから。それからいくら平気でも文字とか読んじゃ駄目だからね」
「はいっ」
「って言うか二人共やることないんだから寝てていいのよ?」
休んでも良いって言ってるのに、二人は決して首を縦には振らなかった。
まぁ、操船している間は話も出来るし有難いんだけどさ。
動力がある私の船はガンガン進み、途中自動操縦で休憩しながらもちゃんと途中の島に到着した。
因みにこの島。
何かがある訳ではない。
ただ、操船の目印に便利だから立ち寄るだけ。
島に人はいないし、泊まる場所などもあったりしない。
水兵さん達が休憩するには便利な島。
そこにはオーマの王国の紋様が記された大型船が一艘定着していた。
私は急いでその船に横づけして、船の甲板に出た。
いないとは思うけど一応。
「アレク様ーーーーっ!!」
全力で叫んでみる。
いや、船内にいたら気付かないと思うんだけどね?
それは解ってるんだけども、愛は叫べるうちに叫んどくべきだって偉い誰かが言ってた気がするの。
さて、思いのたけを叫んだから、一旦船から降りてアレク様を迎えに行くか。
船を降りて……んっ!?
あの、船の上で手を振ってるの、アレク様じゃねっ!?
全力で手を振ると、カッコよく手を上げて振り返してくれる。
アレク様、神対応ーーーっ!!
こうなったら直ぐに迎えに行かなあかんっ!!
「マリン、リアン。私アレク様迎えに行ってくるから待っててねっ」
「はーい」
「いってらー」
肩に機械の翼を装着して、甲板から空へ舞い上がる。
ふっ、前回より改良を加えてるから、空を飛ぶことも出来る様になったのさっ!
アレク様のいる船の甲板よりも上に飛ぶと、アレク様が下で両手を広げて待機してくれていた。
あんなの、行くしかないっ!
「アレク様っ!」
私も両手を広げてアレク様の胸に飛び込む。
「アレク様、お待たせしましたーっ」
「ハハッ。待機予想時間の1割にもなってないよ。流石フローラだ」
ゴロゴロと喉を鳴らしたくなるくらいにアレク様に擦り付いて、アレク様分を補充する。
「さ、アレク様っ。早速私の船に来て下さいっ。歓迎しますっ」
アレク様を抱えて飛ぶのは流石に私には無理なので、アレク様にこの翼を使って貰って……うん?
「……誰?私に殺気飛ばしてるの?」
振り返って殺気の感じる方を睨みつける。
そこにいた水兵さん達は皆自分じゃないと手を振って頭を振って否定をする。
けれど、視線と気配は確かにそっちから…と、思った瞬間。
キラリと光る何かが私の顔目掛けて飛んできた。
「フローラっ!」
「うきゃっ!?」
アレク様が咄嗟に私ごと背後に飛んでくれたおかげで、ナイフが私に刺さる事はなかった。
「ちっ」
舌打ち…?
「ちょっとっ!何失敗しているのっ!?あの女を殺せって言ってるでしょうっ!?金を払っているんだからちゃんと働いて頂戴っ!!」
女の声?
もしかして、その女の狙いは…?
「アレキサンドライト殿下と結婚出来れば、オーマの国は私のものになるのよっ!」
「やっぱり狙いは私のアレク様ねっ!?」
許さんっ!!
「フローラっ!?待てっ!!」
「アレク様、ちょっと待ってて下さいね。私はライバルに容赦はしないって決めてるんです」
アレク様のほっぺにちゅっとキスをしてから、ぐわっと翼を広げて飛びあがる。
空から見ると何処に誰がいるかなんて一目瞭然。
ドレスを着た可愛らしい女性がいらっしゃるじゃないの。
うふふ…私の方を見て顔を顰めるなんて、自分が犯人だと言っているようなもんじゃない。
急降下して彼女の目の前に顔を近づけると。
「ヒィッ!?」
「ごめんなさいねぇ。こわーいお顔で。…そのお顔。見覚え有るわ。確か、パーティでアレク様の事を色々言っていたご令嬢の一人でしたわね?」
「ここ、こっちに来ないで下さいませっ」
「まぁ、そう言わずにぃ…一緒に、空の旅にご一緒しましょうよ」
ガシッと彼女に抱き着き、空にぶわっと舞い上がる。
「い、いやああああああっ!!」
「おほほほほっ。楽しいわねぇぇぇっ!!」
ぐるんぐるん回転したり、急上昇して手を離して急降下してキャッチしたり。
彼女でお手玉をして、あーそびーましょーってね。
「おいこらっ、カコっ!!趣味の悪い遊びしてんじゃねーぞっ!!」
あ?何か下から嫌な声がした?
「フローラ。そこまでにして降りておいで」
アレク様が言うなら仕方ないっ。
「はーい」
ぽいっと水兵さん達の方に彼女をポイ捨てして、アレク様の腕に戻るとさっきは気付かなかったアレク様の荷物の一番上に小さな水槽がある。
「…アレク様。何でそれ持って来たんですか?」
「俺はフローラのすることを何でも受け入れてしまいそうだから、お目付け役代わりにと公爵に持たされた」
「父様…余計な事を…」
ぎりぎりぎり。
折角二人っきり…ではないけど、アレク様と楽しい旅行なのに。お邪魔虫が…お邪魔魚が…うぐぐぐ…。
あ、そうだっ!
「サル。海に帰ろうっ!」
「馬鹿やろう。鯉を海に放そうとするんじゃねぇっ!」
「……サル、星に帰ろうっ!」
「さらっと殺そうとするなっ!」
駄目かー。
心底残念だわ。…何でかアレク様が笑ってる。笑顔が可愛いから許す。好き。
「それじゃあアレク様。早速私の船に行きましょう」
「あぁ、行くけれど少し待っててくれるか」
「待ちますっ!と言うか、先に荷物運びますっ」
「あぁ、そうしてくれると助かる」
アレク様の荷物を持って空に飛びあがって自分の船に戻る。因みにその荷物にサルのいる水槽も入っております。
リアンとマリンに荷物を預けてもう一度戻ると。
「私は水平だけを乗船させろと命を出したはずだ。何故令嬢がそこにいる」
「そ、それは…」
「知っていながら乗せたのか、それとも勝手に乗ってきたのか。…どっちだ?それによってお前達の処置が変わってくるんだが?」
腕を組んだアレク様が水兵達に問い質している。
ちょっと…王子様然としてるアレク様始めて見たんだけど…アレク様…。
「好きぃぃぃっ!!」
ぐるんぐるんと回転して悶えつつアレク様の背中に抱き付く。
「…フローラ。俺今結構真面目な話をしてたんだけど…」
「あう…ごめんなさい。カッコ良過ぎて耐え切れなかった…」
「…あー、もう。そう言われると怒れないんだよなぁ」
アレク様が抱き着いてお腹に回された私の手に手を重ねてポンポンと優しく叩いてくれる。
好きが溢れて止まらない。スリスリと背中に擦り付いて、忘れない内にアレク様に私の翼を渡して置く。
「じゃあ、もう、行くか」
「はいっ!」
アレク様の横に立つと腰に腕を回して貰ったので抱き付くと、動属性持ちのアレク様は私なんかより余程上手に安定して飛びあがる。
あれ?良く見たら、水兵達に交じって騎士も数名いるじゃない。
「…手配ミスについて、国にも戻り次第必ず問い質す。覚悟しておけ」
アレク様がそう言うと、騎士達は一斉に膝を付いて頭を垂れた。
「さて、行こうか。フローラ」
「……ふぅ」
「フローラ?」
「アレク様がカッコ良過ぎて、もう、アレク様過剰摂取で死にそうです」
「ハハッ。なんだそれっ」
笑いながらアレク様は翼を器用に使い、あっさりと私の船へと飛び着地した。
そして、私の船を見た途端制止してしまった。
「アレク様?どうしました?」
「あ、いや、随分小型な船だなと思って」
「そうですか?ベッドも休憩スペースもありますよ?」
「この大きさでか?」
そりゃさっきアレク様が乗っていた船に比べたら小さいけど、ボートよりは断然大きいのよ?
漁船とかを見て来た私にしてみたら、小型船舶と言えど大きいと思うのよ。
「おーい、カコー。お前どんなルートで進む気だー?この付近、座礁しそうな場所多いぞー」
「解ってるー。マリーン。悪いんだけど、そこのサルに海洋地図渡してくれるー?」
「はーいっ」
サルに答えつつ、私は未だ驚くアレク様を船内に案内する。
「…マジか。こんなものまで作りだせるのか、フローラは」
「アレク様~、何か飲まれますか~?それとも食べますか~?」
アレク様を船内のサロンのソファに座らせて冷蔵庫を開けて中を確認して問いかけるんだけど、あれ?アレク様からお返事が返って来ない。
振り返るとアレク様は中を興味深そうにキョロキョロと周囲を見回していた。
しかも楽しそうだ。これはちょっと自由にさせといた方が良いのかもしれない。
「サル。アレク様への説明お願い。私、ちょっと船を進めてくるわ」
「おー。いてらー」
サロン内に置いてある水槽にいるサルにアレク様を頼んで私は操縦室へと向かう。
操縦室に入って、ハンドルを握り早速発進っ!
地図を見る限り、この付近はちょっと危ないけれどもう少し進んだ場所からは自動操縦に切り替えられるから、ガンガン進んで置こう。
ザバザバと海水を掻き分ける音を聞きながらテンション高く運転する。
この世界はまだ船もそこまで発展してる訳じゃないから、海路とか定められてないし自由運転出来て楽しい。
目的の大陸まではどのくらいかかるかな~。
飲み水の量もあるし、食料も限界があるだろうしなぁ。一応釣り竿持って来てるから魚を釣って捌けばどうにかなるだろうけど…水はなぁ…。
海水浄水するとして、その装置を作る必要もあるし。
アレク様が使っていた船だと一ヶ月かかるみたいな事言ってたけど…この世界の船はオールと帆で進んでる訳で。動力があるこの船だとまたちょっと変わって来るよね~…。
「…ま、どうにかなるでしょっ」
最悪現魔法使って海上都市作っちゃえばいいんだしねっ!
うんうんと頷きつつ、船をガンガン進ませた。
休憩を挟みつつ船を進ませて、星が空に輝く時間になった。
自動操縦にしても問題ない位置にいるようなので、手早く切り替えてサロンへ戻る。
あれ?なんで灯りつけてないんだろ?
仕方ないな。懐中電灯が確か棚の辺りに…お、あったあった。
ちゃんと着くかな?覗き込みつつスイッチを押すと灯りは問題なくつき。
「ぎゃあああああっ!!」
何故かサルに叫ばれた。
「うるさいわよっ、サルっ!」
「暗がりでお前の顔照らされたら誰だって怖ぇわっ!」
「確かに」
そりゃそうだ。納得して、懐中電灯で先を照らしつつサロンの電気を点ける。
一気に明るくなった船内。サロンのソファにアレク様とリアン、マリンが気持ち良さそうに眠っていた。
「あらら。明るくしない方が良かったかな?」
皆すやすや幸せそう。
「いや、起こしてちゃんと寝かせてやった方がいいだろ。もしくは何かかけてやるとかさ」
「あぁ、それもそうね。ベッドがあるんだしね」
などとサルと話していると、「ん…」と小さい声がした。
「…んん…?あれ…?フロー、ラ…?」
目を擦り空いた手でソファを叩くアレク様が可愛過ぎる。
瞬時にアレク様のソファを探す手を握って横に座る。すると、アレク様は嬉しそうに微笑んで私を抱き寄せてくれた。
「……かわい、ぃ…」
それ私のセリフですぅぅぅーっ!!寝惚けてるアレク様が可愛いぃぃぃぃっ!!
「おー…かんっぜんに寝惚けてるな。アレクの奴」
「うるさいわよサル。呼び捨てにすんなサル」
アレク様をサル如きが呼び捨てにするなんて万死に値するわ。海に投げるわよ。
全く。アレク様が起きたらどうしてくれるのよ。
「……ん?お嬢様…?」
「……はっ!?しまったっ!!寝てたっ!!」
「リアン、リアンっ、しー」
人差し指を唇に当てて静かにと伝えると、直ぐにリアンもまだ寝惚けているマリンも了承して口を閉じた。
よし、これでもう少しお寝惚けアレク様を堪能できるっ!
視線を隣のアレク様に戻すと、アレク様はじっと私を見つめていた。
「?、アレク様?」
「……ん?」
首を傾げるアレク様だとおおおおっ!?
「好きぃぃぃっ!!」
「…お前の叫びが一番うるせーじゃねーか」
確かにぃっ!!でも叫ばずにいられないのよっ!!この衝動、解るっ!?
勢いに任せてサルの方を向いて睨むと、何故か「良く解る」と言う様に頷かれた。
「俺も自分の妻にはそうなる」
「アンタ結婚してたの?」
「孫もいる」
「へー」
興味なし。それよりも今はアレク様よっ!!
アレク様の寝惚け顔はまだあるのっ!?
頭を戻して、アレク様を見るとお腹を抱えて震えていた。
………完全にお目覚めのようです。
「おはようございます。アレク様」
「…ハハハッ。うんっ。おはよう、フローラ。寝ててごめん」
「疲れてらっしゃったんですよ。もっと寝てても良かったのに」
「そうだな。後でゆっくり寝るさ。フローラと一緒に」
「ふぐっ…よ、喜んでぇっ!」
アレク様のお誘いに心臓バックバク。…デフォルメされてたら絶対私の目はハートになっていたことだろう。
「フローラ。今はどの辺りなんだ?」
「今ですか?今はですねー」
テーブルに広げられている海洋地図の現在地に牛の駒をおく。
「この辺りですねー。自動操縦にしてるので、もう少し進んでるかもしれませんが」
自動操縦とは言え、あんまり目を離してはいられないのである程度したら一回船を止める必要がある。
「もう、ここまで来たのか…この分だと先方に連絡したよりもかなり早く着いてしまうな」
「あぁ、それはそうかもしれませんね。これから行く国との国交はどうなってるんですか?」
「オーマは中央にある大陸の所為か、基本的にどの国とも交流があり関係も悪くはない。だが」
「だが?」
「…見慣れない船で行くのは危険だろう」
「おふっ」
そう言われたらその通りだ。こんな船どこの国にもないよねー。
「オーマの紋章でもつけましょうか?」
「つけたとしても、見慣れない船だと無駄じゃね?」
サルの言葉に私とアレク様は確かにと頷いてしまう。
「最悪船で何泊かする必要があるかもしれないわね」
「食料は大丈夫なのか?」
「魚釣ればいいじゃない」
「それもそうか。飲み水も別に海水がこんだけあるんだから浄水器作りゃいいんだしな」
「そうそう。もしくはこっそり潜り込むとかも出来るしね」
「フローラとマサルの会話を聞いてると全く問題なさそうに聞こえてくるな…しかし、動力、燃料は大丈夫なのか?」
「精霊石、鬼の様に積んできたので大丈夫ですっ!」
話し合った結果、何も問題なかったようだ。
って事で、急いで向かっても駄目みたいだし、遭難しない程度にゆっくりと向かう事になった。
「所でアレク様」
「ん?どうした?」
私は立ち上がり、冷蔵庫から冷えたミルクティーを取りだしてカップに注ぎながら呼ぶとアレク様は直ぐに返答してくれる。
それに喜びつつ、私は言葉を続けた。
「今から行く国ってどんな国なんですか?」
「?、フローラの事だから調べていると思ったんだが」
「アレク様と乗る船の事しか考えてませんっ☆」
「嘘じゃなく本ッ当にそうだからな、アレク」
ちょいとサル。余計な事をお言いでないよっ!口調も変わっちゃうわよっ!
「…はぁー…フローラが可愛過ぎる」
「…お前の目も大概節穴だよな、アレク」
何か二人でコソコソ話してるけど、何の話?
軽くつまめる物も準備しようと冷蔵庫からチーズケーキバーを取り出していた私には聞こえなかったんだけど。
必要なものを取り出して、お皿を用意してくれているマリンに預けて、私はアレク様の隣に戻る。
リアンは外の警備をすると甲板に向かった。
「…そうだな。フローラは俺の属性を知っているよな?」
「はい。動属性と失属性の二属性持ちなんですよねっ!好きっ!」
「うん。ありがとう。俺も好きだよ」
「いいから話し進めろよ。お前ら」
「ハハッ。悪いな、マサル」
「…んで?アレクの二属性持ちが何に関係するんだよ」
「今から行く国に暮らす人達は、基本的に【祝福】の【二重持ち】なんだ」
コトンとマリンがカップと皿に置いたチーズケーキバーを置いてくれる。
それにお礼を言いつつ、一口ミルクティーを飲んで、アレク様の言葉をもう一度頭の中で反芻した。
「祝福の二重持ち…どんな風に現れるんですか?」
「それは…」
アレク様が細かく説明してくれる。
これから向かう大陸、国と自国と、あまりにも違い過ぎて私達はアレク様の言葉にいちいち驚いて。
あっという間に夜が更けて行くのだった…。
第二章スタート~(∩´∀`)∩




