第十九回・コネ受賞は本当にあるのか
ある人は即座に「ない」 と断言しました。あれば読めばわかるからです。しかし、しかしですよ、某主催で話題になった話があります。非常にまれなケースですが、書いてみます。ちなみにそこの選考委員は複数いますがこのうちプロの作家は一名でした。名義貸しだったのかもしれませんが。
受賞名は開催者によって大賞だの、第一席だの名称が違います。特定されたくないので、一位、二位という表現にします。某賞に落選した知人が受賞作品集を買い求めたのですが、読んでくれと持ってきました。読むと一位より二位三位の出来が非常に良い。すぐに気づきました。特に二位の人のペンネームを検索するとどこぞの受賞経験者でもある。
「二位は上手すぎて、逆に敬遠されたのかもねえ」
「そういうのはアリかなあ」
「一位は推敲不足で同じような言葉が繰り返し出る。表現を重ねた効果狙いではなく、単純に未熟な書き手のように見える。その上テーマもどこかで読んだありきたりで陳腐。どこがいいのだろう」
みんな、同感していました。その場では、一位の人はその主催者側に対して何らかの強力なコネを使ったのだろうということで落ち着きました。もし本当なら賞の価値が落ちます。ちなみにその時の二位の作品はショートフィルムになったと聞いています。ほらやっぱり、という感覚です。ま、こういうのは、そこ以外では聞いたことはないです。
大きな賞だと受賞者のある程度の個人情報が公開されるので、著名人本人やその肉親だとコネだと話題になることもあります。が、読めばこの先続く人かどうかはわかるはずです。あんまり言うとその人の価値自体が落ちますからそういうことに神経をとがらせず、放っておいたらよい。
仮にコネが事実としても、追及する人が代わりにプロになれるわけでもない。そんなことで時間をつぶすことより、書きたいものを書いていきましょうよとお誘いします。何せ人生は短いものですからね、これも老婆心です。
落選ばかりのわが身を顧みずいろいろ書きました。今回もご笑覧いただきありがとうございます。