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第十六回・文学を学ぶ通信教育や学校について

第十三話の続きと思ってください。



 当エッセイでは文章を読むのも書くのも好きな人を、ひとくくりに「文学好き」と称しています。

 小説講座や学校に行くべき人は、以下の三つの意識が強い人です。あちらも必ず歓迎してくれます。文学好きならば必ず得るものがあります。

① 締め切りがあった方が頑張れる人

② 自作に対して厳しい批評や感想をもらいたい人

③ リアルの仲間がとにかくほしい人

 迷うなら行った方がよいです。一方、小説を書いたことはないという人でも、文学好きならなんとかなる。白紙の状態で行った方が講師も教えやすいというのはあると思う。それでもやっぱり書けないという人は、読み専といって読むだけの人にまわるとそりゃもう歓迎されます。書き手ばかり多くて読み手は少ないから。みんな自作を読んでほしい人ばかりだから。対人関係に自信がない人は通信教育でも十分得るものがある。多少平気な人なら実際に講座に通えば気の合う友人ができる。他人の感情に忖度できぬ強烈な個性を持っている人も多いので、自分が歩み寄るラインはここまでと決めておけば大丈夫です。

 若ければ大学や専門学校という手もある。読み手より書き手志望が多いので選ぶのに困るぐらい勉強できるところがたくさんあります。

 今回は私が経験したところの話です。何かの参考にしてください。例によって愚痴も入っています。



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 文学学校と称されるものは国内にいくつかあります。プロの作家が講師です。老舗から新しいものまであります。専門学校でも小説コースができています。たいていは、年齢制限などはなく文学を愛する仲間が集って文章を書き、批評し合ったり学んだりするところです。大規模な同人誌というと、怒られるかもしれません。老舗だと月刊誌をもっており、そこに掲載されたことがきっかけで、プロの雑誌に転載されたりもあります。

 私はそういうところで一年間だけですが学んだことがあります。距離と時間の関係で通信教育講座でした。通学できる人は週に一度昼もしくは夜に通います。ミニ講座も時々あり、時には著名なプロ作家の講演もありました。結構盛りだくさんでした。通信や通学どちらも在籍できるのは一年単位だが期限はなし。学歴にはなりませんが、好きなだけ在籍できる。もちろん一年だけと決めてもOK。短くともきちんとしたカリキュラムがあります。締め切りもあって、自分の時間を無理やりにでも作って向き合わないと、いいものができないと痛感します。締め切りに余裕を持ちたいのでこの辺でいいかと推敲を止めると、やはり甘いところがあって指摘される。


 少し横道にそれます。以前、某授賞式でその学校の人に声をかけられ話をしたのですが、その話を横で聞いていた別の出席者からそういうところに通っていたほうが文章がより上手になるのかと聞かれたことがあります。

 通ってるだけで文章が上手になるなら、楽でいいのですけどね……私は人によると返事しました。私自身は入学しないよりはしておいてよかったと思っています。なぜならプロとしてのものの見方がわかるからです。課題作品への講評もちゃんと講師の肉筆できました。メールなどのやり取りであっさりと読み流すよりは、実地に読み取れるものはやはりあります。でも課題提出もせずにそのままやめた人もいますので結局は相性でしょう。

 通信教育でとった私のクラスでは、提出作品の上限枚数は百枚までと決まっており、たくさんの枚数を見てもらった方が同じ金額ならお得だという変な貧乏性もあって七十枚から制限いっぱいの百枚をあげて送付していました。選択した講師によっては二十枚までと決められる人もいます。通学ではどれだけ長編を持参してもOKなクラスもあるようです。

 私を担当してくださった講師から、こういうのを書いてどうかというリクエストもいただき、じゃあ、というわけで頑張りました。通信教育といえども、一度だけ実際に学校に行って合評に参加しました。そこで初対面ですが同じクラスの人と話をしたら、講師からあなたはこういう本を読みなさいと、郵送で書籍を送られたと言う人もいました。マンツーマンならではの話で、講師は書く人の性格や作品の傾向を読み取ってアドバイスをされていたのでしょう。現在はこのクラスはなくなっていますが、批評は適切で長編の話造りにおいて大変参考になりました。


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 で……そこでの合評の話ですが……以後は私の体験談と愚痴です。私は当の講師に会うのを大変楽しみにしていました。いざ実際に会ったら、政治的な署名を求められました。合評とまったく関係のない話でびっくり。添付された趣意書を一読して賛同できず拒否しました。再度署名を求められたので再度拒否。講師は無言でしたが不快気な態度を取られて、きまずい思いをしました。あれは講師による思想的な踏み絵だったかもしれないです。私は講師の生徒の一人です。署名を拒否しても講師の思想自体拒否してないし、署名拒否で不快でも気分を切り替えて文学の話をしてくれたらよかったのに……。

 この経験はレアケースかもしれませんが、同席の人たちは何の疑問もなく署名されていたので、私の拒否はより目立ったのでしょう。しかしその署名の趣意書を裏返すと小さな文字で「下記に記した数種団体の趣旨に同意したものとみなす」「日本政府ではなく国連に直接提出」 とあります。表書きの署名はよくある案件でなじみがある。しかし、裏を返して説明文をよく読むとそんなことが小さい文字で書いてあり、しかもその団体名が私にとっては極端に感じる政治思想でした。こういったものは文学の話をしながら署名簿をまわすべきではない。きちんと説明を受けたうえ熟考させてもらわないといけない。何よりも文学好きが集まるところにかような政治的主旨丸出しの団体へ向けた署名を講師の権限において回覧してくるのは大変ショックなできごとでした。

 その時にディベートできたら双方のためにもよかったとは思いますが、文学の合評会ですのでそれも筋違いです。私も性格上、これはなんですかと通信教育上でのつきあいしかない初対面の講師に詰問できません。結果、その講師との縁はそこで切れました。仲良くしてたら、文学的にお得なこともあったかもしれませんが、これも私の運命で仕方がありません。

 でも、わざわざ遠方からその講師や他の生徒にあうために合評に参加した私に対して、何ら関係ない政治的な署名を求めたことは今なお不快です。文学と政治も関係ないようで繋がっているというのはこういうことかと思います。

 今は若い人も文章を書いていて、いざプロになったら思想的な面と向き合ったりは必ず出てきますから政局の基本的なことぐらいは学ばれ、己の意見を決めておいた方が無難かもしれません。

 そういう意味でプロの出方を見ていると、エンタメ系の職業作家、特に重鎮は上手い。社会的影響力も考えて決してタッチしない。何をいっても炎上すると推測されると無言を貫き通す。同じく重鎮でも例外になるだろう百田尚樹は逆に炎上平気。私は彼のタフな精神力を尊敬している。炎上させないタイプなら林真理子がすごい。時事関係に少々触れたエッセイを書いても彼女は絶対に炎上させない。彼女の凄いところは、週刊朝日とも最初はいろいろあって不仲だったはずだが、いつのまにか対談連載を持っている。文才あればこそですが、対人関係も非常にうまいはず。私は彼女にあこがれているし、初期からのエッセイをほぼ全て読んでいるが、気が付けば国を代表するトップ作家のひとりですよ。

 私は署名の件で講師の不興を買い縁が切れた。出版された本を送ってもなしのつぶて。すでに退校したあとですし、もう関係ない。

 私が尊敬する作家たち……無名時代の作家が私のようなメにあったとしたら、どうしただろう。切実に見習いたい。教えてほしい。いやそういうエピソードすら彼らの強運を恐れて近寄ってこないのだろうな。

 ……私ってこんなのばかり……あんなに講師と会うのも楽しみにしていたのに。講師だって最初は気さくに「先生」 と呼ばなくてもいい、「さん」 付けで、とおっしゃっていてとても和やかだったのに……私ってどうしていつも……こういうメにあうのだろう……それを思うと涙が出ます。




 

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 文学を愛している側は何人に対しても思想を強要する側になってほしくない。特に優位な立場を利用して署名強要しないでほしい。実は私は職場でもこれと似たようなことを経験しており職場でありながら何ら関係のない政治的な署名を強要してきた人と不仲になった。その人も職場で古参の職員、当時非常勤の私よりも優位な立場だった。私は声を大にしていう。思想は自由。その人の思想も、もちろん尊重している。が、こちらに強要はしないでほしい。思想によっては、強要してくるその人にとっても立場的なノルマがあるらしく必死で強要してくる。周囲は面倒はごめんだからと渋々と署名をしているのにも気づいてない。


 私は、例の講師の思想はもちろん尊重する。否定はしない。署名自体は時と場所選べと今でも怒っているけど、拙作に関して的確な批評をくださったこと自体に感謝している。授業料を支払った価値以上のものを受け取ったと思っている。でもこんなメにあうというのが実に私らしい。署名欄をろくに確認もせず住所氏名を書いた人は、その他の団体に賛同し、個人情報が流れていったのも知らないはずだ。それで平気な人は波風を立てない賢い人かもしれぬ。でも私はやっぱり嫌だから……そこの学校で縁をつないで同人誌も作って楽しく過ごしている人もいるでしょうが、私は結局今でも一人で書いてほそぼそとこのサイトで書き続けている。

 黙々と書いていてこのサイトで無料でUPさせてもらいそれなりに幸せなはずなのに、ちょっと日のあたるところで講評欲しさ、書き手仲間欲しさに顔を出すとこういうメにあう。私事でも親戚関係とも絶縁になった。例の横領叔母に対して私が実母の実印や通帳不正使用をとがめたせい。彼女からは未だ謝罪もないどころか祖父母の相続を今になって文句をいってきたと親戚に説明して彼らはそれを信じている。もっと遡って学生時代に私が盗作されたのに何ら疑いもせず盗作人を褒めたアホ教諭とも出会っている。こういうメにあうのは、私が私である故か。先の署名事件とあわせると、私は他人との和やかな縁がつなげない人生だとつくづく思う。










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