前世の母国 日本の仮装バトル
今日は、生まれ変わって初めて母親のメアリーと共に日本に降りる。
4歳になったシャルルは、メイド マリーに子育てを頼んだ。
「兄ちゃん。頑張ってくるな。」
「うん。頑張ってね。」
数日の別れを惜しみ出発した。
来年の4月に開講する日本魔法魔術学校の入試を受けるためだ。
俺達の側近やSPを引き連れて向かう。隣にシロンに座ってもらって、俺は彼の友人風に変装した。
「皆さま、今日もメローディア航空777便、千葉行をご利用くださいましてありがとうございます。この便の機長はトム・ブラウン、私は客室を担当いたします。アン・グリードでございます。まもなく出発いたします。飛行中は、無重力が生じます。シートベルトを腰の低い位置でしっかりとお締めください。成田国際空港までの飛行時間は45分を予定しております。ご利用の際は、お気軽に乗務員に声をおかけください。それでは、ごゆっくりおくつろぎください。」
浮遊感を感じながら降りていった。
荷物を置きに、六本木にあるザ・リッチ・グランドに向かった。ここには、キッチンやレストラン、アミューズパークなどある。
ホテルは、ハロウィンの装飾で彩られている。
「お母様、叔母様の友人に会いに行っていいですか?」
「いきなりどうしたの?フローラ王女の友人か。どんな人か教えて。」
「東京で、魔法の教師を目指している男性です。確か、今月教員採用試験に受かったらしいですよ。」
「なるほどね。なら私も行くわ。それなら、手土産の一つでも持っておきましょう。」
「ですね。でもその前に、少数精鋭で行きましょう。私の側近と行きましょう。入口にSP数人。お母様の側近と残りのSPは、待機してもらいましょう。」
「貴方の側近が、部屋に入るのなら手土産もその方に作ってもらいましょう。」
キャシーの焼き立てアップルパイを片手に車に乗った。
住所 西新宿8丁目 3-9春曙荘 (しゅんしょそう)202に向かった。
インターホンを押してみた。数分待っても、出て来てくれない。もう一度押して、後ろに下がるとすぐに出てきてくれた。
「チャイムを鳴らして、どうしたの?」
「突然すみません、遥さん。お初にお目にかかります。フローラ・オルテガ・アリシアの甥、ウィンディ・マーテル・メルテアです。ウィンディとお呼びください。」
「ウィンディ王子でしたか。話は、フローラ・・・フローラ王女から聞いております。今、開けますね。」
「私は、ウィンディの母で、フローラ王女の叔母でございます。」
「申し遅れました。私めは、ウィンディ王子専属バトラーのゴブリンのゴブダッディです。執事見習いで白烏天狗のシロン、メイドのキャシー、ボーディガードのオリバーノアです。キャシー例の物を」
「焼きたてのアップルパイです。どうぞ、ご兄弟でお食べ下さい。粉砂糖とキャラメルアップルのハーフアンドハーフです。」
「ありがとうございます。立ち話もなんですから、お茶でもどうですか?」
「ありがとうございます。ダッディ、構わないだろ?」
ダッディオにアイコンタクトを、交わし中に入った。その際、握手を求めると、後ろに持っていたお菓子の袋を置き、両手で握り合ってくれた。
「近所の子供たちと思って、お菓子持ってきたいました。いかがですか?」
「ありがとうございます。いただきます。」
「分かりました。帰りの際に、渡しますね。準備するので、座って待てくださいね。」
キャシーが、一生懸命に手伝っていた。
「遥様、私もお手伝いさせてください。何をすればいいですか?」
「飲み物をお願いできるかな?皆んなに、聞いてきてくれる。」
「承知しました。では、行ってきます。」
「この美味しそうパイも出していい?美味しいものは、皆んなで食べたいし。」
「ええ、そう言ってもとても光栄です。お願いします。」
切りたてのキャラメルアップルを小皿に、詰めた残りのお菓子を大皿に盛って。2種のアップルパイを全員分の皿に切り分けた。
「そう言えば、突然お邪魔してしまってすみせん。」
「良いよ。ちゃんと今朝フローラ王女からLINE来て初めて知ったけど、ハロウィンのお菓子作ってあったから良かったよ。」
「このキャラメルアップル作ったんですか?外のキャラメルの香ばしさと食感、中のリンゴの相性が良いですね。」
「ありがとうございます。そう言えば、明日のお受験の後とかに、日本で観光とかしたい事とありますか?」
「えーと、日本で魔法発祥の地ですよね。映画みたいに、浮遊魔法とかで料理とかするんですか?そんなのを、見たり経験してみたいです。」
「浮遊魔法ですよね。しないですよ。もしかして、観たのってドラ○もんですか?」
「そうです。魔界大冒険って言う映画です。」
「そうなんだね。後で、その事詳しく聞いていいかな?」
「良いですよ。あの、お願いしても良いですか?」
「構わないけど。」
「渋谷に行きたいんですけど。どうですか?」
「そんな子犬のような目で見ても、俺の一存では。それに、ゴブダッデォさんの許可なしには、無理だと思うよ。」
「別に、構いませんよ。買い物ですよね、王子。ハロウィンとかじゃなくて。」
「そうだな・・・あってるぞ。」
「では、行きましょう。王子今から、片付けや準備をするので、支度をして下さい。」
キャシーと遥の二人で片付けをしていた。
遥さんに、よばれた。
「王子ちょっと、よろしいですか。もしかして、貴方は、異世界転者ではありませんか?」
「はい。そうですが。どうして、分かったのですか?」
「ドラ○もん魔界大冒険は、上映されていないんですよ。10個の世界で、貴方の世界だけしか上映していないんです。」
「本当ですか?」
「1984年と2007年のどちらも。他の魔法が使えない4つの世界でも、上映されてないんですよ。そう言えば、どの時代から来たのですか?」
「そうなんですか。2013年の日本から来ました。他の世界の話も後で聞かせて下さいね。」
ゴブダッデォの運転で、渋谷のドンキーゴングの前に着いた。遠くに、大きなシルクハットとタキシードを着た骸骨と赤髪で青白の顔の女性が青いドレスを着ていた。
「おーい。遥さん。何してるの?」
と白髪の骸骨男が駆け寄って来た。だが、顔は、白塗りで目元を大きく黒く塗られ、口元は大きく裂けて縫われている為、全く分からない。
「鬼龍院高校の総長、心海だよ。」
「ヤン鬼の誠道か。それにしても、凄いメークだな。ナイトメアだっけ似てる。」
「そうそう、その主人公のジャック・スケリトンだよ。肩には、愛犬のゼロ。彼女は、サリーのコスプレだよ。」
「結構、リアルだね。」
「もー。心海、ちょっと待ってよ。速す・・・。」
「おー、発信機の反応は・・・えーっと、この辺りだな。おいあんた、鬼龍院の頭 ロミ知らねえか?」
「知ってるも何も、俺だけど。それが、どうした。」
心海が、背中の後ろで見えないように、店内を指で示した。遥さんが、女性と俺達を中に押し込んだ。
それと同時に、十数人のヤンキーが、心海に襲いかかっていた。
「すまなかった。彼一人を残してしまって。」
「そうね。私も、それなり喧嘩強いのよ。金桜女子の総長 珠凛恵だよ。戦ってくる。」
「良いけど。多分、君を巻き込みたくないはず。少し、様子を見よう。さぁ、王子、買い物に行きましょう。」
キャシーが、珠凛恵を連れて後ろから付いてきた。そして、遥さんに話しかけてきた。
「王子 今日は、何を買いますか?」
「そうですね。コスプレ用の服ですかね。」
「そうですね。なら、特設コーナーに行きましょう。」
遥さんが、珠凛恵が話していた。なので、俺達は、先にコスプレを買いに行った。
俺とゴブダッディオ、オリバーノア、シロン。お母様とキャシー、サングラスを女性のSP。店内に、数人のSPを紛れ込ませて買い物した。
先にコスプレを選んで、一気に試着を済ますことにした。俺とお母様が、試着中に外で二人が護衛してくれた。
母が、買ったコスプレを試着する頃に二人がやって来た。
二人のコスプレを選んで交代で警備しながら着替えた。
珠凛恵さんは、背中に肩掛けバットを金髪ツインテールに右に水色、左にピンクのツインカラー。右青、左赤の皮ジャンにマイクロパンツのジーパンを着ていた。
キャシーがトンガリ折れ帽をかぶって。犬耳魔女。
ゴブダッディオは、赤いキャップに、赤い長袖にオーバーオール。
オリバーノアは、黒いローブを着た猫耳チャラ男。シロンは、忍者服。
俺は、海賊のコート。お母様は、ノースリーブで丈の短いくの一。遥さんは、警察服を着ていた。
俺とお母様、ゴブダッディオは、戦闘から離れ遠くで見ていた。
珠凛恵とキャシーが、到着する直前に心海が副隊長等の側近ぽい奴らを倒した。心海は金棒バットを振り回し、鉄パイプを持ち構えた敵のリーダーと戦っていた。
遥さん達が、着く頃にはほぼ終結していた。しばらく見ていると、後ろの方からゴソゴソと倒れた奴ら5人が目を目覚め、向かって来た。
キャシーが、背中のバットを背負ったまま懐のサバイバルナイフ2本で木刀で受け止めた。遥さんが、炎と雷の魔法で吹き飛ばした。
心海が、素手で敵リーダーのパイプを受け止めた。そして、殴って瞬殺した。
「クソ。覚えてろよ、心海。次は、勝ってやるからな。」
言い放って走り去った。
そして、そのまま渋谷のスクランブル交差点に心海と珠凛恵と一緒に向かった。
「今年のハロウィンから、渋谷は野外の飲酒は禁じられているので。とても、安全ですよ。」
「お母様、思っていたよりも安全そうですよ。」
「そうですか。貴方は、とても危険なイベントと分かってて行きたかったんですね。」
と般若のような怖い形相で、じっと睨んできた。
「で・・・でも、とても、楽しいイベントですよ。信じて下さい。お母様。」
「まー、せっかく くの一の格好に着替えましたし。今回は、イベントに参加させてもらいましょうか。」
スクランブル交差点の盛り上がりを見てお母様も目をキラキラさせていた。生まれて初めて、こんなにテンションの高い母を見た。
こうして、人生初めての日本 初日は、賑やかに終わった。