初めて会った閻魔大王は、チャラ男でした。
比嘉 裕樹は、気がつくと5日休まず歩き、大きな真っ白で大きな建物に着いた。
そこには、二人の門番が立っていた。
「おい。お前の名前は、なんだ?」
「あなた達は、誰なんですか?」
「輪廻転生を潤滑に進める建物 リンネルの警備員だけど。」
「えっ。俺死んだんですか。私は、比嘉 祐樹と言う者です。」
「なるほど・・・。あった。明日、午後 秦公王審判が確かに入っているな。」
「あの、日時は、勝手に決まってるんですか?」
「まあな。死んだ日から、当てられてる。裁判員は、全員生者だ。
最初が肝心だぞ。いい奴が、当たるといいな。そうゆうことだから、頑張れよ。兄ちゃん。」
と背中に強めの平手打ちを受けた。
「あ、痛ったた。警備員の人もう少し、加減しろよな。」
ぐちぐち言っていると、入り口に着いた。
施設の中には、狸と飼い主のバッタ男、猫などの多種多様な死者達であふれていた。
「死者の皆様方。秦公王の審判受付は、忘れない内に済ませてください。」
やる事も無かったので、受付を済ましました。
何時間か座っていると、おばあちゃんが話しかけて来た。
「こんにちは。ここは、色んな世界から集まるから楽しい所ね。あなたは、どんな世界から来たの?」
「えっと。普通の世界ですかね。」
「普通ね。氷河に覆われた世界や魔法のある世界、巨大な生物のいる世界とか。色んな人がいたよ。」
「科学が、発展した世界。通信で色んな人が、すぐに繋がる便利な所です。」
「良かった。いい所だったのね。戻れたら良いわね。」
色々な人達と話して、時間をつぶした。名前が、呼ばれて部屋に入った。
「比嘉さんね。どうぞ。」
部下が、書類と情報を耳内で伝えた。
「ありがとう。下がって良いよ。
えっと、見た感じ5項目は、大丈夫そうだね。殺人とか、動物を虐めたりころしてないね。
うん。結構早く終わったね。なんか聞きたいことある?」
「えっと、ここでは、タブレットとか電子化はしてないんですか?」
「あるけどね。浄玻璃の鏡に登録されるのに、一週間かかるから。ウチらは、紙なんですよ。」
「そうなんですね。大変ですね。あっ、警備員に聞いたんですけど。不躾な質問ですが、生きた人間ですか?」
「ですね。ここは、冥界と現世にあるので。どんな人でも入れるんですよ。」
「秦公王さん、仮眠室とかあるんですか。」
「審判員専用は、ありますよ。他の秦公王の同僚達と重なる時があって、仕事の話が盛り上がって仮眠し忘れる時もありますよ。」
「秦公王って役職名なんですね。」
「ですね。閻魔王が、ヒラで。閻魔大王が、本部長とか執行役員みたいなもんですかね。あっ、もうそろそろ良いですかね。
三途の川は、レベル10の内レベル3側ですね。では、気をつけてくださいね。」
そして、部屋を出て5分で河原に着いた。そこに、白装束を着たおばあさんがいた。
「濡れるから、この白装束に着替えて入ってくれるかの。今まで着た服は、渡しておくれ。」
白装束に着替え入水した。レベル3の水量でも結構前に進むのがきつい。50時間かけて渡りきった。
14日目に受蹴る初江王の審判の受付を済ました。待合室には、屋内プールのエリアもあった。
タブレットを眺めてから、勢いよく言い放った。
「さっきの審判結果を見てみたが、悪くもないしよくもねえな。
それに、盗みは・・・してねえようだな。してたら、反省してるか、心臓止まるほどの迫力で問いたださそうと思ったのに。もう、行っていいぞ。」
「分かりました。失礼します。」
と凄い圧に耐えきれず、走って退出した。
その後の部屋は、階段を上って向かった。
21日目の宋帝王の部屋は、37階にあった。性犯罪や痴漢などを起こしていないかを調べられた。
28日目の五官王の部屋は、47階にあった。人生でどんな嘘をついたか。その重さを詳しく調べられた。
35日目の閻魔王の部屋は、57階にあった。どのようなランクに生まれるかを決める。
その審判員は、かなり金髪でチャラそうだった。
「ヤッホー。閻魔大王の珈煙 真桜さ。こう見えて、結構偉いんだよ。」
「いちょう、聞きました。閻魔王の役職で、高い地位ですよね。
「そうだよ。物知りだね。
へー兄さん、童貞なんだ。宋帝王の時何か、言われたの?」
「別に何も言われませんでした。」
「堅いな。そんな口調じゃなくて良いよ。俺は、タメ語の方が、気持ちのキャチボールしやすいでしょ?リラークス。ねえ?」
「分かったよ。こんな感じでいいか?」
「そうそう。いいじゃん。人生で後悔したことある?」
「脱童貞に母親との喧嘩。憧れの先輩みたい、顧客に親身になって成績を上げたかった。それに・・・。」
「分かった。それぐらいでいいよ。趣味は、なんかある?」
「漫画やアニメかな。異世界ファンタジー系が、好きだったな。」
「そうなんだ。もう少し話したいけど、時間になっちゃたね。まだ、審判があるけど頑張ってね。」
42日目は、変成王の部屋は、67階で。どの世界で、どの国に生まれるかが決められる。
「異世界や魔法とかに、興味を持ってるんだって聞いてるだけど。どうなの?要望があるなら聞くよ。」
「そういう感じの物語は、好きで興味もあります。」
「なるほど。分かった。じゃあ、そんな感じにしとくね。」
49日目は、泰山王の部屋は、77階。どの種族で、性別を決められる。生まれ変わる前最後の審判だ。
「審判は、これで終了です。長期間、お疲れ様でした。
貴方は、比嘉家の次男としてこの世に生を受けました。兄弟思いの優しい子として育ちました。青春時代は、野球に捧げ部員と多くの時間を共にしました。仲間とちょっとヤンチャもしました。
反抗期は、イライラして母につらく当たったり、暴力を振るったり。父と喧嘩をして、口を聞かない時期も
時期もありました。それに、葛藤して辛い日もありましたね。
証券会社の営業として、就職しました。ノルマ達成やクレームで、心と体を傷めたり。同業者を高慢的と感じることもありました。
ですが、同期が、自分の上司となったことで貴方を変えました。 顧客に親身に対応し、人一倍電話をかけたり様々な会社に訪問販売、経済新聞やハウツー本で知識を広げたりなど。
たまに、叱られることもあったけど、どんなことがあっても優しく接したりアドバイスを言って皆んなのやる気をあげてくれた。そんな努力や一生懸命な姿勢に感銘を受けました。
それから、仕事に対する意識を変えて取り組み。業績も上がり後輩に慕われる社員となりました。
貴方は、心優しい人として育ちました。たしかに、家族と揉めたり、ヤンチャした時期もありましたね。
そして、憧れの上司に近づけなかったと聞きました。ですが、十分素晴らしい人物だと思います。でも、同じ人物になることは、できません。
貴方の人柄は、ダイヤのように周りの人に磨かれ、輝きを増しました。そんな魅力が多くの惹きつけました。
まだ、百日法要や一周忌、三回忌等々まだありますが。貴方の家族や問題無いでしょう。記憶は、消えても貴方の優しさや忍耐強さは、魂に刻まれるでしょう。
では、また素晴らしい人生をお送りください。」
ゲートを抜けると、思わず目を瞑るほどの光に包まれた。




