対コカトリス戦闘
暴れるコカトリスの攻撃を、騎士の人たちが盾で防御している。
一匹のコカトリスを盾を持った騎士が数人がかりで包囲して抑え込み、隙をついて背後から攻撃しているみたいだ。
10匹いたコカトリスたちは個々で分断されている。
一撃でも攻撃を体に受けたら石化してしまうから、かなり慎重に戦っているみたいだね。
やがて戦っている騎士団の一角で歓声が上がった。
指揮を執っていたシルヴィアがコカトリスの一匹を仕留めたみたいだ。
「危険な魔物だが、基本を忘れずに戦えば恐れることはない!」
シルヴィアの号令に、騎士たちからも歓声が上がる。
今ので士気も高まったみたいだ。
だけど、全体的にみると、騎士団の人たちが苦戦しているみたいだった。
やっぱり「一撃でも受けてはいけない」という縛りがあるせいでみんな腰が引けているみたいなんだよね。
麻痺や毒と違って、石化は高位の司祭でないと治せない。
しかも、もし石になったまま割れたりしたら二度と元に戻らなくなる。
とても厄介で怖い状態異常なんだ。
「コケーッ!!」
「うわあっ、くるなあっ!」
飛び上がったコカトリスに驚いて、囲いの一角が崩れた。
その隙間を逃さずにコカトリスが囲いの外へと飛び出す。
向かう先は、ちょうど僕たちの方向だった。
「危ないそこの二人! 逃げろっ!!」
悲鳴のような声が上がるのと、
「やったー、鶏肉が自分から来ました!」
ライムが瞳を輝かせるのは同時だった。
「コケケーッ!」
コカトリスが羽を広げて威嚇しながら飛んでくる。
大きさは普通の鶏だけど、翼を広げれば僕よりも大きくなる。
かなりの迫力だったけど、ライムはニコニコしたまま逆に自分から向かっていった。
コカトリスも驚いたみたいだったけど、それ以上に驚いたのは騎士の人たちだ。
「何をやってるんだ!? コカトリスに触れたら石化するぞ!」
警告を無視してライムはコカトリスを真正面からつかんだ。
くちばしがライムの手のひらを突き刺し、さらに蛇のしっぽが腕に巻き付いて牙を立てる。
けど、ライムの腕は石化することなく、それどころか傷一つつくこともなかった。
ライムは体をオリハルコンに変えられる。
どんな武器でも傷つかず、あらゆる状態異常を防ぐ最強の金属だ。
コカトリスの攻撃はすべて無効化してしまうんだろう。
ライムがコカトリスの首元をつかんだまま満面の笑みで僕を振り返った。
「鶏肉ゲットしましたー。今夜は唐揚げですね!」
ライムに首をつかまれたまま、コカトリスが激しく暴れている。
防御陣形を敷いてコカトリスを包囲していた騎士団の人たちが、唖然としてライムを見つめていた。




