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カインさんはすぐ浮気しますから!

 一角獣の万能薬を手に入れた僕たちは、クエスト達成の報告のためセーラの店に戻ってきた。

 店の扉をくぐると鈴の音がなり、いつも通りにセーラが出迎えてくれる。

 はずだったんだけど。


「……なにしてるのあなたたち」


 なぜかジト目のお出迎えだった。


 でも仕方ないかもしれない。

 なにしろ僕の腕にライムがしっかりとしがみついて離そうとしなかったんだから。

 はためには単に仲がいいだけのように見えるかもしれないけど、ライムは瞳をつり上げて不機嫌そのものな表情だった。


「カインさんはすぐ浮気するのでこうやって離さないようにしてるんです!」


「いや、だから浮気じゃないって……」


「つーん」


 話しかけてもそっぽを向いたまま目もあわせてくれない。

 それでいながらますます強く抱きついてくる。


 実はケープサイドでニアと分かれてからずっとこの調子なので困ってるんだ。

 馬車の中でも離そうとしなかったから、すっごく狭くて大変だったよ。


 そのうち飽きて元に戻ると思ったんだけど、ずっとこのままだし。

 ほんとどうしたらいいんだろう……。


「あんたたちはケンカしてても仲がいいのね」


 セーラが呆れたようにため息をついた。


「僕がいくらいっても機嫌を直してくれなくて……。セーラもどうにかしてくれないかな……」


「だいたいライムちゃんは何でそんなに怒ってるの」


「カインさんがすぐ浮気するからです!」


「カインに浮気する度胸なんてない気がするけど……」


 なんだか悲しい理由でセーラに信頼されていた。

 というか僕ってそう思われていたのか……。


「ライムちゃんはどうしてそう思うの?」


 セーラの質問に、ライムが不機嫌なまま答えた。


「ニアちゃんっていうかわいい女の子と会ったんですけど、その子と別れる前に口と口をくっつけていたのを見たんです!」


「………………は?」


 僕を見る呆れた視線に殺意がこもった。


「その話、詳しく聞かせてくれるわよね?」


 たずねてはいたけど、これ明らかに僕に選択権がないやつだ。

 僕は観念してクエストでの出来事について話すことにした。




 ニアとの出会いから、山の主との戦い。

 その中でニアを助けたこと。

 ニアは昔にも僕と会ったことがあって、そのときに僕が助けていたこと。

 それもあって僕のことを師匠と呼んで慕ってくれたこと。

 それに、最後は「僕にあげたい物がある」というので、なんというかその、油断してただけで、僕からしたわけでも求めたわけでもないこと。

 特に最後のことについてはなるべく詳細に説明した。


 そのおかげもあってか、僕が話し終えると、セーラは静かに深くうなずいた。


「つまりカインが悪いんじゃない」


 あれえ。悪いの僕なの?

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