表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/362

異種間交配

「それで、どうして僕のところに?」


 そういえば、僕と交尾したいみたいなことを言ってた気がしたけど……。


「カインさんは傷ついたわたしを助けてくれました」


「うん。そうだね」


 確かにあのときのライムはすごく弱っていた。

 だから恩返しにきた、ってことかな。


「わたし、今まで人間にずっと追われていたんです。出会う人はみんなわたしのことを殺そうとしてきて……」


「それは、そうかもしれないね……」


 ゴールデンスライムは世界でも有数のレアモンスターだ。

 倒すだけで100億もの経験値が手に入ると言われることもある。

 冒険者協会がつけるモンスターランクは、世界でも唯一のSSSS級だ。

 数百年にもなる歴史の中で、倒した数はたったの2体だけだから本当かどうかわからないけど、勇者と呼ばれる人たちはみんなレアモンスターを倒してレベルを上げたといわれてる。

 だからゴールデンスライムを探してる人は世界中にいるんだ。


「あのときのわたしはもう疲れていて、逃げることさえできませんでした。わたしはここで捕まってしまうんだ。本気でそう思いました。でも、そんなのはイヤで……。だから神様に一生のお願いをしたんです。わたしに今日まで生きてきた意味を、幸せな思い出をくださいって……」


 ライムが輝くような瞳で僕を見つめた。


「そこに現れたのがカインさんでした」


「それは……ただの偶然だよ」


 実際それは本当にただの偶然だ。

 もし神様が僕たちを出会わせたのだとしても、それ以上の意味はない。

 レベル1でスキルもない無能力者の僕が誰かの運命の相手だなんて、なれるわけないよ。

 でもライムは静かに首を振った。


「カインさんに会えたのは偶然かもしれません。神様はわたしのことなんか見てなくて、一生に一度のお願いも無視したかもしれないです。

 でも、カインさんはわたしに優しくしてくれました。そんな人間ははじめてで、それでカインさんのことを好きになってしまったんです」


「そ、そうなんだ……」


 つい恥ずかしくなって視線を逸らしてしまう。

 こんなストレートに告白されたのは初めてだから、どうしていいかわからない。

 そうしていると、ライムがもじもじと体をよじりはじめた。


「それに……優しくしてくれたと思ったら、急に体液をわたしの中に入れてきて……。こんな強引に種付けされるなんて思わなくて……そのギャップにキュンキュンしてしまったといいますか……」


 ……うん? なんか思ってたのとはちょっと違ってきたような?


「わたしの初めての種付けはカインさんに奪われてしまいましたし、そんなにわたしと繁殖したかったのかなって思ったら、とってもドキドキしちゃって……、もうこの人と交尾するしかないって思ったんです!」


「しないよ! 交尾なんてする訳ないよ!」


「でも、カインさんはわたしの体に強引に体液を注入したじゃないですか」


 体液って、もしかして万能薬に混ぜた僕の血のことかな?


「あれはライムの傷を治すために必要だったから……」


「相手の体に自分の体液を流し込むことは生殖行為をしようって合図ですよね?」


「人間にそんな習慣はないよ!」


「でもでも、あのときからすっかり受精モードに入ってしまって……、今ではカインさんの匂いをかぐだけで細胞分裂が止まらないんです!」


「そんなこといわれても……」


「大丈夫です! 痛くしませんし、すぐに終わりますから!」


 まったく信用ならないことをいいながら僕を押し倒した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めました
「横暴幼馴染が勇者の資格を剥奪されたので、奴隷にして再教育してあげることにしました」
https://ncode.syosetu.com/n7380gb/

アーススターノベル様より9/14に書籍版が発売されます!
よろしくお願いします!
i000000
クリックすると特集ページに飛びます
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ