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即席の解毒剤

 毒ガスの使用を見抜かれたハンターたちのリーダーが、開き直ったような笑みを浮かべる。


「ほう、よく気が付いたな。こいつで辺りのモンスターを全滅させれば、ユニコーンをいちいち探す必要もないからな」


 撒かれている毒ガスは、モンスターにはよく効くけど人間には効果が薄いタイプだ。

 だからモンスターたちに囲まれながらも、まだ襲われずに済んでいるんだろう。


 だけど僕が知ってるものだと、このタイプの毒ガスは人間にも痺れが出るはずだった。

 でも僕の体に異常が現れそうな気配はない。

 きっと自分たち用に改良したんだろう。

 それだけ扱い慣れてるってことだ。


 倒れたライムに向けて、ハンターたちのリーダーと思われる人がちらりと目を向けた。


「人間には基本的には無害なはずなんだがな。この程度で倒れちまうほど弱いなら、さっさと帰ったほうが身のためだぞ」


「アンタら、自分たちがなにしたのかわかってないわけ!?」


 ニアが怒鳴り声をあげる。


 そもそもライムは人間に擬態したモンスターだ。

 だから効果が現れたんだろう。

 ニアはそんなこと知らないから、純粋にライムのために怒ってくれたことになる。


「カインさん、ごめんなさい……。毒には強いはずなんですけど、今は人間の姿なので、やっぱりちょっと抵抗力が落ちてるみたいです……」


「大丈夫、このくらいなら心配いらないよ。すぐに治してあげる」


 僕はすぐに荷物から材料を取り出して即席の解毒剤を調合しはじめた。


「やめとけ。それは俺たちの特別製だ。通常の毒消しじゃ効果はねえよ」


 ハンターたちの声が聞こえる。

 確かにこれは通常のものとは違うみたいだ。

 それはかすかに香る匂いからでもわかる。


 流通している毒ガスなら僕もクラインの店で見せてもらったことはある。だから成分については知っていた。

 独自に配合して効果を変えたんだろう。

 人間には効果をなくし、モンスターにだけ効くようにするには、かなり方法が限られる。

 それに目の前のライムの症状を見れば、どういう調合をしたのか逆算するのは簡単だった。


「できたよライム。さあ、これを飲んで」


 作成した即席の解毒剤を飲ませる。

 飲み込んだライムが急に顔をしかめた。


「うぅ~、にがいですぅ~……」


「ああごめん、味にまでは気が回らなかったよ」


「でも、ちょっと楽になってきた気がします」


 だいぶ顔色のよくなったライムが小さくほほえむ。

 よかった。効果があったみたいだ。


「バカな、この短時間で成分を解析し、解毒薬まで作ったというのか……?」


 ハンターたちが驚いている。

 僕はずっと素材採取やアイテム調合のクエストばっかりやってたからね。

 こういうのは得意なんだ。

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