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そういうこと

「そういうことってなに?」


「……ッ!?」


 ライムの純粋な疑問に、ニアが息が言葉を詰まらせた。


「そっ、それは、その……、気持ちよくさせてもらったりとか、してあげたりとか…………、とにかくそういうことよっ!」


 それでもなんとかたどたどしく答える。

 真っ赤な顔が想像できそうなくらいの、消え入りそうな声だった。

 ニアの精一杯の質問に、ライムがのんびりと答える。


「うーん、毎日じゃないかなあ。カインさんが疲れてるときもあるし、一緒に寝てくれないときもあるし。今日もしてくれなかったから、ちょっと寂しかったんだ」


「そう、毎日じゃないのね……。アンタたちみたいに仲が良くてもそういうものなんだ……」


「ニアちゃんもしたい?」


「したいわけないでしょ!

 ……あ、いや、興味はないわけじゃないけど、したいかとか聞かれると答えに困るっていうか……。その聞き方だと、まるでアンタたちとしたいみたいに聞こえるから、その……」


「わたしはニアちゃんと一緒に寝たいけどなあ」


「ななななななんにいってるのよアンタ!?」


 いったい何の話をしてるのかすごく興味があるというか、今すぐにライムの口を止めたかったけど、僕が入るとよけいにややこしくなりそうだったので黙っていることにした。

 色々な誤解についてはもうあきらめたよ。


 僕は上半身だけ裸になると、泉に浸した布で体を拭いていた。

 こうするだけでもひんやりとして気持ちいい。

 ライムみたいに裸で泉に飛び込んだら、それはとても気持ちいいだろうな。

 はしゃぎたくなる気持ちも分かる。


「ニアちゃんがわたしのこと好きか確かめてみようっと。ここだっ、えいえい!」


「ちょ、ほんとにそこは……ひあっ!? らめ、らめらっていってるのにぃ……!」


「あっ、気持ちいい? てことはわたしのこと好きなんだね!」


「そんなわけないでしょ!」


「えー、ほんとに? でもこことか触ると……」


「ひゃあああんっ!?」


 今も背後からはライムとニアの歓声が聞こえる。

 まあ、楽しんでるのはライムだけで、ニアはどちらかというと巻き込まれてるといった方が正しいかもしれないけど……。

 でも、楽しいことを素直に楽しいと思えるのはライムのいいところだよね。


「このっ……いつまでもやられっぱなしでいるとは思わないでよ!」


「ふわあぁんっ!! そんなところさわっていいのはカインさんだけだよぉ……」


「ちょっとあんまりヘンな声出さないでよ!」


 ……本当になにやってるんだろう。


 いや、想像はよくない。

 煩悩を打ち払うように、冷たい水を頭からかぶった。

 遠い国にはこうやって精神を鍛える修行法があるって聞いたことあるけど、確かに効果がありそうだ。

 と、思っていたら、後ろで騒いでいた二人の声が急に近くなった。


「やっぱりカインさんも一緒に遊びましょうよー」


「ちょっと、アタシまで引っ張らないでよ!」


「ニアちゃんと三人一緒で遊んだ方がきっと楽しいよ」


「わかったから! そんな強く引っ張られると足が……うわあっ!」


 悲鳴と共になにかが僕の背中にぶつかってきた。

 しかもお互い裸だからいつも以上に肌が密着してきた。

 もちろんライムはそんなこと気にしない。


「わたしも、えーいっ!」


 後ろから勢いよく抱きついてきた。

 背中に二人分の体重がのしかかってきたものだから、僕ではとても支えきれなかった。

 三人もみくちゃになって泉の中に倒れ込む。


「ずぶぬれですー! あはははははーっ!」


 無邪気に笑い声を上げるライムと。


「……──っっっ!!??」


「………………えっと、ごめん」


 ライムと同じように全身裸のまま、なにが起こったのかわからずに僕の真下で顔を真っ赤にさせているニアがいた。

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