53/362
なにかものすごい夢を見た気がする◇
目を開けると朝だった。
夜はなにかとてもすごい夢を見ていた気がするけど、うまく思い出せない。
まるで、かつてはあったはずなのに理由があって消されてしまった官能小説のような、それはそれはものすごい夢を見た気がしたんだけど、まったく記憶に残っていないんだから仕方がないよね。
ただ、全身の疲れはすっかり消えていた。
ライムと一緒だと眠れないかなと思ってたけど、むしろ今までで一番よく眠れたくらいだ。
運動直後に熟睡したみたいにすっきりとした目覚めだった。
一人よりも二人で寝る方が安心できたのかもしれないね。
もっとも……。
「はぁはぁ……やっぱりカインさんは、強引です……むにゃむにゃ」
ライムが嬉しそうな寝顔を浮かべていた。
いったいどんな夢を見てるんだろう。きっとものすごい夢なんだろうな。
これはしばらく起きそうにないなあ。
かといって今僕が起きたらライムを起こしちゃうかもしれないし。
しょうがないから、ライムが起きるまで待つことにしようかな。




