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カインさんはとってもすごいんです!◇

「セーラさん、いやらしいことってなんですか?」


 言葉だけ聞けばひどいセクハラおやじに絡まれてるようにも見えるけど、相手は純真無垢なライムだからなあ。

 セーラもたじたじのようだった。


「そ、それはその……ら、ライムちゃんは夜寝るときとかはどうしてるの?」


「寝るとき、ですか? ベッドで寝ていますけど」


「一人で寝てるの? カインは一緒じゃないの?」


 ライムが小さく首を振る。


「カインさんは一緒に寝てくれないんです。わたしはいつも誘ってるんですけど……」


「あ、そ、そうなんだ。一緒に寝てるわけではないのね。……でもライムちゃんからは誘ってるのね」


「はい! 早くカインさんと交尾したいんです!」


 なんということを大声で宣言してるんだ。

 一応他のお客さんもいるんだけどな……。


 なんかみんなこっちを見ていないのが逆に怪しい。

 クエストボードの目の前にいるのに、さっきから全然クエストを見てない人もいるし。

 あれ絶対聞き耳立ててるよね……。


「ふうん。ライムちゃんから毎晩誘われてるのに、カインはまだなにもしてくれないんだあ」


 なぜだかセーラがニヤニヤとしながら僕を見ている。

 スミスさんの時とまったく同じ反応だ。

 言いたいことはわかってるから僕はあえて目をそらしたままにした。

 どうせヘタレとかなんとか思ってるんだろう。


 実際ヘタレかと言われればそうなんだろうけど、でもライムはまだそういう感情に疎そうだし、やっぱりちゃんとしてからでないとダメというかなんというか……。


 思い悩むんでいると、ライムがニコニコと笑顔になった。


「カインさんは一緒には寝てくれませんけど、交尾の時はすごく強引で、とっても激しいんです」


「ライムなにいってるの!?」


 まだ人間の生活に慣れてないから言葉がちょっとおかしいだけだよね!?

 だいたい交尾……というか、とにかくそういうことは一度もしたことないし……。


 あわててライムの言葉止めようとするものの、もうすでに遅かった。

 セーラが頬を赤くしながらもまっすぐに僕たちを見ている。


「……そ、そんなにすごいの?」


「はい、とってもすごいんです! いつもは優しいのに、夜になると急に強引になって……。そんなにわたしと繁殖したいのかなって思うと、なんていうのか、胸がキュンキュンしてきて……」


 セーラの顔はもう真っ赤だ。

 それでもライムの言葉に真剣に耳を傾けていた。


「そういうのって、その……痛いって聞くけど、大丈夫だったの?」


「痛いというか、ちょっと苦しいって感じです。

 でもそれ以上に、カインさんをたくさん感じられるのがとても嬉しいんです」


「やっぱり、そういうのって嬉しいんだ……」


「はい! それが雌の本能ですから!」


 恍惚とした表情で話すライムと、それを真っ赤になりながらも興味深そうに聞くセーラ。

 ライムの話すことはなにも間違ってないんだけど、なんだろう、なんだかものすごく間違っている気がしてならない。

 かといって今さら止められずはずもなく、僕は少し離れたところからいたたまれない気持ちでそれを聞いていることしかできなかった。


 ちなみにそのあいだお客さんが増えることはあっても減ることはなく、みんな黙って聞き耳を立てていた。

 明日からはヘンな噂が広がってるんだろうなあ……。

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