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猛獣使い

 現れたサーベルタイガーの体は男の人の倍近くもある。

 男の人が小柄なことを考えても、かなり大きい。

 観客席からの歓声も大きくなった。


「来たぞ、猛獣使いのティムだ!」

「今年はサーベルタイガーか! あの体格といい、かなりの上物を用意してきたみたいだな」

「人間と猛獣の戦いなんて滅多に見られないからな。頼むからすぐにやられないでくれよ!」


 どうやら有名な人みたいだ。

 様々な声援が飛んでくる。

 中には僕らの心配をする声もあったくらいだ。


 確かにあんなに大きなサーベルタイガーに襲われたら、僕なんかひとたまりもないだろうね。


「うわー、おっきな虎ですー」


 ライムは珍しそうにサーベルタイガーを見つめていた。


 サーベルタイガーの他には誰もいない。

 男の人はどうやらビーストテイマーみたいだったけど、他にいるのはあのタイガーだけだ。


「もしかして、二人組ってあなたとそのサーベルタイガーなんですか?」


 僕がたずねると、小柄な男の人が口元をニヤつかせる。


「そうだぜ。初めて見る顔だからもしかしてと思ったが、やっぱり知らなかったみたいだな。せっかくだから教えてやるよ。この大会は二人一組で行われる。だけどその相棒は人間じゃなくてもいいんだよ」


「あ、もしかして、控え室に大きな檻があったのは……」


 ドラゴンでさえも閉じこめておけそうなほど頑丈な檻だった。

 なんのためにあんなに頑丈なものを用意したんだろうと思ってたけど、猛獣を入れるためだったんだね。


「きっちり調教してきたから命令を無視する心配はないんだが、うっかり参加者を食っちまったら失格扱いになっちまうからな。強すぎるとこういうときに困るんだよな!」


 そういって笑い声をあげる。

 そのとなりではサーベルタイガーが、低いうなり声をあげながら僕らをまっすぐに見つめていた。

 その視線が逸らされることはない。

 やってきたときから完全に僕らのことを敵と定めているようだった。


「お前たちも本戦に出られるくらいだから少しはやるんだろうが、それにしても貧弱なコンビだな。一応聞いといてやるが、降参するなら今のうちだぞ。開始と共にこいつはお前等に飛びかかる。そうなったら俺にも止められないからな」


 サーベルタイガーはうなり声をあげながらも、その場を動くことなくじっと僕らを見据えていた。

 野生の獣がああやってじっとしているのは珍しい。

 しっかり調教されているというのは本当なんだろう。


「どうかなライム……じゃなかった、オリーブ」


 ライムが首を傾げる。


「どうって、どういう意味ですか?」


「あのサーベルタイガーが襲ってきても大丈夫かな」


「もちろんです! ただの獣にわたしが負けるわけありませんよ!」


 笑顔でそういってくれた。

 まあ心配してたわけじゃなかったけど、一応確認はしないとね。


「そういうわけなので、僕たちは大丈夫です」


 せっかく心配してくれたんだからちゃんと答えたんだけど、ビーストテイマーの人は毒気が抜かれたような顔をしていた。


「なんだこいつら……。ハッタリにも見えないし、まさか本当にサーベルタイガーが怖くないのか……?」


 なにやらつぶやいているあいだに、審判が声を張り上げた。


「それでは第一回戦、はじめ!」


 号令と共に、男の人が鞭を振り上げた。

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